「詐欺師の親子の旅物語(ロードムービ-)」ペーパー・ムーン かつみさんの映画レビュー(感想・評価)
詐欺師の親子の旅物語(ロードムービ-)
1930年代、禁酒法施行下のアメリカが舞台のモノクロ映画。
オンボロ車に乗りながら運転席には聖書を売りながら詐欺師の男と(ライアン.オニール)
、知人の娘。むっつり顔の9才の女の子(テータイム.オニール)
を乗せて、たびが始まる。車からは1930年代のラジオの番組。流行歌や黒人ジャズが流れている。
良き時代のアメリカの風景が、走る自動車の窓から見えてくる。
何とも粋な映画だろう。この映画の楽しさはなんと言っても実の親子でもある、詐欺師の親子の絶妙な掛け合いだ。詐欺師と言っても、どこかユーモラスでおっちょこちょい。詐欺師でも悪意が感じられない。そしてなんと言っても、テータイム.オニールの賢くウィットにとんだやりとり。
9才の女の子の機転の利く助けで、売れなかった聖書が次々と売れる。
女の子にせがまれて、夜の遊園地の中で、ペーパームーン(紙のお月様のモニュメント)に座り写真を撮る二人。
いつもはむっつり顔の女の子が、この時ばかりは頭にリボンを付けておすまし顔。
ロマンチックでモダンなロードムービ-。
叔母さんのところまで、届けるつもりの出会いだったが…いつしか、本当の親子のような愛情が芽生え。
作り物の紙の月様が、本物のお月様に変わるとき。
映画を観るものに、優しい気持ちにしてくれる、1970代の名作映画。
これぞ、アメリカ。
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