「クリエイターの迷宮」8 1/2 シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)
クリエイターの迷宮
久しぶりに観たフェリーニの作品で、非常に難解ながらも映像やキャラクターの魅力に強い引力を感じました。次回作に行き詰まり湯治場に逃げてきた映画監督が、次から次へと現れる映画の関係者や愛人、女房に振り回されるのが何ともおかしいです。そこに、クリエイターの原風景となる幼少期のエピソードや今は亡き両親との会話などを挿入し、現実と幻想の区別を曖昧にしながら、フェリーニ好みの大道芸趣味の猥雑さが加わった独特の映像世界のインパクトが強烈です。映画監督として撮りたいものと周囲が期待しているもののギャップに苦しむのは、まさにクリエイターでないと理解できないのかもしれません。だからこそ、フランソワ・トリュフォーやボブ・フォッシー、北野武等のクリエイター達が同じタイプの作品を作っているのがよくわかりました。役者では、マストロヤンニの当て書きのような名演で、伊達男とコミカルさのバランスが絶妙です。女優も素晴らしい人ばかりですが、クラウディア・カルディナーレの息を呑むような美しさはダントツでした。
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