劇場公開日 1973年11月1日

「鬼気迫るドロンの殺し屋像」ビッグ・ガン シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0鬼気迫るドロンの殺し屋像

2024年5月13日
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アラン・ドロンがイタリア出張して撮ったノワール作品で、なかなか面白かったです。足を洗おうとした殺し屋が、誤って爆殺された妻子の復讐をすると言うよくあるお話しですが、ドロン演じる殺し屋がまさにハマり役で彼のキャラでもっている映画でした。妻子が殺されても表情に出さずに、スーツとコートをきちんと着こなして、淡々と復讐をこなしていく姿は、端正なマスクなだけに凄みがあり、ドロンならではの殺し屋像です。一方で、自分を助けてくれたやくざの情婦をかばったり、故郷の両親を気遣うなど人間らしい一面もあるのがいいところです。香港ノワールの雄、ジョン・ウー作品の殺し屋のキャラクター造形に通じるものがありますね。役者では、文字通り看板役者のドロンがダントツで、彼のノワール作品の『サムライ』も観たくなりました。

シネマディクト