ベン・ハー(1959)のレビュー・感想・評価
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2019年に観ても新鮮
キリストの話
映画ってこういうの
大作
凄いの一言!
社運を賭けた超大作
大まかな粗筋はすでに知っている作品。だのに、なんでこんなに魅入られるのだろう。
どなたもおっしゃることだが、ガレー船のシーンも、レースのシーンも、あら捜しをすればいくらでもできると思うが、そこらへんのCG物より迫力満点。他のシーンも見ごたえある。
DVDについていたヘストン氏等の解説を伺うと、当時TVの台頭により斜陽となった映画界・映画会社。そんな衰退の危機に社運をかけて制作された映画。豪華絢爛・広大なセットも、実は使いまわしと聞いてうなってしまった。
そんな中で選ばれた題材。副題に『キリストの物語』とつくベストセラー。
とはいえ、世界中の、キリスト・ユダヤ教以外の人にも見てもらわなければ、赤字になる。だから、極力キリスト秘話(賛歌)は削ったそうだ。
ローマ(抑圧者)に痛めつけられても、誇りを・他者へのやさしさを失わなかった男が生きる希望を見出す物語。
1950年代。未だナチスの傷跡が濃く、反面赤狩りも始まっていた時代。ローマという古の悪役に、観客の怒りを投影させる。そこに不屈の男。その技量で抑圧側の総大将からも愛でられ、奴隷から跡取りへと出世を遂げる。だが、自身の栄華のみではなく、親族の・民族の悲運のために戦おう。とはいえ、いつまでも恨みを背負っていれば世界はまた戦争になる。そこに”赦し”。奇跡もキリストを信じたからではなく、ただ無実の者への哀れみを持っていたからだという設定(説法を聞きに行っていたエスターが奇跡を受けるのではなく、初めて出会った母と娘が奇跡を受ける)。抑圧者から受けた業病もきれいに洗い流され、”愛”の未来をというところで映画が終わる。
だからかな。キリスト教者ではない私も、ジュダや周りの人間に気持ちを寄せて、様々な感情を揺り動かされて見入ってしまう。
この原作の映画化は、すでに何本もある。だのに、この古い映画を越えるものができたという話はまだ聞いたことがない。他の映画は未見だが、観てがっかりしたらどうしようと思ってしまうほど、この作品の完成度は高い。
プロデューサーの急死等すんなり完成とはならなかった作品。
役者も、ヘストン氏がメッサラをとか、様々に変転したらしい。
監督は、族長を演じたグリフィス氏や皇帝を演じたレルフ氏を「さすが、シェイクスピアの国の役者だ」「舞台役者だ」と褒めていた。うん、多少舞台役者らしい大仰な立ち回りとかはあるけれど、品格が備わっている。ピラトを演じられたスリング氏の所作なんて、生まれもっての貴族ってこういう立ち姿なんじゃないかしらなんてうっとりしてしまう。そのくせ、親友の跡継ぎに対する思い入れと為政者としてのいやらしさを的確に表現して見せてくれる。
レースの観客はエキストラ。ゴールしたジュダの馬車を、コースに降りて追いかけてくるのは演出ではなく、自然発生的に起こったことだそうだ。さすが、イタリア人(笑)。
馬車(戦車)から落ちかけた場面は本当にあった偶然のミスだそうだ。そんなアクシデントさえ、没にせず、使いこなす演出(ちなみに、解説では「死人はでていない」を強調していた)。
ことこまかに、しつこく取り直した場面と、このような偶然をそのまま使うセンス。さすがだ。
このような解説を伺ってもう一度鑑賞しなおすと、単なる数奇な運命をたどった青年の物語としてではなく、エスターの、メッサラの、言動に新たな意味を付与してしまう。そして、最後の嵐とともに、心のオリが洗い流されるような清々しさで終わる。
一度は鑑賞してもらいたい古典だと思う。
しかし、この映画でのヘストン氏がレッドメイン氏に、
スリング氏がリックマン氏に見えてしまうのは私だけだろうか?
スリング氏とリックマン氏はともかく、
ヘストン氏とレッドメイン氏ではムキムキ度が違うというのに…。
歴史 戦車 赦し
凄すぎる・・・
戦車レースのシーンだけでも名作
小学校の時に学校から見に行き、70ミリの巨大スクリーンに圧倒された。
チャールトン・ヘストンとスティーブン・ボイドが忘れられない俳優となった。
4時間弱という長尺を、よくぞ見ることが出来たものだと思う。
「死病」という字幕はこれまでに変えられてきたと思う。
CGのない時代、よくぞこれだけの映画を作ったものだと感心してしまう。
ミクロス・ローザの音楽はサントラ盤を買ったと思う。
何回見ても面白く、興奮する。
私は無神論者です。世の中を混乱や争いに導いている神を多く見ているよ...
