ペイルライダーのレビュー・感想・評価
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不朽の名作許されざる者へのステップになった習作と言えると思います
ペイルライダー
クリントイーストウッド監督主演の1985年の西部劇
ペイルライダーとは、『ヨハネの黙示録』第6章第8節に記される、第四の封印が解かれた時に現れる騎士のことだそうです。青白い馬(蒼ざめた馬)に乗って地上の人間を死に至らしめる役目を担っているのだそうです
タロットの死神のモデルのことです
なーんてそんな難しい話はあんまり関係なくて少女が神様に奇跡をお示し下さいと祈ったから村人を救う為に現れた死神というだけのことです
深読みしてもそれ以上ありません
お話は1973年の荒野のストレンジャーのリメイクみたいなもの
荒野のストレンジャーは、悪党だけでなく、主人公を見殺しにした街の人間にも徹底的に復讐をして去りますが、本作では悪党だけを復讐して去ります
そこが違います
イーストウッド監督からすれば、主人公を見殺しにした街の人間にまで復讐の天罰を与えたのはやっぱりやりすぎたかなとの反省があったのかも知れません
スカッとしないのです
しかし本作のように超人的なヒーローの勧善懲悪だけでの映画ではシェーンの焼き直しとしか評価されないということをイーストウッドは本作では学びます
その反省が次の西部劇に活かされて、不朽の名作1992年の許されざる者に繋がって大成功を納めることになったのでは無いでしょうか?
闘争シーンに関しては観客を呆然とさせるところまで描いて観客の度肝
抜く、しかしストーリーはあくまでも単純な勧善懲悪で純粋なカタルシスを与える
それが許されざる者の制作方針になったのです
つまり本作は不朽の名作許されざる者へのステップになった習作と言えると思います
蛇足
スカッとしたくて西部劇を観たのに、全然スカッとしない
いや本作の問題ではなくて、観ているこちら側の心理的な問題で
本作の渓谷で金探しする村人達
襲いくる悪党ども
悪党は悪党なりの理屈をのべて自分の好き勝手を行うのです
暴力が恐ろしく刃向かうことも出来ない村人達
既視感が強い
ウクライナを侵略するロシア
南シナ海を我が物としようとする中国
彼らの主張することと、本作の悪党の親玉の言うことの相似形
そして村人達を励ます主人公は
いよいよとなると村を出て行ってしまう
果たして現実世界は本作の主人公のように村に戻ってきてくれて悪党どもをやっつけてくれるのでしょうか?
なんか今は1000ドルで手放した方が身のためだぞと言っているようにみえるのです
さすがに悪党の親玉に呼ばれて来る悪い保安官にはならなくても、牧師さんのように戦ってくれるのでしょうか?
そんなことがグルグルと頭を渦巻いて少しもスカッとしないのです
トランプ大統領が就任する1月20日、もしかしたらウクライナは悪党の言うことを聞いてひきさがらざるを得なくなるのかもしれません
え?その方が身のためだと牧師さんがそれを説得するのか?と
そしてそれは明日の日本姿になるのかもしれないのです
しかしどんどんコーナーに追い込まれている感がするのです
だから全然スカッとしないのです
もっと評価されてもいいのでは
アウトローと許されざる者の間に放たれたイーストウッドによる西部劇。アウトローはイーストウッド自身がお気に入りと言ってるし、許されざる者に至ってはもはや言うまでもないみたいな感じで、あまり注目されてない感がある本作。深いテーマみたいなものは無いし、ストーリーは直線的なので分からなくもないものの、聖書や神話との繋がりを意識した演出と雰囲気が堪りません。情報が極限まで削ぎ落とされた多くを語らない脚本も、観客の想像を膨らませることに成功しており、王道西部劇に留まらない独特な風格が本作にはあると感じました。
映像も素晴らしい。全編にわたってカメラに収められてる空気の冷たさと闇の中に浮かび上がる優しい光が、作品の神秘性を効果的に高めてます。
あとは音ですかね。音楽も要所要所に使われてますが基本は自然音。焚き火や川の流れ、岩を打ち付ける金属音など実はこういった音が意外と作品を支えているんだなと気付かされました。
大好きな作品です。個人的にはもっと注目、評価されてもいいと思ってます。
ミーガン、恋をするには若すぎたか・・・
最初は良かったけど...
