冒険者たち(1967)のレビュー・感想・評価
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レティシア
制作当時、アラン・ドロン31歳、リノ・ヴァンチュラ47歳、決して若くはない二人の男に、何とも可憐で瑞々しいジョアンナ・シムカス、この3人の男女が夢を求め、野望に満ちた冒険に挑む、どこか無器用で不得要領の3人による、痛快で、ほんの少しセンチメンタルな名作です。
少しは人生経験を重ねて世事人情に通じた中年の男、己の野心へ一直線に猛進する若者、自らも夢を求めつつ彼らを優しく包容する女、この絶妙な組合せは、本作の2年後、『明日に向かって撃て!』でも踏襲され、寧ろ邦画で多くのオマージュ作品を作られたパターンですが、全て本作が起源です。
やはり、それはジョアンナ・シムカス演じるレティシアの、愛くるしい温雅な存在感に起因します。
若者の夢と野望を追い求める直向きさ純粋さ、そしてそれが挫折した後の空虚感と脱力感。でも青春は常に新たな冒険を見出し全力疾走する、若さゆえのその不屈の勇猛心と果断さ。そこに立ちはだかり阻害する邪な大人たちを撥ね退け、一途に突進するその逞しく美しい若者像には、遥か遠い過去に失ってしまった覇気と膂力への憧憬を心から感じます。
エッフェル塔を目指すパリ市街のスリリングな俯瞰映像、熱帯の太陽に眩く照り映える海の美しさ、そして不安と緊張によるトランス感を高める要塞島廃墟、印象的な情景が数多いのも本作の魅力ですが、何よりレティシアが滄溟の海中に沈んでいくシーンの、モノトーンの蒼い陽光に包まれた凄絶なまでの壮美は、いつまでも記憶に残ります。
男女3人の奇妙で微笑ましい友情と愛情、心地良いその関係が呆気なく破綻した後、夢に辿り着いたにも関わらず二人の男に去来する虚しさと遣る瀬無さは、レティシアの沈むシーンが強烈に効いて大いに共感させます。
本作を彩る、今一つの大きな要素は、口笛で奏でられる、いみじくも「レティシア」と命名されたテーマ曲でしょう。あの哀愁に満ちつつもリズミカルで流麗な旋律は、青春のロマンを感じさせつつ、切なく儚い本作のラストを想起させ、今聞いても胸が熱くなります。
3人がキラキラ輝いている
「太陽がいっぱい」のアラン・ドロンを観て
今作も観たくなる。3人の主人公達がそれぞれに
魅力的。アラン・ドロンも美しさに渋みがかかっている。音楽もいい感じ。
レティシアが海で亡くなり二人の男性に
よって水葬されるシーンも幻想的。
海に浮かぶ要塞も雰囲気がある。
映画自体の雰囲気を味わう映画。
昔のフランス映画...
男2人と女1人という組み合わせで旅をしているだけで楽しいんだろうな、と思う。
要塞島といいコンゴの海といい、ロケーション抜群。
しかし、レティシアも、アラン・ドロン演じるマヌーも突然、訳も分からないままあっけなく死んでしまう。
他にも銃撃のやり合いで多くの人が死んでいて、なんとも言えない後味の悪さを覚えた。
コンゴでのアラン・ドロンは髭を生やしてワイルドだったなあ。
とても気持ちがいい
アラン・ドロンが飛行機を乗り回して、船で海に出て水中にもぐって、要塞のような島もすごい。女の子もきれいで性格がよくて気持ちがいいし、島の男の子もかわいい。彼女が亡くなって、アラン・ドロンと友達でお金を身内に渡しに行くのも素敵で、何から何まで気持ちがよかった。テンポもすごいくいい。
たまに見たくなる映画
ストーリーははっきり言って全然面白くない。イケメンと美女と渋い役者...
船に揺られているような作品
依頼された仕事で永久免停になったパイロット(アラン・ドロン)&レーシングカーを改良して走るも車が燃えちゃった元レーサー、廃車の部品を集めてアートを作る芸術家の女。
この3人が噂で聞いたコンゴの海に沈んだ宝を探しに行って、あったー、バンザーイ。と思ったけどそうじゃなく。
出会い⇒宝探し⇒侵入者⇒女性の故郷へ。これがどうもいまいち盛り上がらず淡々と進むなあと、船に揺られた気分で観てました。
後半になるとやっと話が動き出しました。
「女性の語った夢は、こういくことか」など、お!と思うところも出てきました。
終盤は女性の甥っ子も登場して二人と絡んできて、めでたしめでたし。じゃなかったです。
あんなにゆったりしたストーリーだったのに、終わり近くでガラッと変っていくのに、びっくり。
そして切ないラスト。「マジかー」。
ゆったりした話の流れだったけど、不思議と眠くはなかったです。
タイトルなし(ネタバレ)
アラン・ドロンの新たな一面を見たような気がした。三者三様、魅力的。古い映画とは思えない新鮮さですぐに映画の世界に引き込まれていった。水葬するシーンは幻想的で哀しみが沈みゆく海と同じように深まっていく。 アラン・ドロンのラストのセリフと美しい死に顔がたまらなく良かった。
今なお色あせない作品
何気に男友情物語で泣ける。
夢破れた夢追い人の新天地への冒険記
総合80点 ( ストーリー:80点|キャスト:75点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
自動車エンジン開発と曲芸飛行という、夢を追う二人の男同士の友人の間に芸術での成功を夢見る若い美女が加わる。三人の微妙な関係が始まり、三人の夢がそれぞれ敗れたときに新天地を求めて新しい運命が動き始める。その恋の行方と一緒に宝探しの結末をはらはらしながらも爽やかに観ることが出来た。アラン・ドロン作品でこのような若さの躍動する作品があるのを知らなかったが、いい意味での驚きだった。この儚く沈んでいく前半部分だけの話で二時間の作品にしてもいいくらいの上出来な内容でした。
後半はいかにもフィルム・ノワールなフランス映画らしい展開になっていくが、それはそれでいい。フランスの田舎の独特な風景を使って、生き残った男たちの刹那的な雰囲気を出してくれていた。
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