劇場公開日 1996年12月21日

「絶妙な演技と、「人を許す」ということ。」秘密と嘘 雨音さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5絶妙な演技と、「人を許す」ということ。

2021年10月29日
Androidアプリから投稿

幸せ

寝られる

パルムドール受賞とか、その価値については私にはあまりよくわからないけれど、ひとつのファミリーのゴタゴタ話と言ってしまえばたったそれだけの映画なのに、なぜか最期まで興味深く見ることができるのだから、なかなか凄い。

それは、シンシアはじめ、俳優さんたちの縁起が絶妙だったからかな、と思う。
わたし的には、娘のロクサンヌの恋人の演技が特に気に入った。
不器用で自信なさげで無口なのに、立ち居振舞いなど、ちょっとしたところで良さが伝わってきて絶妙。特に最後の方、バス停から叔父の家にもどるとき、彼が左右の安全を確認したところとか、すごく細かい演技だと思う。
結構細かいところまで配慮された映画なので、見ていて飽きない。

このファミリーの一連のゴタゴタは、身持ちが悪く思慮が浅いシンシアに元凶があると思える。でも、彼女には情感豊かな可愛さがあり、憎めない。
結局、人はそれぞれ、良さもダメな面も表裏一体だし、いちいち責めたり羨ましがっても仕方がない、ってことかな。それぞれ事情もあったりするし。
互いを受け止めながら何とかやっていくのがいいね、みたいな。

ホーテンスに、家族、特に妹ができて本当によかった。
寛容な気持ちの結果だ。
人を「許す」ことにより、彼女の人生は、より豊かになった。
「許す」って結構いいことだ。

あま・おと