冬の嵐

劇場公開日:1987年10月31日

解説

謀殺事件にまきこまれた女優の恐怖を描いたサスペンス。製作はジョン・ブルームガーデンとマーク・シュミューガー、監督は「フォー・フレンズ<4つの青春>」のアーサー・ペン、脚本はマーク・シュミューガーとマーク・マローン、撮影はジャン・ウェインク、美術はビル・ブロディ、音楽はリチャード・エインホーンが担当。出演はメアリー・スティーンバージェンが3役に挑み、他にロディ・マクドウォール、ヤン・ロービッシュ、ウィリアム・ラス、マーク・マーロンなど。

1987年製作/アメリカ
原題または英題:Dead of Winter
配給:MGM映画=UIP
劇場公開日:1987年10月31日

あらすじ

ニューヨーク郊外のとあるステーション。吹雪の中、1人の女性(メアリー・スティーンバージェン)が駅のコインロッカーから大金のつまったカバンを取った。彼女は誰かと待ち合わせらしい公園で車を止める。相手が現われずしびれをきらした彼女は電話ボックスに入り、誰かと連絡をとり、車に戻った。と、その時、バックシートから男の手が彼女の首に伸びた。数秒後、女の息は絶え、男は女を殺した証拠として、彼女の左手薬指を切断した――。ケイティ・マクガバン(スティーンバーゲン3役)はニューヨークに住む売れない女優。“代役女優希望”という募集広告を見た彼女は、早速、オーディション会場に出かけた。審査員はマーレー(ロディ・マクドウォール)という男。彼はケイティをひと目見て大金で採用を決定。彼の説明によると有望な女優が撮影の途中で降りてしまった、という。ケイティは映画の内容も知らぬまま、この仕事に反対する夫ロブ(ウィリアム・ラス)をアパートに残し、映画プロデューサーの屋敷に向かった。屋敷では車椅子に乗ったジョゼフ・ルイス博士(ヤン・ロービッシュ)が出迎えた。ケイティは無事に着いたことを夫に知らせようと電話をとったが、猛吹雪のため不通になっていた。ケイティは髪を切り、メイクアップしてカメラ・テストを受けた。渡された台本は<殺人もの>だった。その夜、マーレーはカメラ・テストのビデオをとある豪邸の戸口に投げ込んだ。そのビデオを見た女主人イヴリン(スティーンバーゲン3役)は驚きの声をもらした。一方、ケイティは一向に撮影現場に行こうとしない2人の男に不審を抱き、極寒の中を脱出しようとするが失敗、睡眠薬を飲ませられた。翌日、ケイティは手に激しい痛みを感じながら目が覚めた。手には包帯がまかれていた。恐る恐る包帯をとったケイティは絶叫とともにベッドに崩れ落ちた。彼女の左手薬指が切り取られていた――。真相が判明した。精神科医のルイス博士は患者のジュリーから、彼女の姉イヴリンが夫を殺して莫大な遺産を相続したことを聞きだし、彼女を恐喝。イヴリンは逆に妹を殺し屋に殺させたのだが、ルイス博士はケイティを代役に使ってジュリーが生きているとみせかけ、再びイヴリンを恐喝したのだ。イヴリンが妹の存在を確かめにやって来た。薬を飲まされたケイティは口がきけない。切断された指を見てすっかりケイティを妹だと信じたイヴリンは、2人の男が部屋から出た時を狙ってケイティに襲いかかった。がケイティは逆にイヴリンを殺し、彼女になりすまして、この家から脱出しようとするが、男たちに見破られる。1階から2階へ、さらに屋根裏部屋へと必死に逃げるケイティ。そして命を賭けたケイティの反撃は、ついに2人の男を逆に殺すのだった。

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映画レビュー

3.0 さすがのアーサー・ペンも、原作・脚本に無理があっては…

2025年8月10日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

少し前に、「奇跡の人」の再鑑賞で、
演出の上手さに感動したところ、
同監督によるこの作品を観ていたことを
思い出しての再鑑賞。

38年前の劇場鑑賞では、この作品の監督が、
「俺たちに明日はない」や「奇跡の人」の
アーサー・ペンとの認識すら多分なく
鑑賞していたような気がするし、
それだけに何故この映画を
かつて選択鑑賞していたのか、また、
何故、メアリー・スティーンバージェンが
3役をこなしていたのかも
今となっては思い出すことが出来ないまま
に観ることに。

さて、38年ぶりに再鑑賞して、
なるほどねぇ、
らしい雰囲気の導入部に加え、
冒頭で薬指を切断される女性の事件と
女優がプロデューサーと称する男の屋敷に
来たこととの関係は?等々、
サスペンスそのものの謎解き展開に
魅了されたものの、
一方で、設定の無理やり感と共に、
社会的メッセージ性の薄いこの作品は
特にアーサー・ペン監督でなくとも、
と言ったような違和感もあった。

博士らが、妹からの情報を元に、
姉をゆする手段として、後々の展開からは、
スティーンバーゲンが3役をやったように、
相当に似ている必要があるにも関わらず、
オーディションでそっくりさんを探すという
不自然さ。
また、精神科医と、
食事や裁縫などの日常の全てや、
時には犯罪の実行役を行う使用人の生活の
異様さが没入感を阻害するばかりで、
原作・脚本に無理があるように思われた。
せっかくの導入部の映像や、
ヒロインが巻き込まれた理由の謎解きに
サスペンスらしい見事な雰囲気を
醸し出していながら、
基礎的なストーリーの甘さが
残念な結果に繋がったような作品に思えた。

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KENZO一級建築士事務所

3.5 エレガンスミステリー

2022年3月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「俺たちに明日はない」の
名匠アーサー・ペン監督作品

主演は、メアリー・スティーンバージェン

惨殺される女性・・・
売れない女優・・・
美貌の女性・・・
彼女、一人3役に挑んでいます。

これは、ネタバレ?

三変化をご覧ください・・・💦

メアリーさんは
「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3」
の女教師クララ役です(^^)/

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LaLa

3.5 利用された女

2013年10月30日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

興奮

ある真冬の夜、一人の女が殺され、左手薬指を切断される。
売れない女優ケイティは映画のオーディションに合格、審査員のマレーと共にプロデューサーのDr.ルイスの屋敷へ。次第に不信感を抱き、逃げ出そうとするが眠らされ、翌朝起きると、左手薬指が切断されていた…。

アーサー・ペン監督の1987年のサスペンス・ミステリー。

一見何の関連も無さそうな序盤の殺人事件こそが怖ろしい陰謀の発端。
ヒロインを襲う悪夢をヒッチコック風の映画タイトルにすると、“利用された女”。
舞台はほとんど屋敷のみ、メインとなる登場人物も3人だけ。
吹雪で逃げられない絶体絶命の状況の中、たった一人で反撃に出る…。
ヒッチコック作品の他に、「ミザリー」「暗くなるまで待って」なども連想させる。(ちなみに「ミザリー」より公開は先)

メアリー・スティーンバーゲンが一人三役で演技力を見せつける。これまで出演した作品ではあまり意識しなかったが、彼女の美しさも光る。
ロディ・マクドウォールの粘着質な演技、ヤン・ルーベスの過剰気味の演技、いずれも怪演を印象付ける。

ニューシネマの旗手であるアーサー・ペンの作品群の中では古い作りで異色作とも言える。
ニューシネマ以降は精彩を欠いたと評価されているが、本作は職人演出が冴えた隠れた好編。

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近大