「【イーストウッド監督作の中でも、コミカルで明るい雰囲気を漂わせる人間味溢れる作品。今作は正に”情けは人の為ならず”ムービーであり、観ていて気持ち良き作品でもあります。】」ブロンコ・ビリー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【イーストウッド監督作の中でも、コミカルで明るい雰囲気を漂わせる人間味溢れる作品。今作は正に”情けは人の為ならず”ムービーであり、観ていて気持ち良き作品でもあります。】
■ブロンコ・ビリー(クリント・イーストウッド)率いる旅一座“ワイルド・ウエスト・ショー”のショーマン達は、過去に様々な辛い経験をしている人ばかり。
けれども、皆ビリーの人柄に惚れこんで、旅を共にし、芸を披露している。
そこに現れた高飛車な美女アントアネット・リリー(ソンドラ・ロック)。彼女は父親の遺産を継ぐために愛のない結婚をジョン・アーリントン(ジェフリー・ルイス)としたのだが、そのツレナイ態度によりジョンに荷物一式を持ち逃げされ、一文無しになっていた。
一方、ジョンもリリーの継母アイリーン・リリー(ビヴァリー・マッキンゼイ)と弁護士の入れ知恵によりリリーを殺した事にしたために、タイヘンな目に合っていた。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・序盤のブロンコ・ビリーの馬を走らせての曲芸や、二丁拳銃を使ってのアクションショーなど、サーカスを見ている様で楽しい。序でに毒蛇ショーを行うインディアン夫婦チーフとロレイン。(妻はインディアンではないが)チーフはショッチュウ、蛇に噛まれたりしている。
・ブロンコビリーの助手の女性がナカナカ見つからない中で現れたリリーを、助手にするシーンも最初は合わないが、徐々にタイミングが合って行くのも、二人が実は相性が良い事を示している。(そりゃ、そーだ。ソンドラ・ロックだからねえ。)
■この作品が良いのは、不遇な少年時代や最初の結婚で哀しき思いをして、牢に7年も入っていたビリーが、人間の善性を持っている所であろう。
インディアン夫婦チーフとロレインに子供が出来た時には、皆で酒場に繰り出すし、その後、一座のレオナードが酒場で喧嘩し、脱走兵だと分かった時も、ビリーは全財産を保安官に渡し、彼を釈放させるのである。
又、無一文になった彼らが、列車強盗をしようとするシーンも、クスクス可笑しい。イーストウッドの遊び心シーンであろう。
彼の一座は、無償で孤児院を毎年、慰問しているし、彼らのテントが焼けてしまった時も精神病院を慰問するのである。
そこで、ジョンと出くわすのだが、ビリーは精神病院で患者たちが作っている星条旗を使ってテントを修復するのである。
<ニューヨークに連れ戻されたリリーは、失意の余り自殺しようとするのだが、そこに掛かって来たロレインの電話。
そして、彼女はギリギリ、“ワイルド・ウエスト・ショー”に間に合い、観客から拍手喝采を“ワイルド・ウエスト・ショー”の仲間達と共に浴びるのである。
今作は、イーストウッド監督作の中でも、コミカルで明るい雰囲気を漂わせる人間味溢れる作品なのである。>