「【”私は彼の間奏曲だったんです。”名バイオリニストと、彼の娘のピアノ教師との許されざる恋を描いた作品。男の家庭と自身の新たな道を考えピアノ教師が身を引くシーン及び妻が男を赦すラストシーンは沁みます。】」別離(1939) NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”私は彼の間奏曲だったんです。”名バイオリニストと、彼の娘のピアノ教師との許されざる恋を描いた作品。男の家庭と自身の新たな道を考えピアノ教師が身を引くシーン及び妻が男を赦すラストシーンは沁みます。】
■名バイオリニスト・ホルガー(レスリー・ハワード)は、娘・アン・マリーにピアノを教えるアニタ(イングリッド・バーグマン)の演奏を聞き、自分の伴奏者として迎える。
2人は音楽を通して心を通わせるなかで次第に惹かれあっていくが、アニタは妻子あるホルガーを恋慕することに苦悩し、彼のもとを静に去るのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作は、所謂不倫の物語であるが、ホルガ―もアニタも深く愛し合いながらも、節度を守っている。
・更に、ホルガ―の友人、トーマスやアニタのピアノの先生であるステンホルクも二人を心配しつつも、最後の決定は彼らに委ねる寛容さを持っている。
・アニタは、憧れの巴里の奨学生合格通知をステンホルクから受け取るも、それをホルガ―に知らせずに、演奏ツアーを続けるのである。
ー アニタの揺れる心を若きイングリッド・バーグマンが見事に演じている。-
■だが、ホルガ―が懊悩しながらも家庭を捨てると知ったアニタは、彼の元を離れる決心をするのである。そして、彼に告げずに身を引くのである。
・再後半、ホルガ―が(家庭には戻れないので)一目、娘アン・マリーの姿を見ようと学校に行った時に、アン・マリーは車中の父親の姿を見つけ、車に撥ねられてしまう。
ホルガ―は娘を抱え、家に戻る。息子エリックから”何で戻って来たの。”と冷たく言われた時のエリックの言葉。”父親を子供達は神様だと思っている。けれど、実際は人間なんだ、過ちも犯す・・。”それを聞いたエリックは父の身体に身を寄せるのである。
<ラスト、無事、アン・マリーも回復に向かう中、一時は離婚届を送って来た妻マーギットが、ホルガ―に対し、微笑みながら”貴方、お帰りなさい。”と言うシーンも良い。
不倫は勿論いけないが、節度ある二人は一度は恋に落ち、全てを失いかけるが理性を持って夫々の生きる道に戻って行くのである。佳き作品であると思います。>