北北西に進路を取れのレビュー・感想・評価
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飛行機のシーンが印象に残る
若い時に見て結構感動した記憶があるが、今回久々に再見したところ、違った感想となった。
冒頭からいきなり人違いで誘拐され、殺されそうになる導入部分は、サスペンス映画の王道ともいえる展開で一気に引き込まれる。ただその後は、最近のサスペンス映画に見慣れていると、テンポがゆっくり過ぎ、しかも135分は長過ぎると感じる。また、共演する女優が、グレース・ケリーほど魅力的ではないのが残念な点である。
農薬散布の飛行機で襲われるシーンやラシュモア山の大統領の石像でのシーンはアイディア賞ものだ。
スパイに間違われる災難男をユーモラスに痛めつけるヒッチコック監督の悪戯
観客を恐怖に陥れることに映画テクニックを磨き上げたヒッチコック監督の映画制作の当然の動機は、商業映画の最優先である興行成績での成功でした。これはサイレント時代から「駅馬車」や戦後多くの西部劇を制作したジョン・フォード監督も同じであり、フォード監督の本音では「わが谷は緑なりき」や「静かなる男」のような題材を、もっと手掛けたかったに違いありません。ヒットを目的に西部劇を撮るフォード監督のようにサスペンス映画を撮り続けたヒッチコック監督ですが、それでも趣味と実益を兼ねた映画監督の生涯を全うしたと言えます。ただ全盛期の1950年代のヒッチコック作品の中で日本での外国映画の興行成績を調べると、1954年公開の「裏窓」のみがベストテンに入る大ヒットを記録しただけで、他は及第点止まりでした。地味な冤罪告発映画「間違えられた男」と分かり難い恋愛心理劇「めまい」の後に続くこの「北北西に進路を取れ」は、観客に喜んで貰いたいスパイアクションに仕上げています。戦前の傑作「三十九夜」のアメリカ版とも取れる単純明快に特化した娯楽作品です。この時還暦を迎えたヒッチコック監督の演出は、136分の長尺を飽きさせることなく終始軽快に物語を進めていきます。そして、もう一つの特徴は、ケーリー・グラントを主役にした効果のユーモア溢れる会話劇の面白さでした。
政府機関のスパイ、ジョージ・キャプランがアメリカの各地を縦横無尽に渡り歩き諜報活動をしている痕跡を残しながら実在しないと言う、この荒唐無稽な設定のおふざけ振りに、主人公ロジャー・ソーンヒルが間違えられるプロットの発想が先ず可笑しい。敵国スパイの勘違いから命を狙われ災難に見舞われるソーンヒルが殺人容疑者の冤罪から逃げ回ることで、結局はキャプランの代わりにスパイ活動をして事件を解決してしまう。保険会社役員に過ぎないソーンヒルがスパイになり得るのかの前提を、映画はプロローグで簡潔に表現しています。それは秘書とのスケジュール確認を歩きながらするところや、タクシーの中でも時間を惜しんで公私の指示をするところ。多忙を極めながら機転と行動力があるマンハッタンの若き重役の身の軽さ。脚本を読んだジェームズ・スチュワートが出演を望んでも断ったヒッチコック監督は、グラント独特の品の良さと知的さとスマートさを買っていた。相手役のエヴァ・マリー・セイントがこの時35歳なので、ソーンヒルは40歳前後の設定と思われる。それを55歳で演じてしまうケーリー・グラントの若々しい演技が、スパイ代行役をやり遂げています。
