劇場公開日 1986年5月17日

「スクリーンの中の友達」ブレックファスト・クラブ NandSさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0スクリーンの中の友達

2023年4月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

難しい

幸せ

前提として
・ジョン・ヒューズ&ネッド・タネン監督の作品は未視聴。
・ブライアンとアリソン推し。

五人の高校生が少しだけ大人になる瞬間。
そんなピュアで生傷だらけの時間を、映画として切り取った作品。

最初に観た時、よくわからなかった自分がいた。23歳でこれを理解するにはまだ早いのか、対人経験値がまだまだ足りないのか。
2回観て、少しだけ理解できたような現状である。

この中の誰か一人とは絶対に友達になれると思う。
自分の悪いところとかちょっとだけ良いところとか、それらを話し合っていく中で露にしていく。友達になれる感じがするし、実際の対人関係でもこんな感じだよね、と納得できる。
友情を超えた愛とかもあるけれど、絶対に他人を愛さなくてもいい。自分自身を愛したっていい。でもそれは他人が居なくてはできないこと。そんな大事なことに気づかせてくれる。

いじめっ子にも悪人にもみんな同じように感情があって、みんな同じように悩んでいる。嫌なことや悩みは違くても、話し合わなければ知らないままで、時間が過ぎてしまう。友達にもなれない。
自分にもこんな時間が、こんな経験があったら生き方も少し変わったのかな、なんて羨ましくもなる。

"(友達を)無視するのは卑劣な行為だ"。
この言葉はすごく刺さった。大学生を超えて社会人になると特にそう感じてしまう。
友達未満とも言える知り合いが増えた結果、挨拶もせずにすれ違う状況に何度も遭遇した。自分の心の何かが死んでいるような、自分だけ何か悪いことをしているような、そんな気分になる。
この、本当に大事だけど忘れがちなことを、みんなで話し合える空間が愛おしい。

映画的なシーンにときめいたり、音楽に少し不満だったり、ランチシーンや靴の巧みさだったり、キャスト陣に拍手を送りたくなったり……色々な批評点はあるのだろう。
けれど、面白いとか面白くないとかそういう指標でこの映画は観ない方が良いのかもしれない。
心にゆっくりと沁みるような、時間を置いてまた観ると見方が変わっているような、そんな作品。

NandS