「大人の生き方のバイブル」ひまわり(1970) とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
大人の生き方のバイブル
名作中の名作。筋や解説を読んで、聞いて知った気になっちゃう。所がどっこい、何を知った気になっていたんだろう?
良い意味で裏切られます。
どなたかが「この映画を観ることなしに恋愛を語ることなかれ」とおっしゃっていましたが、同感です。
ひまわり、ひまわり、ひまわり。
イタリアを代表する女優、気が強くて明るくて、夏の太陽に例えられ、夏の太陽にも引けを取らない、そんなローレン女史を表現しているのかと思っていた…
けれど…
兵士をはじめとして戦争で亡くなった方の墓標、果てしなく続く墓標…
太陽に焦がれて、太陽ばかりを追い続けついに花になってしまったニンフ…
…こんな物悲しい物語の象徴だったなんて…
戦争に引き裂かれて、狂ってしまった運命…
前半が、恋する者たちのおかしさ・恋する楽しさを十分に魅せてくれるだけに…。
ロシアでのしっとりとした落ち着いた生活も魅せてくれるだけに…。
自分の幸せ・激情に惑い・苦しみながらも、幼き者の幸せを優先して踏みとどまる二人。大人の決断。
…子どもを犠牲にして、それが幸せだと思っている人だってたくさんいるのに。
この筋の展開だと単なるメロドラマになってしまいそうなのに、お昼のメロドラマとは違う。演出、演技…が違う。
あらすじを知っていても、シーンごとに「こうくるか!!」の連続。名優の演技。
迷いながらも、自分の張り裂けそうな思いを抱えて、パートナーを、ライバルの気持ちを大切にする強さ…、責任をきちんと引き受けることを選択した強さ…
号泣、胸が張り裂けそうなのに背筋が伸びる。
心をかき乱され、揺さぶられる。私なら?こんな大人の振る舞いできる?
静かな、心に沁みわたる反戦映画であるとともに、
自分自身の、別れたくなかったあの人を思い出して涙してしまう。
大人の生き方を見せてくれる映画です。
とみいじょんさま
コメント返信ありがとうございました。
コメントに問いかけがあると、詳しく返信しなければと感じてしまうので、ご興味が無ければスルーしてください。
ひまわりの花言葉は、本数によって違ってきます。1本と999本以上の花言葉を選んで、レビューに追記しました。
映画のひまわり畑は、確かに墓標の象徴だと思います。その1本1本=1人1人に、それぞれ愛した大切な人がいただろうという想いから、花言葉を追記しました。
映画の撮影時、ソフィア・ローレンとプロデューサーが不倫中で、映画のラストに登場した赤ちゃんが実際に2人の子どもだと知りました。
愛の国イタリアで、「パートナーと子どもに失礼」という感覚がどのくらいあるのか、ちょっと疑問ですが…。
※『羊たちの沈黙』は、とみいじょんさんのレビューは読んでいませんが、コメント相手の方をフォローしているのでコメントが目に入りました。
某映画評論家が、「『踊る大捜査線』がオマージュした映画を知らないライト層は、『踊る大捜査線』のオリジナルだと勘違いする」と心配していた通りになりました。
とみいじょんさま
こちらにも共感ありがとうございました🙂
レビューにちょこっと追記したので、こちらにコメントで残します。
ひまわりの花言葉は「あなただけを見つめる」「何度生まれ変わってもあなたを愛する」😙
『羊たちの沈黙』のレビューで、他の方へのコメントを見かけて読ませていただきました。
「オマージュ」というエクスキューズで名作を愚弄しないでほしい、という想いに共感です🫡

