「悲しいラストやヒロインがクズだと聞いて観賞を躊躇している方」フォレスト・ガンプ 一期一会 mmさんの映画レビュー(感想・評価)
悲しいラストやヒロインがクズだと聞いて観賞を躊躇している方
主人公が天使でとても素敵な話です。
皆が使うような優しいという意味の天使ではなく、他の人間が持ち得ない人間にありえない、畏怖を含む純粋さという点で。
障害者を天使扱いすることは失礼な風潮だと思っているのですが、どう表現したものか悩み、フィクション映画のキャラクターとしてこの言葉を使うことをお許し下さい。
主人公がひたすら社会的成功を収めまくります。
障害者のリアルを思うと、こういった表現の作品は明るい気持ちと同時にせつなくもなりますね。健常者の作品も。
ヒーローものではなりにくいのが不思議です。非現実的だからでしょうか。
もしそうなら、この映画はありえないほどのフィクションなのに観る人に現実と照らし合わさせてしまう力があるのでしょうか。
自分や現実と比べてしまいます。
彼が本当に存在すればいいのにと願ってしまいます。
多くの感想で結末がかわいそう、ヒロインがクズだと言われていますが、それによって観るのをやめてしまうのはもったいない作品だと感じました。
ヒロインの育ちや人生、時代、当時の女性の扱いを思えば当然のことです。
彼女の人生の選択、それによる転落、主人公から何度も離れてしまうこと。
ドラッグやアバズレという言葉が出ると、それを自己責任と言い責めていい存在とする人がこの時代にこんなにいるのだとショックでした。人間のこういったことか表に現れてくるのも映画の面白いところですね。
現実の事件でも同じような反応がありますが、映画では彼女の行動の背景を想像するに充分の描写がされています。
映画の捉え方の自由はありますが、トラウマ(過酷な体験)によって人生が破滅してしまう人のことをこの映画から知り、現実に存在する人々へ思いを巡らせる機会にして欲しいと胸が痛くなる。
彼女たちを転落させつづけているのは私達周りの想像力のなさによる差別も要因でしょう。
トラウマというのは私達が日常会話で使うようなレベルより深刻なものです。
現実世界に存在しない天使のような・架空の主人公と真逆の存在で、彼女は現実に存在する多くの人々。リアルな人間の象徴。
彼女をクズだと言う人は、主人公がとてもかわいそうに感じたからかもしれませんね。
それで怒ってくれた。
振り回され子供を押し付けられるリスクを身に迫って感じる性や、転落を自己責任と思う方は不快に感じるのかもしれません。
彼女との関係において、彼は幸せだったと思います。障害により何をされたか理解できないからという意味ではなく。
かわいそうだと思うのは主人公に無礼とまで思います。
ヒロインがクズ、悲しい結末だと聞いて躊躇している方はぜひ観てみてください。
ただの人間である私たちが真似することは出来ないけれど、純粋な生き方を貫く主人公の話です。
悲しいと思うとすれば、ヒロインへの罵倒、私達の現実(ヒロイン側の世界)と、彼が本当に存在すればいいのに……という点です。
これも全て私の勝手な想像と感想です。
ヒロインを悪く言う人にもバッググラウンドがあるのでしょうし。
幸せなラストだと書いたこのレビューを読み観たけれどやっぱり主人公がかわいそうじゃないか!と思われても私は責任が取れないし。
私はもちろん人間は身勝手なものですね。