アクションシーンで素晴らしいのは、セイント演じるイヴ・ケンドールに騙されて大平原の中のバス停留所でキャプランと待ち合わせる場面です。キャプランが来ないのが分かっている観客は、敵スパイがどんなやり方でソーンヒルを襲うのかの興味のみ。道路を行き交う車で緊張感を与えて、バスに乗り込む農夫の台詞で危機を煽る脚本と演出の妙。そして農薬散布の飛行機に襲われながら、身を隠すところが無い絶体絶命の平原でも、唯一トウモロコシ畑が近くにある。そこへ逃れるソーンヒルに降りかかる農薬の煙の絵的な可笑しさ。最後はタンクローリーの前に立ちはだかり、一か八かで助けを求めて、そこに飛行機が激突する派手な炎上シーン。でもソーンヒルが逃亡に選んだ車が、なんと冷蔵庫を積んだトラック。後ろにある乗用車を選ばないのから分かるのは、この災難に巻き込まれるスパイアクションをコメディとして味付けしていることです。同時に残された4人が乗れる乗用車を置いていくソーンヒルの優しさも感じられて、面白いシーンでした。
「傷だらけの栄光」「ウエスト・サイド物語」「サウンド・オブ・ミュージック」「ファミリー・プロット」そして「ブラック・サンデー」の多才な脚本家アーネスト・レーマンのスリラーにユーモアを織り交ぜて展開する脚本が素晴らしい。シカゴのホテルでキャプランがチェックアウトしていると分かってからケンドールを見つけて彼女の部屋で交わす会話シーン。寝台列車20世紀特急では警察の追跡から救ってくれて男女の仲になったケンドールは、ソーンヒルを命の危機に陥れた張本人だった。それなのに再び抱きしめてくる違和感に戸惑うソーンヒル。そしてメモの筆圧から行く先を調べるソーンヒルがスパイの如くケンドールを追い掛けてオークション会場に行き、ヴァンダム一味と再会する展開の驚きと面白さ。ケンドールがヴァンダムの仲間と分かればもう逃げ切れないと観念し、公衆の中で警察に連行されるようオークションを態と混乱させる。ここで面白いのはソーンヒルがキャプランとヴァンダムが思い込んでいること。しかし警察署に連れられると思ったら、連絡を入れた警察官は飛行場に変更する。この車内でのチグハグな会話が面白い。それでも観客は、オークション会場にいた政府諜報機関のボスが慌てて電話を掛けるカットで予想が付きます。この機関がFBIでもCIAでもONI(海軍情報局)でもない架空の組織。要は改めて言うまでもなく、この物語がリアリティを追求した話ではないし、あくまで映画を楽しむための想像のスパイアクションなのです。レオ・G・キャロルが演じる教授と呼ばれるボスが、ソーンヒルに全てを話してスパイに任命するのがまた可笑しい。そんなことはしたくないと拒絶するも、ケンドールがヴァンダムの情婦を装った政府諜報機関のスパイと知って気が変わり、彼女を救うためにソーンヒルは、スパイを演じるのを承諾するのです。
キャプランのソーンヒルとケンドールの仲を気にするであろうヴァンダムの猜疑心を心配して、ソーンヒルとケンドールが大芝居を打ってからの林の中では、相思相愛の関係を確かめる二人でも、ヴァンダムに付いて出国しスパイ活動を継続するケンドールの強い意志が分かります。それでも彼女と一緒になりたいケンドールは止めに入り、教授の部下に殴られ気絶してしまう。気が付いて閉じ込められた部屋から脱出して、ヴァンダムのアジトに向かうソーンヒルの想いの深さ。しかし、そこで分かったのはヴァンダムもケンドールの虜になっていた男で、手下のレナードのほうが大芝居の拳銃が空砲なのに気付いていた。自分に向って空砲を撃ち証明するレナードを殴るヴァンダムの心理。騙された自分を殴りたい男の衝動が表現された演出がいい。ケンドールが探し求めていたマイクロフィルムもオークションで落札した骨董品の像の中にあることが分るソーンヒル。そして家政婦に見つかり拳銃を向けられ身動きが取れない。この3度に渡る拳銃の使い方と、その拳銃を既にシカゴのホテルでヴァンダムから指示のメモをバッグに入れるショットで見せている細かさ。ヒッチコック監督の細部に行き届いた演出の巧さが光ります。
車で逃走するソーンヒルとケンドール。しかし門が閉められていて車を捨てるのは、偏にラシュモア山でクライマックスを迎えるためです。42年の「逃走迷路」の自由の女神のクライマックスと同じく、アメリカの有名な観光地をロケーションにするサービス精神と、絶体絶命を演出するヒッチコック監督の期待を裏切らない技巧の見せ場でもあります。
