フランス軍中尉の女
劇場公開日:1982年2月27日
解説
英国ビクトリア朝時代に“フランス軍中尉の女”とさげすまれた一人の女性の愛の物語を現代の俳優が演じるという二重構造のラブ・ストーリー。製作はレオン・クロア、監督は「ドッグ・ソルジャー」のカレル・ライス。「コレクター」のジョン・ファウルズの原作を基に「恋」のハロルド・ピンターが脚色。撮影はフレディ・フランシス、音楽はカール・デイヴィス、編集はジョン・ブルーム、製作デザインはアシュトン・ゴートン、衣装はトム・ランドが各々担当。出演はメリル・ストリープ、ジェレミー・アイアンズ、レオ・マッカーン、リンジー・バクスター、ヒルトン・マクレー、ペーシャンス・コリアーなど。
1981年製作/123分/イギリス
原題または英題:The French Lieutenant's Woman
配給:ユナイト
劇場公開日:1982年2月27日
ストーリー
1980年5月。英国ドーセット州ライム・レジスでアメリカ人女優アンナ(メリル・ストリープ)と英国の若手俳優マイク(ジェレミー・アイアンズ)が新作の撮影に入っていた。ビクトリア朝時代を舞台にした大恋愛映画である―時代は1876年。考古学研究のために、イングランド南西部の小さな漁村ライム・レジスに滞在中の考古学者チャールズ(ジェレミー・アイアンズ)は、地元の権力者の娘アーネスティナ(リンジー・バクスター)との結婚を決意した。彼女は、喜んでプロポーズを受けると、早速彼と共に海岸線へと散歩に出た。そして、荒波が吹きよせる埠頭の先端に人影を見るチャールズ。「あれがサラ・ウッドラフ(メリル・ストリープ)、フランス軍中尉の女よ」。アーネスティナが冷やかに言った。「気をつけて」思わず声をかけたチャールズに目を向けた黒マントの女サラは、蒼白で悲しみに沈んだ表情をしていた。その日から、チャールズの胸裏にサラのことが焼きついていった。一方、雇い主に死なれたサラは、厳格で知られるポートニー夫人(ペーシャンス・コリアー)のもとで働くことになった。やがて、化石の宝庫であるアンダークリフと呼ばれる場所でチャールズは再びサラを見かけた。そこは、サラにとって唯一の安らぎの場所だったのだ。初めて言葉を交わす2人。アンダークリフに来たことを内緒にして欲しいと告げて去るサラ。そして数日後、ポートニー夫人と共にアーネスティナを祝福するパーティーにやって来たサラは、チャールズに手紙を手渡し、その夜彼を墓地に誘い出した。そこで数日後にアンダークリフで会うことを約束したチャールズは彼女の行動を理解できないまま、医師グローガン(レオ・マッカーン)を訪問し、相談した。グローガンは、単に孤独を楽しんでいるサラの愛の犠牲者にならぬようにと忠告した。翌日、アンダークリフで、フランス軍中尉との悲恋を告白したサラに、チャールズは愛しさを感じた。自分を抑えてサラには会わないと決意する彼だったが、サラがポートニー夫人に追い出され失踪したという知らせを聞いて動揺した。納屋にいる彼女を見つけ、ロンドンヘと逃がし、彼は彼女を追ってロンドンへ発った。町の宿で初めて結ばれる2人。そこでチャールズはサラが処女であったことを知り茫然とした。彼はライムに戻り婚約を破棄するとサラの元へと急いだ。しかし、すでに彼女はいなかった……。このドラマを演じているマイクは、実際アンナを愛しはじめており、時おり2人はベッドを共にしていた。しかし、2人は互いに結婚しており、現実に結ばれることは不可能だ。撮影がクライマックスに近づくにつれて、劇同様に心を傷めるマイク。そして、ハッピーエンドの結末で撮影が終わった日の夜、打ち上げパーティの最中、アンナは、マイクを1人残してその場を去るのだった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- カレル・ライス
- 脚色
- ハロルド・ピンター
- 原作
- ジョン・ファウルズ
- 製作
- レオン・クロア
- 撮影
- フレディ・フランシス
- 美術
- アシュトン・ゴートン
- 音楽
- カール・デイビス
- 編集
- ジョン・ブルーム
- 衣装デザイン
- トム・ランド
- 字幕監修
- 戸田奈津子