●集中力続かず。
圧巻のサーキットとユダヤの視点
ガレー船の艦隊決戦や船底での奴隷の漕ぎ手たち。そして何よりも、四頭立て戦車の壮絶な映像が圧巻。一部にはめ込み合成を用いているものの、本物の戦車をいくつもサーキット上を走らせている。一台、また一台と落伍し、落車した乗り手には恐ろしい危険が待っている。現在のような特殊効果やCGの無い時代によく映像化する気になったと思う。その意志と技術力は素晴らしい。
このサーキットのシークエンスが、「スターウォーズ エピソードⅠ」のポッドレースの元ネタであることは明らか。ジ(ェ)ダイの活躍するジダイ劇を撮ったジョージ・ルーカスが、西洋人にとってのポピュラーな時代劇であるローマ時代の作品を観ていない訳がない。
そもそも、共和国議会議長パルパティーンが巧みな計略によって銀河第一帝国初代皇帝となるスターウォーズの筋書きは、カエサルの養子ではあっても無名だった青年オクタヴィアヌスが、ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスとなる歴史をなぞっているのだから。
キリストの誕生と処刑というプロローグとエピローグを持つこの作品は、もちろん東欧系ユダヤ人が支配するハリウッドの大作である。彼らの市場におけるマジョリティーであるキリスト教徒に対するサービスとしてのこの伏線は、主人公もその一人であるユダヤ教徒の冷めた視点から描かれている。
キリストの容貌と声は観客には分からないし、その「ありがたい」という話の具体的な内容にも触れられることはない。映画に出てくるキリストがやったことは、砂漠を護送中の囚人に水を差し出す慈悲の行為と、死に際に嵐を巻き起こして伝染病を消滅させるという奇蹟だけなのだ。
ここでは、極めてカリスマ性の強いユダヤ教のラビとしてキリストは描かれおり、処刑の理由すらもはっきりとは語られない。こうして、なんだかよく分からない人キリストや彼の信奉者がユダヤ人/教徒であったことをしっかりと示している。
このようにキリストと神の関係への言及を注意深く避けている繊細さを持ちながら、アラブという概念への言及は迂闊に思える。紀元1世紀の物語でありながら、「アラブ」人がユダヤ人と共にローマ帝国による支配への抵抗を叫ぶシーンに唖然とした。地理的・歴史的考証を一切欠いた、極めて大雑把なオリエンタリズムの視点が露出した瞬間に思えた。
"魅せる"スペクタクル大作!
当時の歴史的背景を把握しておかないと楽しめないのは確かです(その点、高校の世界史が役に立ちました)が、この『ベン・ハー』は、一つのスペクタクル・エンターテイメントとしての完成度が非常に高い"傑作"だと思います。考えられるでしょうか?豪華セットの数々、大大大人数のエキストラなど、合わせて1,500万ドルという巨額な製作費を一作に投じるなんて!今ではCGですよ…監督は、『ローマの休日』で知られるウィリアム・ワイラー。主演はチャールトン・へストン。
これだけだと、ただお金にものを言わせて作った無駄に長い史劇だと思われても仕方ないでしょう。なぜ、"傑作"なのか。その理由は壮大なストーリー(脚本)にあります。主人公ジュダ・ベン・ハーの数奇な人生、すなわち愛する家族を失う悲しみ、旧友とのすれ違い、裏切り、追放先での様々な出会い…挙げたらキリがありません。"見せる"だけでなく、"魅せる"演出の数々が、本作を歴史に残る"傑作"にしたのです。
馴染み深き名作
わざわざ説明する必要もナシ。
ハリウッド史劇スペクタクルの代名詞の一つで、アカデミー賞最多11部門受賞作。
旧友の裏切りで奴隷となった男の復讐を描いた、「グラディエーター」の原点。
個人的にこの作品には愛着ある理由が二つある。
まず一つは、中学生時代に授業で見た事があるから。
中学生の頃なんてまだ大して洋画など見ておらず、それこそゴジラやドラえもんやドラゴンボールの映画を楽しんでいた。
そんな時に「ベン・ハー」だなんて今思うと敷居が高いような気もするが、これがなかなか抵抗なく見れた。
軍艦同士がぶつかり、船底で奴隷たちが血まみれになるシーンなんてドキリとしたし、本作最大の見せ場、闘技場での戦車競争シーンはハラハラドキドキ。この戦車競争シーンは今見ても全く褪せる事無く、「七人の侍」の雨の中のクライマックス合戦シーン同様、二度と真似出来ない名シーン。
なので、今でもハリウッド往年の名作と言うと本作が真っ先に思い浮かぶ。
以来何度か見ているが、今回実に久々に鑑賞。10年振りくらい?以上?
改めて感じたのは、こんなに宗教色が濃かったかなと。ベン・ハーの波乱万丈の人生と共にキリストの生涯も並行して描かれ、常に信仰心がある。
別にそれが悪いという訳でもなく、実は愛着ある理由の二つ目である。
昔通っていた幼稚園に教会があり、キリストの物語を習っていた事がある。
ここで断っておきたいのは、だからといって自分はクリスチャンなどではなく、単に馴染みがあるという理由だけである。馬小屋で生まれ、磔にされた後に復活したのを物語の一つとして面白く聞いていた。
さて、この宗教色の濃さは人によって好き嫌いが分かれる所だが、これが本作最大のテーマ。
憎悪や復讐などの淀んだ心が清められる。
信じる者は救われる。
奇跡。
赦し。
慈愛。
ベン・ハーが砂漠で喉を涸らしてた時、キリストが水を与えるシーンは個人的に最も好きなシーン。
3時間半の長尺で語るに相応しい一大巨編。
名作はいつ見ても見応えある。
一度でいいから劇場大スクリーンで見てみたい!
スペクタクル映画のはしりかなあ
新・午前10時の映画祭
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