ブラザー・サン、シスター・ムーン

劇場公開日:

解説

一二〇〇年イタリア中世の都市アシシを舞台に、フランチェスコ会の創立者、聖フランチェスコの生い立ちから一二〇九~十年、ローマでインノケンティウス三世に認められるまでの半生を描く。原題は、彼が神の創生物を讃美するときよく使った言葉である。製作はルチアーノ・ペルジアとスーゾ・チェッキ・ダミーコ、監督は「ロミオとジュリエット(1968)」のフランコ・ゼフィレッリ、脚本はスーゾ・チェッキ・ダミーコ、ケネス・ロス、リナ・ウェルトミューラー、ゼフィレッリの共同。撮影はエンニオ・グァルニエリ、音楽はドノヴァン、編曲・指揮はケン・ソーン、編集はジョン・ラシュトンが各々担当。出演は新人のグラハム・フォークナーとジュディ・ボウカー、リー・ローソン、ケネス・クランハム、マイケル・フィースト、ニコラス・ウイラット、ヴァレンティナ・コルテーゼ、リー・モンタギュー、アドルフォ・チェリ、ジョン・シォープ、カルロ・ピサカーネ、フランチェスコ・グエリエーリ、アレック・ギネスなど。

1972年製作/イタリア
原題:Brother Sun, Sister Moon
配給:パラマウント=CIC
劇場公開日:1973年6月23日

ストーリー

イタリアのアシシに住む商人ピエトロ(L・モンタギュー)とピカ(V・コルテゼ)の間の一人息子として生まれたフランチェスコ(G・フォークナー)は陽気でいたずらだった。彼には四人の遊び仲間がいた。見習い修道士で勉学と宗教に打ち込むシルベストロ(M・フィースト)、セックスヘの興味一辺倒のジオコンド(N・ウイラット)、理想に燃える騎士、ベルナルド(L・ロウソン)、法学生のパオロ(K・クランハム)だった。十八歳のとき、アシシとペルジアの間に戦争が起こり、四人の仲間と、グィード司教(J・シォープ)の祝福をうけて戦場におもむいた。だが、凄惨な戦いに敗れ、熱病におかされて帰ってくると何週間もベッドに横たわり、生死の間をさまよった。ある朝、窓辺の小鳥の声に眼を覚ました。無心に手をさしのべながら近づき、屋根の上にでた彼は、小鳥のあとについて手をはばたかせた。まるで大空へ飛びたつかのようだった。その向うには、野や山が開けていた。フランチェスコに自分でも気づかないほどの大きな変化が起きていた。ある日、果樹園で休んでいた彼に、美しい娘クレア(J・ボウカー)が近づいてきた。「あなたは気が変という噂よ。小鳥のように歌い、蝶を追い花を見ているから。でも私には、狂っていたのは戦争にいく前だと思えるわ」。彼は自然の中で生きものの素晴らしさを悟った。次第に彼の眼は自分の周りの人間を見つめだした。働く者、老いた者、病いに苦しむ者……教会の中には富める人々が、外には貧しいながら懸命に祈る人人がいた。あまりにも大きなへだたり、神はこれを許すのだろうか。彼は「NO!」と叫ばずにはいられなかった。家に帰ったフランチェスコは店にある高価な布を窓から投げだした。激怒した父親は彼をひきずり、領事(A・チェリ)の裁きをこうたが、何もならず、フランチェスコは着ている服を脱ぎ、両親に返した。「もうあなたの息子ではない。人間に大切なのは富ではなく心です。これからはキリストのように乞食になります」。裸になり城門をでた彼は、太陽に向って両腕を広げながら野に向った。雪が降り、真っ白におおわれた野に一人、フランチェスコはサン・ダミアノ教会建設をめざしていた。十字軍の英雄として帰ってきたベルナルドは、その勇気ある姿に強く打たれ、彼に協力を申しでた。また昔の親友たちも次々と加わっていった。髪を切ったクレアも参加し、貧しいが素朴な人々が集まるようになった。だが司教の陰謀によってサン・ダミアノ教会は焼かれ、仲間の一人が殺されるに及んで、フランチェスコは自ら問うのだった。私のしたことが間違いだったのか?。彼は仲間たちとローマ法廷に請願にいくことにした。やっとのことでローマ法王(A・ギネス)に謁見が許され、キリスト教の腐敗を説いた。法王はいたく心を動かされ、彼に膝まづいた。貧しい人々から聖人と呼ばれたフランチェスコは故郷に帰った。彼にはやはりここが一番よかった。鳥が歌い、小川がささやいていた。彼は兄なる太陽や姉なる月のように安らかで鳥やけだもののように幸せだった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第46回 アカデミー賞(1974年)

