ホワイト・ローズ(1989)

解説

第二次大戦最後の夏、ユーゴスラヴィアの小さな田舎町を舞台に、歴史の波に翻弄されるひとりの男の心の揺れを描くドラマ。エグゼクティヴ・プロデューサーは主演のスーザン・ジョージとスレマン・カピッチ、製作はサイモン・マッコーキンデルとスドラヴゴ・ミハリッチ、監督はライコ・グゥルリッチ。ボリスラフ・ペキッチの原作を基に、脚本はペキッチとグゥルリッチ、マッコーキンデルの共同、撮影はトミスラフ・ピンター、音楽はブラネ・ジヴィコヴィッチとジュニア・キャンベル、マイク・オドンネルが担当。出演はほかにトム・コンティ、ロッド・スタイガーなど。第3回東京映画祭グランプリ、監督賞受賞。

1989年製作/イギリス・ユーゴスラビア合作
原題:That Summer of White Roses

ストーリー

1945年、夏。ユーゴスラヴィアの小さな田舎町の平和な水浴場で看視人をしているアンドレヤ(トム・コンティ)は、人の良い中年男で、今まで一度も人の命を助けたことがなかった。そんなある日、彼は友人の漁師マーティン(ロッド・スタイガー)から、パルチザンの妻としてナチに追われているアナ(スーザン・ジョージ)と彼女の息子ダニー(ニトゥザン・シャロン)を預かるように頼まれ、ふたりをかくまうことになる。やがてこの水浴場にも戦争の影は忍び寄り、ドイツ軍将校が頻繁に姿をみせるようになる。身の危険を感じたアナは、新しい身分証を得るために、アンドレアと偽の結婚をする。そんなある日、アンドレアは初めて溺れた人間を助ける。しかしそれがドイツ軍将校だったことにより、アンドレアは村人から裏切り者として軽蔑されてしまう。そしてドイツ軍に身元の割れたアナとダニーは、別れを言う間もなく彼のもとから去って行った。翌日、ドイツ軍の逃亡する橋にマーティンが爆弾をしかけた時、そこにドイツ軍に因われて引きずり出されたアナとダニーが姿を現わす。その時アンドレアはふたりの命を助けるために、大声を出して敵の注意を引く。マーティンがドイツ兵に射たれた直後、橋が爆発した。そしてアンドレアは、ドイツ軍から逃れてゆくアナとダニーの後ろ姿を万感の思いを込めて、見送るのだった。

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