「男は40歳を過ぎると否応なしに惑う生き物になるものなのだ・・・」8 1/2 はるさんの映画レビュー(感想・評価)
男は40歳を過ぎると否応なしに惑う生き物になるものなのだ・・・
イタリア映画のクソリアリズムには閉口したりもしたけれどフェリーニは別だった。ホントに伝えたい事を伝えるには物語がいちばんいいのだ。しかもファンタジーが最適なのだ。惑う映画監督。優しすぎる心根が全ての人間関係をぶち壊す元凶。そんなことは分かりすぎるほどに分かっている。女房も愛人もプロデューサーもシナリオライターも仕事に関係する人間すべてが彼の優しに対して理解を示そうとはせず、彼の実績にしがみつき彼を苛立たせる。しばらく放っておいてやんなよ!と叫びたいくらいに関わりを持とうとする。実にばかばかしいのはこんな人間関係で映画作りも構成されているわけだ。どんな仕事であってもみんな同じ構図であることは間違いないようだ。
妄想が妄想を駆逐し始め、幼少時代の忌まわしい出来事に慄き自らの命を絶ってしまうことだって十二分にあり得たわけだ。しかし、彼は生き延びる。
ラストシーンがそれを象徴していた。いつものパターンではあるけれど、あの屈託のない陽気さはイタリアの太陽の輝く光のせいなのだろう。
フェリーニ8作目の作品で果たして彼は映画をつくることの楽しさを吹っ切ることができたのであろうか?
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