「3時間近くの長尺のはずですが、一切緊張感が途切れず、固唾を呑んで観つづけられるのはスピルバーグ監督の力量ですね。」プライベート・ライアン 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)
3時間近くの長尺のはずですが、一切緊張感が途切れず、固唾を呑んで観つづけられるのはスピルバーグ監督の力量ですね。
新文芸坐さんにてスティーヴン・スピルバーグ監督『プライベート・ライアン』(1998)を4Kの大スクリーンで鑑賞。
『プライベート・ライアン』(1998)
ご存知スティーヴン・スピルバーグ監督が描く戦争映画の最高傑作と名高い一作。
公開当時、血しぶき、肉片が飛び散り、水面が真っ赤に染まるノルマンディー上陸作戦のリアルで凄惨な20分におよぶシーンに目を背けそうなりましたが、戦争の悲惨さを伝えるにはこれ以上ない衝撃を与え、以降の戦争映画に多大なる影響を及ぼしましたね。
任務でライアン一等兵を激戦地から見つけ出す8人の兵士の実話に基づいたストーリーですが、『七人の侍』(1954)のように最初から使命感に燃えるわけでなく、不条理な任務に不満気な兵士たちが戦地を共にすることで部隊として固く結ばれていく模様が熱く、そして多くの犠牲を払ってでも救出すべき価値のあるライアン一等兵をマット・デイモンが見事に演じていますね。
最初はライアン一等兵に反目していたライベン一等兵(演:エドワード・バーンズ)との距離の縮まり方も良いですね。
一番の白眉はジョン・H・ミラー大尉を演じたトム・ハンクス。
ラスト大尉が命を助けたドイツ兵の凶弾に倒れつつも、最後まで迫りくる戦車に拳銃を発砲するシーンは心揺さぶられます。
3時間近くの長尺のはずですが、一切緊張感が途切れず、固唾を呑んで観つづけられるのはスピルバーグ監督の力量ですね。
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