音楽バーナード・ハーマンと撮影ロバート・バークスの安定感とタイトルバックのソール・バスの斬新さ。国連本部から逃げるソーンヒルがタクシーに乗るまでの俯瞰ショットは、高層ビルの屋上からの眺めを見せて圧巻の眺望です。役者ではケーリー・グラントの申し分のない適役の嵌りが素晴らしく、アクションシーンも果敢に挑戦した力演。「波止場」「栄光への脱出」のイメージと比べて別世界の演技をみせるエヴァ・マリー・セイントは、配役としてベストとまでは言えないまでも、流石の演技力を見せつけます。シカゴのホテルのシーンが特に素晴らしい。敵国のスパイ・ヴァンダムのジェームズ・メイソンも地味に上手いし、貫禄もある。グラントより5歳下の50歳の時の氏の代表作の一本。ソーンヒルのマザコンの一面があるキャラクターを上品に見せた母クララのジェシー・ロイス・ランディスもいい。63歳には見えない若々しさ。エレベーターの中で敵手下に掛ける台詞の大胆さと気っ風の良さ。そして忘れてはいけないのが、「スパイ大作戦」でファンになったマーティン・ランド31歳の確りした演技力。目力のある表情が役に合っているし、メイソンとの相性もいい。
散々酷い目に遭いながら最後、三度目の正直になるのか良い伴侶を手中に収めたロジャー・ソーンヒルのスパイ体験のお話でした。でも彼女は一度、スパイの使命感から、ソーンヒルを抹殺しようとした敵に売った女性です。大丈夫とは言い切れないかも。
【”全くもう‼最後までハラハラさせられるぞ、ヒッチコック監督!”今作は、人違い巻き込まれ型サスペンス&アクション&ロマンス作品である。】
■広告代理店を経営するロジャー・ソーンヒル(ケイリー・グラント)は、ニューヨークのホテルからカプランと言う男と間違われ、2人の男に連れ出される。
ロジャーをカプランと言うスパイと思った二人は、ロジャーに酒を飲ませて、酔っ払いの事故に見せかけて殺そうとする。
更に彼は、国連のロビーで会ったタウンゼントと言う男を目の前で殺されるが、彼が殺した事になってしまい、逃避行を始める。
政府諜報機関の会議室では、”教授”(レオ・G・キャロル)と呼ばれる男が、ロジャーを間違えて誘拐したヴァンダム(ジェームズ・メイソン)を追うために彼の元にスパイを送り込んでいたが、予想外の展開に対応を迫られている。
一方、カプランを追うロジャーは特急列車に乗るが、彼の前に、イブ・ケンドール(エヴァ・マリー・セイント)という金髪美女が現れて、食堂車で食事を共にしヴァンダムから彼を匿うのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作は所謂、人違い巻き込まれ型サスペンス&アクションであるが、イブ・ケンドールという金髪女性の謎めいた存在に、最初は戸惑わされる。
・だが、見ていると彼女はヴァンダムと”教授”との二重スパイである事が分かり、且つここがポイントだが、職務遂行中に出会ったケイリー・グラント演じるロジャー・ソーンヒルに、心を奪われてしまう事が分かって来る。
・そんな彼女に、ロジャーも惹かれており彼は”教授”に政府施設に捕らわれるが、脱出しヴァンダムから信頼を得ているイブ・ケンドールを助けに、彼の山荘があるラシュモア山まで行き、彼女を助けようとするのである。
そして、彼女に自らを”空砲で打たせるのだが、そのからくりをヴァンダムの部下に見破られた事を知ったロジャーは、決死の思いで彼女と逃げるのである。
<そして、有名なハリウッドを見下ろす”4人の大統領の顔”が刻まれた断崖での、ロジャーと部下との闘いからの、ラストの幸せなるシーンへの展開。
今作は、人違い巻き込まれ型サスペンス&アクション&ロマンス作品なのである。>
さすがはヒッチコック、文句なしに面白かった。 いったいこの男はどん...
