冬物語(1991)のレビュー・感想・評価
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二十歳そこそこのフェリシー(シャルロット・ヴェリ)、夏の海のバカン...
二十歳そこそこのフェリシー(シャルロット・ヴェリ)、夏の海のバカンスで運命の男シャルルに出逢った。
愛を確かめ、バカンスも終わり。
米国へ旅立つ彼との別れ際に大失敗。
こともあろうか、パリでの住所を間違えて伝えてしまったのだ。
それから5年。
4歳となる娘エリーズと暮らすフェリシーは、美容師としての腕で働き口を見つけ、妻子持ちの店主と恋仲になっていた。
が、一方、図書館勤めの青年とも恋仲。
どちらも心から愛しているというわけではないが、いないと寂しい。
だって、わたしの最愛のひとは、シャルルなんだから・・・
といった物語で、まぁ、のっけから、何じゃいな、いい加減な!
都合よすぎるぞ、フェリシー! って感じ。
そんな彼女に振り回される男ふたりもバカ臭いといえばバカ臭い。
フェリシーの伝家の宝刀は「わたしが愛するのはシャルルだけ!」って、アムーム(愛)の国、フランス? ほんまか、フランス?
そんなので、つきあっていくなんて、短絡過ぎのお馬鹿さん。
と、まぁ、いつもだったら、こんなバカ女に付き合いきれず、こんなバカ女に振り回されるバカ男もバカ男には辟易するのだけれど、意外と辟易しない。
むむむ、ここまでいくと、まるっきるのファンタジーな感じ。
その上、フェリシーもふたりの男も、考えていることが、ダダ洩れ。
洪水のようなセリフとなって、ダダ漏れなのだ。
このダダ漏れ感、なんといっていいのかしらん。
理路整然と心情を語っているように思えるが、まるっきり、そのときのパッションでしゃべっているとしか思えない台詞の洪水。
笑っちゃうしかないよね、ここまで吐露されると。
って感じの、女ひとりとふたりの男の三角形・・・
が、ええええ。
虚仮の一念、フェリシーの五年。
大都会パリでシャルルと再会のハッピイエンド。
史上最強のハッピイエンドの恋愛映画といっても過言でない。
面白いと言えば面白いけれど、どうにでもしてくれともいえる感じ。
ロメール監督の他の作品、観るかなぁ・・・観ないだろうなぁ。
ああなんと美しい。素晴らしい!後半泣きっぱなし。ロメール素晴らしい...
ああなんと美しい。素晴らしい!後半泣きっぱなし。ロメール素晴らしい!素晴らしい!
30年ぶりの追体験。
誰もが考えそうなことですが、SNS全盛の今だと到底想定し難い悲劇的運命。それを背負いながらもしなやかに与えられた場所で生きるフェリシー。ストリートスマートな彼女が実体験を通じて得た言葉の方が、ブックスマートのロイックが紡ぎ出す受け売りの哲学的知見よりも本質を突き、感動すら覚えることが白眉だった。
運命の再会も彼女に言わせれば、「祈ったからかなった」みたいな単純な図式ではない。一見浅はかな行動に見えようが、自分を生きる、ということにブレない女性がハッピーエンドに終わって見ていて気持ちよかった!
何れにしても今日まで無事にシングルマザーをやってこれたのも、バランス感覚に優れた実家のお母さんのおかげかな。
余談ですが、昼間の回、結構人が入っていて全員おひとりさま!だったのが印象的だった。
ちょっと早めのカット
ロメールにしては早めのカット割り。男の三つ巴で、どれにしよっかな?という話しかと思ったが、もっと切実な話だった。男性陣は皆良い感じに落ち着いているが、それもゲスくいうと子供いると落ち着いた人としか付き合いようがないようにも思えたし、それを本人が薄々気付いてて、そこが切ない。シャルル伝説を聞いていたら、そんな男今さらあってもどうしようもないだろと思っていたが子供いるならレベルが変わってくる。モード家の一夜でも出てきたパスカルの賭けについても頷きながら聞いた。ロイックという落ち着いた男もなかなか見所がある。母親がロイックにしとけというのもわかる。ロメールは回想シーンがないのも良い。
エリック・ロメール監督の大傑作!
久しぶりに観たが、感動に包まれる大傑作!
なぜ、エリック・ロメール監督は、こんなにも「極めて自然な生活風景を切り取ったような映画を生み出すことができるのだろう…」と改めて思う。
前回観た時(2018年)はエリック・ロメール監督作品をなかなか観ることが出来なかったので、廃盤DVDを比較的廉価で購入して鑑賞したが、今回はCSザ・シネマ録画鑑賞。(画質良好)
なお、2018年夏はシネマヴェーラ渋谷で、大々的なフリッツ・ラング監督特集上映をしていて『蜘蛛(第一部&第二部)』・『暗殺指令』・『ハラキリ』など多くのフリッツ・ラング監督の直後に本作を観たので、フリッツ・ラングからエリック・ロメールの世界への切替えが難しいぐらいラング・ワールドに嵌っていたこともあり、今回のような感動が味わえなかった。
今回、ロメール監督の<四季の物語シリーズ>を第1作から観ていて、第2作の本作を観直してみて、本当に良かったと思う。
夏のブルターニュで恋に落ちた男女だが、女性が彼に住所を間違って伝えたことから、離ればなれになってしまった運命の恋人の物語。
真夏の海で出会った女性フェリシーと男シャルルは「ひと夏の恋」を過ごしたが、これが永遠の恋のようなものとなっていく。
そして、突然、5年後に話が飛ぶ。
フェリシーは美容院で働いているが、そこの中年オーナー(既婚者)=マクサンスと深い仲に見える。また、フェリシーは哲学的な青年ロイックという若い男とも恋人のように見える。
更に、フェリシーには幼い娘がいる。この娘は5年前の夏に恋愛したシャルルの娘だと思える。
ここで、観ているこちらは「いったい、このフェリシーという女性は、どういう暮らしをしているのか?」と思う。
すると、フェリシーの口から「5年前、シャルルと駅で別れる時に、間違った住所を伝えてしまったことから“二度と会えない永遠の恋人”となってしまい、現在2人の男と親密」ということが語られる。
娘の部屋にはシャルルの写真が飾られている。
真冬のパリから田舎町ヌヴェールに引っ越して美容院を営むマクサンスについて行くフェリシーだが、1日の田舎町暮らしで「娘と私はこんなところに住めない」と悟って、さっさとパリに戻ってしまう。
そして、図書館に行って、青年ロイックと再会する。「フェリシーはロイックと付き合うのか?」と思って観ていると、意外な展開へなだれ込む。
いやぁ~、こんな素敵なドラマをパリという素敵な街を舞台に、自然に描き切ったエリック・ロメール監督の手腕に、ただただ驚くばかり。
全人類必見の大傑作と言えよう。
この手の映画は苦手
心に決めた相手を待ちながらも、そのときの感情に任せた他の相手と関係が気まぐれで不安定なのは分かる。でもこれはちょっと周りを振り回し過ぎではないか?
極私的な感情を追った映画はあまり好きになれない。なぜなら、自分自身の感情がもっとも変化に富み、それに振り回されているからかもしれない。
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