「正気の沙汰ではない」8 1/2 どすこいたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
正気の沙汰ではない
これは夢か現か幻か…。非常に不思議な映画。逃げても逃げても待ち受けるのは悪夢である。
めちゃくちゃいろんなことが起こるけど実は何も起きていない!(笑)主人公である映画監督の脳内パニックを描いたような、カオスな世界。現実と夢?妄想?の世界を行ったり来たり。観ているこっちもこの場面はどっちだ?どこだ?なんなんだ!わけがわからなくなります。
ただのカオスの垂れ流しなら飽きてしまうでしょうが、妙にテンションが高かったり登場人物達が愛嬌があったり、観てて楽しく引き込まれます。ハーレムのシーンなんかはほぼコメディ。
情報過多で観る側に整理させる暇すら与えてくれない。しかし、「あ、これはあんまり考え過ぎちゃダメなヤツだ」と気づいたら後はもうただただ気持ち良く観れます。しかし、後半になるにつれ徐々に不穏な空気が流れ、精神の限界を感じさせるような展開に。ある意味ホラーでもあります。
地に足がつかないような浮遊感と孤独、不安。安部公房の世界観が好きな人はハマると思います。
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