ノミネート

美術賞  
詳細情報を表示

映画レビュー

5.0宗教映画ではなく青春映画‼️

2023年7月4日
スマートフォンから投稿

泣ける

楽しい

興奮

12世紀のイタリア、アシジ。裕福な商人の息子フランチェスコは、戦争で負傷してから人が変わり、鳥、花を愛し財産を人に分け与え、法王に認められ宗派を開く、という有名な聖フランチェスコ伝記‼️金持ちの過保護息子で現在のヒッピーみたいなフランチェスコが、聖者への道を歩む姿は、現在の若い人たちにも共感を呼ぶのではないでしょうか❓しかもそこまで宗教臭くなく、フランチェスコとその仲間たち、そして輝くばかりの清楚な美しさのジュディ・バウカーを中心にした青春映画のような作りになっている点も作品を観やすくしていると思います‼️いつまで耳から離れることはないドノヴァンの名曲群や中世の美しい自然描写、フランチェスコが衣服を脱ぎ捨て聖者として覚醒するシーンなんか素晴らしく感動的‼️「ロミオとジュリエット」もそうですが、フランコ・ゼフィレッリ監督ってなんていい監督なんだろうと思います‼️フランチェスコが現代に生きていたら、世界中の宗教戦争をすぐさま解決してくれるでしょうね‼️

コメントする 2件)
共感した! 7件)
活動写真愛好家

4.0世界中の人々がフランチェスコのように生きたら、戦争も、環境破壊も、格差社会も無かったか…

2022年8月19日
スマートフォンから投稿

先日、ロベルト・ロッセリーニ監督の
「神の道化師、フランチェスコ」を
再鑑賞した上で、その前日譚物として
「ロミオとジュリエット」の
フランコ・ゼフィレッリ監督のこの作品を
初鑑賞した(キネマ旬報第3位)。

教皇からの布教の許可を得て
故郷に戻ってきたという、
「神の道化師…」の冒頭までのストーリーで
2作が見事につながった。

フランチェスコの、屋根の上で
小鳥と触れ合うエピソードは、
トルストイ原作映画「太陽は夜も輝く」が
思い出される。
その物語では、主人公が立木に向かって
「おいで」と語りかけると
花びらが掌に舞い降りたことにより
神の存在を信じたとのシーンがあった。
もっともその主人公は途中で愛欲に溺れ、
修道士としての道を踏み外すものの、
ある奇跡を目の当たりにして
再び信仰の道に歩み出すのだが。

さて、この作品、
フランチェスコが、
王冠を戴いた姿よりも裸のイエスこそが
己の目指す姿との気付きや、
ただただ自然と触れ合い生きることが
神の教えと悟る前半は、
史実はどうだったのだろうと悩ませる程の
爽やか過ぎてあからさまなのだが、
充分に感動させる見事な演出に思えた。

ただ気になったのが、
後半の冗長さとクララの扱いだ。
フランチェスコは、
布教活動で従える仲間の数も合わせる位、
何かとイエスの布教を踏襲しようと
していたように思える。また、
クララもかなりの聖人だったようなので、
単にフランチェスコに想いを寄せた女性
としてだけではなく、
マグラタのマリアと同じ位の存在として
最後まで登場させて欲しかった。

評価は、前半🌟5、後半🌟3、のトータル🌟4とさせて頂きました。

コメントする 1件)
共感した! 3件)
KENZO一級建築士事務所

3.0ドノヴァンの歌声が心にしみる

2021年11月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

高校一年の時、封切りで見ました。約50年ぶりに見ました。
ミュージカルですね。綺麗な歌を沢山聞けます。
内容はベタベタな偽善そのものですが、キリスト教を信仰する人に取っては、こう言う解釈が彼等の贖罪なんでしょうね。
実在した聖フランチェスコだけに、臭い演技も我慢して見ました。
ガキの頃は凄く感動したんですがね。心に響くのは音楽位ですね。

この映画がヒッピー文化に影響を与えたと解釈する方もいらっしゃいますが、少なくとも、僕はそんな考えはありませんでした。また、ケシの花であることは知ってましたが、ヒナゲシなのではないかと思います。所謂、ドラッグになる植えてはいけないケシとは別だと思います。植物学には詳しくないてすが、職業が毒物や危険物を扱う仕事をしていましたので、あえて申します。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
マサシ

4.0心が洗われる

2020年7月12日
iPhoneアプリから投稿

泣ける

ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする 1件)
共感した! 3件)
ジョニーデブ
関連DVD・ブルーレイ情報をもっと見る

他のユーザーは「ブラザー・サン、シスター・ムーン」以外にこんな作品をCheck-inしています。