「人違いサスペンス」〜『裏窓』『めまい』ほどには好きじゃない
1959年、アメリカ映画。
【監督】:アルフレッド・ヒッチコック
【脚本】:アーネスト・レーマン
主な配役
【ロジャー・ソーンヒル】:ケーリー・グラント
【イヴ・ケンドール】:エヴァ・マリー・セイント
【フィリップ・ヴァンダム】:ジェームズ・メイソン
【ロジャーの母】:ジェシー・ロイス・ランディス
私は本作を「人違いサスペンス」と呼んでいる。
アカデミー賞3部門(脚本、美術、編集)にノミネートされた。
冒頭のタイトルは、
著名なグラフィックデザイナーであるソール・バスが制作、
キネティック・タイポグラフィを本格的に使用した最初の作品であるとみなされている、とWikipediaにある。
同じくWikipediaには、題名に関するネタも書いていた。
興味ある方は、ぜひ読んでみていただきたい。
1.作品の設定を認めるや否や
ヒッチコック作品の多くがそうであるように、
設定に入り込めるかどうかで評価は変わる。
主人公のソーンヒルは、架空の人物・カプランに間違われる。
それが「人違いサスペンス」全ての始まりだ。
これが結構強引だ。
正体不明のカプランが、ノコノコとホテルのバーで誰かと待ち合わせしますかね?
本物のタウンゼント氏は、
投げられたナイフで命を落とし、
ソーンヒルがナイフを抜いたため殺人犯と間違われてしまう。
ここも、真犯人の目撃者がいない等、かなりのチカラ技だ(笑)。
2.カメラワークと音楽は秀逸
CGのない時代に、どうやってこんな風に撮れた?
冒頭、ホテルのバーで商談相手との席から、
2人の悪党(誘拐犯)に一気にカメラが移動する。
びっくりだ。
ヒッチコック作品は音楽の使い方がうまい。
奇を衒わないが、ちゃんとハラハラすべき場面を
観客に知らしめてくれる。
これは、イヤミではなく、現代に通じるセオリーだ。
3.ヒッチコックの代表作か?
WOWOWの番組欄には、「ヒッチコックの代表作」と書いてあった。
確かに、邦題の特異さと合わせ特徴的な作品ではある。
だが、脚本は平板だ。
一番のヤマ場が教授によるタネ明かしだ。
ヒッチコックらしくない感じがした。
本作はヒッチコック長編の46作目。
60歳の時に製作された。
この後、『サイコ』、『鳥』と続くが、
77歳になるまで7作しかメガホンを取ってない。
私は『裏窓』、『めまい』のほうが好きだ。
グレース・ケリー、キム・ノヴァクの美貌と
サスペンスの相性が素晴らしい。
ということで、
私のつける☆は、2.5
ユーモアとロマンス、スリリングなサスペンスが融合した傑作だ。
ロジャー・ソーンヒルは、キャプランという男に間違えられ、タウンゼントと名乗る男に拉致されて、殺されそうになる。本物のタウンゼントは、ロジャーの面前で、何者かに殺されてしまう、、、。
キャプランをめぐる謀略や、敵側に送り込んだ味方のスパイ、その攻防に巻き込まれた男のミステリーだが、大胆かつ華麗に、軽妙なタッチで、二転三転するストーリーを展開させている。
ロジャーが出会った女性、ケンドールとのロマンスもある。真相を求める男が、とっさに思いつく判断で次々と困難を乗り切るのも、本人は真剣でシリアスだが、場当たり的な滑稽さが面白い。
思い返せばありえない展開だが、サクサクと進むテンポのため、鑑賞中はワクワクして見ていられる。よく練られた物語で、スリル満点のサスペンスと、ユーモアに満ちたコメディとロマンスが融合した、アクションスリラーの傑作だ。
極めつけ
とにかく全てに関して上手いね
断片的な記憶が甦る
娯楽サスペンス(ってなんだ?)のお手本
この映画の良いところは何も考えなくても良いこと。
難しいテーマも複雑なプロットもない。
それでいて、兎に角面白い!展開に手に汗握り、主人公のポンコツ具合にヤキモキし、要するにテレビに釘付けになる。
主演のケーリー・グラントの演技に愛嬌があり気取っている感じがしないのが良い。
ヒロインの神秘的な美しさが清涼剤になっている。
007シリーズが大好きな僕はこの映画から007の要素をたくさん感じ取ることができ、とても楽しかった。007ファンなら観て損は絶対にない。
全てのシーンが観客をドキドキさせるその一点に特化していて、人生において「ためになる」ようなものは何一つ得られないだろうが、僕はそこがとても気に入りました。古いからと言って変に身構えず気楽に楽しんでください。