のどかな村に「何てことするんだよ!」という形でスタート。波風立てない優しそうな人達だったから尚更かわいそうな感情が沸いて、いきなり話に引き込まれる展開は良かった。
その後はアクション等の刺激的な場面はありませんが、自然をバックに人情味のある話が続きます。でもちょっと和むシーンが長かったなぁ。おてんば系の娘だったり、結婚するしない、「金」を見つけたとか話題はありますが、これといって印象に残りませんでした。逆を言えばイーストウッドの存在感が大きかったのかもしれません。
「007」のリチャード・キル、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の吹替ビフの声(谷口節さん)とか個人的に注目したことはあったけど、ストーリー自体は少しずつ、少しずつ退屈に思えてしまいました。
いざ対決もあっけなくて...かすり傷ひとつせず去っていくなんて格好良すぎますよ(苦笑)
というわけで、最初の部分が一番良かったです。
痛快
シェーン(1953)のアレンジ+リメイクで傑出した映画が東西にある。東は遙かなる山の呼び声(1980)で西は本作だと思う。わたしはこれをダビングしたVHSで繰り返し見た。亭主が荒っぽい奴を拾ってきたと思ったらクレリック襟なのでプリーチャーと呼ばれる。いっけん西部劇だがキリスト教の神話を翻案したファンタジーとしてつくられた。だが、その気配はほとんどない。もし気配がある──とすれば、ヒーローの活躍に、危うさがまったくないところ。やられそう、とか、いったんやられるとか、形勢不利がまるでない。ようするにヒーローが無敵。この方法は観衆の安心につながる。後年イコライザーを見たときペイルライダーを思い浮かべた。ぜったいに大丈夫なヒーロー像ってのは、あんがい珍しい。はずである。
繰り返し見たシーンは雑貨屋の店先に売られていた白木の棍棒で与太者たちを伸すところ。「パコーン」と(音がするようで)爽快だった。いっぱいあるがもうひとつあげるとラストちかく。街に乗り込んで最終決戦をする直前、亭主はプリーチャーの心遣いでわざと置いてきぼり(馬を逃がされ)にされ、悪漢は全員プリーチャーがやっつけた──と思いきや、さいごの一人が銃口を向けている。そいつを亭主が撃って、終わる。
Long walk.(だいぶ歩いたな)(馬をうしなっていたから歩いて街にやってきた──ので)。マイケルモリアーティがyepと答える。pは発音しなかった。なんども見た。語り尽くせない。黙示録の四騎士が元にあるそうだがどこまでも痛快な西部劇になっている。ペイルライダーやほかの数本の映画を思い出すときVHSの断捨離を後悔する。ことがある。
日本映画や文化へのオマージュに溢れている
西部劇は苦手だがイーストウッド作品だけは別。絵になる。挙止動作がい...
リアルな西部劇?
ラフッド一家と言っても鉱山を興す企業家だ。19世紀といえども残酷な人殺しはしないというリアリティがある。保安官の買収問題や、土地の権利問題など、現代でも通用しそうな展開が面白い。
中盤、峡谷の者が土地を手放すために一人1000ドルという契約を持ちかける。買収に応じず村に骨をうずめる決意をした20人の男たち。頼りの神父も出ていってしまった(拳銃を取りにいっただけなんですが・・・)。 スタックバーン保安官と6人の部下たちという敵も面白い・・・
西部劇の古き良き時代を懐かしんで作ったような作品だが、勧善懲悪とは言えないくらい、町の人たちの考えもアメリカ的。タイトルからして、もしかして幽霊のような存在かとも思えたのだが、正体は不明のままだ・・・重く、暗く、寒くなるような雪山を背景にしているのも雰囲気がありますね。
真冬のイーストウッド
「シェーン」もどき
総合60点 ( ストーリー:55点|キャスト:70点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
無法者の権力者がいて、困っている金採掘をしている集落があって、そこに凄腕の男が現れて戦うという、あれふれた定番の西部劇で、「シェーン」にも似ていて新鮮味はあまりない。
どうにもわからないのはイーストウッド演じる牧師は何故彼らを助けたのかということ。「シェーン」では家族への親愛というか愛情が動機として感じられたが、この作品では何がきっかけで彼は関係のない集落のためにここまでするのかがわからないままに話が進むのはどうにもすっきりしない。
しかし金採掘の集落の暮らしの描写が視られたのは良かったし、登場人物と演出は悪くなかった。
あまりにも直球な西部劇
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