ファングルフ 月と心臓

劇場公開日:

解説

パリを訪れたアメリカ人青年と謎の美女の運命的な恋を、狼男伝説を絡めて描いたロマンチック・ホラー。ジョン・ランディス監督「狼男アメリカン」(81)を、「ミュート・ウィットネス」のアンソニー・ウォラーの監督・脚本・製作総指揮でリメイク。前作を踏襲したコメディ風な部分も見られるが、悲恋ものの要素を強調したスタイリッシュでケレン味溢れる演出と、フルCGIで作られた人狼の変身シーンが魅力となっている。脚本はウォラーとティム・バーンズ、トム・スターンの共同。製作はリチャード・クラウス、撮影はエゴン・ウェルディン、音楽はウィルバート・ハーシュ、美術はマティアス・カメルメイヤー、編集はピーター・A・アダム、特殊視覚効果はサンタ・バーバラ・スタジオが担当。主演は「恋人たちの距離(ディスタンス)」のジュリー・デルピーと「すべてをあなたに」のトム・エヴェレット・スコット。共演は「ハイランダー」のピエール・コッソ、「僕は、パリに恋をする」のティエリー・レルミット、「不法侵入」のフィル・バックマン、TV『サタデー・ナイト・ライブ』出身のヴィンス・ヴィーラフほか。別邦題「ファングルフ-狼男アメリカン in パリ」。悲劇的な別エンディング・バージョンも存在する。

1997年製作/99分/アメリカ
原題または英題:An American Werewolf in Paris
配給:松竹富士配給(松竹=アミューズ=デジタル・メディア・ラボ提供)
劇場公開日:1997年10月18日

ストーリー

陽気なアメリカ人青年のアンディ(トム・エヴェレット・スコット)は、親友のクリス(フィル・バックマン)、ブラッド(ヴィンス・ヴィーラフ)と共に、大学の卒業旅行でパリにやって来た。その夜、エッフェル塔からバンジージャンプをしようとした彼は、飛び下り自殺を図ろうとした謎の美女を救う。3人は残されたメモを手かがりに、やっと彼女、セラフィーヌ(ジュリー・デルピー)の家を見つけ出すが、アンディは謎に満ちた態度に戸惑う。そんな時、彼女の兄と自称するスキンヘッドの不気味な男クロード(ピエール・コッソ)から“満月パーティー”に招待され、「彼女も来る」との言葉にひかれて3人は会場のクラブに出向く。中は外国人ばかりで彼女の姿はない。セラフィーヌを捜しに彼女の家に戻ったクリスは、地下のワイン倉庫の檻に閉じ込められている彼女を発見。パーティーのことを聞くと彼女の顔色が変わり、次の瞬間、クリスは頭に強烈な一撃を受けて気を失う。パーティーのクライマックスに飛び込んだセラフィーヌはアンディを見つけると「逃げて」と、無理矢理、地下通路に押し込んだ。その直後、彼女はうなり声を上げて胸を掻きむしると、たちまち黒い野獣に変身する。見るとパーティー会場には人狼の群れが溢れ、人間たちを襲ってパニック状態になった。足を噛まれて重傷を負ったアンディが目覚めたのは、セラフィーヌの家だった。彼女は初めて、自分が人狼であること、そして噛まれたアンディもその過渡期にあることを告げる。動転した彼は家を飛び出し、街をさまよう。パーティ会場には四肢が引き裂かれた死体の山で、その中にはブラッドの姿も。呆然としながらも血が欲しくてたまらない衝動にかられたアンディは、セクシーなアメリカ美女エイミー(ジュリー・ブラウン)に獣のような欲望を感じ、深夜の墓地でそれを満たそうとした時、体内に急激な変化が現れた……。気づいた時、彼は裸で倒れており、レデュック警部(トム・ノヴェンブル)に逮捕される。死体安置所でエイミーの無残な死体を見せられた彼は脱走し、巡り会ったセラフィーヌは、忌まわしい過去を打ち明けた。ある夜、自制心を失った彼女は両親を虐殺してしまい、自殺を決意した時に助けてくれたのがアンディだったのだ。唯一の望みは継父のピコット博士(ティエリー・レルミット)が開発中の治療薬だが、クロード率いるカルト集団がこれを着服、過剰摂取するといつでも人狼に変身できる薬を使って、大量虐殺を企てていた。カタコンベでパーティーが幕を開けた。セラフィーヌは自ら薬を注射して変身し、クロードたちに立ち向かうが、瀕死の重傷を負う。セラフィーヌは「私を殺して心臓を食べれば、あなたは人間に戻れる」とアンディに告げる。彼は逃亡したクロードを追って地下鉄の車内で戦いを繰り広げる。自分も薬を注射して変身したアンディはクロードを倒し、その心臓を食べて元の姿に戻れた。それからいくつかの満月が過ぎた頃。アンディとセラフィーヌは、ニューヨークの自由の女神像の上で結婚式を挙げ、落ちた指輪を追ってバンジージャンプを敢行。アンディはみごと空中でキャッチした指輪を彼女に指にはめ、永遠の愛を誓った。

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