ただ、映画好きはヒッチコックの優れたサスペンスの技巧に注意を払うとより楽しめるかも。ちなみに僕はおもしろ過ぎて、気づいたらエンドロールだった。
何で『ナイフ』なんだ?と気が付けばこの作品の品格が理解出来る。
飛行機とラシュモア山しか印象に残らなかった。いやいや、そんな事無い。
少なくとも、あのジョージ・ロイ・ヒルの映画よりは遥かに優れている。
凄く分かりやすい。台詞がはっきりしている。そして、話の流れがダレない。
やはり、ヒッチコックは職人だと思う。
二回目の鑑賞でこの作品の凄さが理解出来た。
まだ観てない人は幸せだ
わが敬愛するヒッチコック監督が得意とした巻き込まれ方サスペンスの大傑作です。主人公がたまたま悪いタイミングでバーの席を立ったために、悪玉の狙う目標と間違えられる理想的な開幕。あげくに殺人犯に仕立て上げられ(背中にナイフ)、主人公が特急列車で逃走すると、彼を助ける謎の美女が登場してロマンスの花が咲く、という息つく間もない展開!!映画史に残るトウモロコシ畑で軽飛行機に襲われる場面や、ラシュモア山での活劇が終わったとたん、寝台車の中の幸せな2人にカットインする終幕の切れ味も抜群で、2時間16分がアッという間に終わります。ラシュモア山の歴代大統領の横にヒッチコック監督の肖像も飾りたい気分。ホント、まだ観てない人は幸せだ、初めて観る楽しみが残ってるんだから
ヒッチコック映画は展開範囲の狭い作品にこそ彼らしさが…
この映画はヒッチコック作品の中でも人気の
ある作品のようだ(キネマ旬報第11位)。
泥酔運転でのケーリー・グラントの名演技や
複葉機での襲撃シーン、
また巨大モニュメントでの逃走劇などの
魅せるアイデアそのものは
感心するばかりである。
冒頭では主人公を巡る謎の展開から
作品世界へ惹き付けられるだが、
主人公拉致のカラクリそのもののは
前半早々判明し、
以降はサスペンス色が消失して
アクション的展開だけが続いていく。
だから、アクション過多の展開と、
敵と思われた女性との絡み合いの揚げ句に
恋愛成就に至るストーリーは、
まるで007映画を観ているようだ。
そもそもが相手側組織は
いつでも主人公を亡き者に出来るのに、
面倒にもわざわざ複葉機で暗殺を図る手間が
何故必要なのか、
国外に持ち出すフィルムが
何故美術品の中にあり、
何故その落札の場面を設定しなければ
ならないのか、等々
これらのシーンは単に使いたいが為だけに
あるように見え、
ストーリー上の必要性を感じない
御都合主義的な違和感がある。
多分にそんなシーンの多用が
この作品の全体の緊迫感を失わせている
原因なのではないだろうか。
ヒッチコック作品では
「レベッカ」「ダイヤルMを廻せ!」
「裏窓」「サイコ」等の
展開範囲の狭い作品の方が、彼らしい
濃密でサスペンス色に溢れた映画に
なっているように感じる。
ヒッチコックならではの奇抜な展開
ドキドキします
名作だったが風化してしまった
このヒッチコックの優れたサスペンスをお手本にして、その後あまりにも多くのサスペンス映画が作られた。 それによってこの映画は今見ても目新しさの感じられない つまらないものになってしまったと思う。 実は最近この映画を観なおしてそう思った。 この映画が公開された頃・・・もちろん私が生まれる前だが ・・・サスペンスの傑作は少なかったのでこの作品は相当衝撃的だったはずだ 。それだけにヒッチコックの独特の演出が効いていたし 緊張した中に盛り込まれたギャグが 異様な雰囲気を醸し出していた。 私が初めて見たころは、まだ風化しておらず、私はこの映画をみて自分の
ベスト5に入れた。
しかしこの作品は多くの後の監督たちにこねくり回され風化してしまった 。今の若い人たちがこの作品の面白さを知ることはないだろう。それがとても寂しく、また逆に彼らが可哀想だと思う。今の時代にこんな衝撃を与えてくれる監督はいないから。
アクション映画の教科書
わけも分からず追いかけられ、美女もやってくるがなんか怪しげ。
サスペンスと奇想天外なアクションシーンで手に汗握る展開だが、主役がケーリー・グラントなので助かっている。
エバ・マリー・セイントは美しく、真面目さが滲み出している。
タイトルはかっこいいけど。
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