ピクニック(1955)のレビュー・感想・評価
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キム・ノヴァクに尽きる‼️
当時の人々にとってキム・ノヴァクは後のドヌーブかヘップバーンかと言う存在。原節子かキム・ノヴァクと言うくらい当時の女性にも人気のあった女神であろう。時代がどれ程過ぎ去ろうとも美を焼き付ける大切な役割を映画は持っていると言える。
演劇と映画の理想的な結晶
ヒロインを演じたキム・ノヴァクの美しさが最大の魅力だ。女性の美貌を崇拝する当時の恋愛観と結婚観の上に創作された人間ドラマ故、その効果は絶大であった。ヒッチコックの「めまい」に並ぶノヴァクの女性美を堪能する。
ウィリアム・ホールデンの友人役の若いクリフ・ロバートスンは、中年男のイメージがあったので驚いた。母親役のベティ・フィールドと独身教師役のロザリンド・ラッセルの演技がしっかりしていることに感心する。スーザン・ストラスバーグも悪くない。当時人気スターの絶頂期にあったホールデンとノヴァクは映画的演技の自然さで良いし、周りの演劇芝居の演技力が見事に二人を支えている。舞台出身のジョシュア・ローガン監督がシネマスコープのフレームを演劇の舞台の様に使い切った演出の巧さを見せつける。舞台では出せない、カンサスの田舎町の夏の情景が映像美として立派なのに満足する。撮影が名手ジェームズ・ウォン・ハウ。演劇と映画の両面から楽しめるアメリカ映画らしい秀作だ。
キム・ノバック、ああキム・ノバック、キム・ノバック❗
手拍子を取りながら体を左右に振りつつ階段を降りてくるピンクのドレス姿のキム・ノバックの美しいこと!ウィリアム・ホールデンでなくとも口をあんぐりさせて看取れてしまうこと疑いなし。ウィリアムズ・インジの作品にはほかの作品もそうであるように、底流にはセックス(性)への暗示がある。男という性の塊のような(裸の露出が多い)ウィリアム・ホールデン(それにしては少し年取りすぎているが)の闖入が、田舎町の女達の取り繕った仮面の下にあるものに作用し始める。リー・ストラスバーク演じる妹(少女)は免疫がないため、恐らく自覚のないまま惹かれ(しかし女の性では先を走るの姉には到底かなわない)、オールドミスのロサリンド・ラッセルは酒の勢いに任せて己の秘められた欲望を露にしてしまう。勢い、ウィリアム・ホールデンはこのコミュニティ(その中心にいるのはキム・ノバックの元婚約者)から出ていかざるを得ない。そして、そのコミュニティな中に囲いこんでおこうという母親に逆らって、この映画の女達のなかでは唯一女の性を憚ることなく表に出せる(何せ町一番の美女ですから)キム・ノバックは(ハッキリ言って男のセックスに惹かれて)コミュニティからの脱出に成功する(このコミュニティの中に閉じ込められることに鬱々としていたのは映画の冒頭からの描写に明らか)。映画ではいちおうハッピーエンドみたいだが、この後この二人が果たして上手くゆくかどうかはハッキリ言ってわからない。でもそれはまた別の話。
ピクニックに行きたくなる
朝、マッジの隣家で庭掃除をやらせてくれと申し出たハル。上半身裸で庭掃除をし始めたが、マッジと妹のミリーは男を感じずにはいられなかった。間借りしているオールドミス教師だって同じ。カンザスの日常では感じられなかった男臭さを直感したのだろう。
ハルは前科もあったが、大小麦農場の息子アランは彼を雇うと約束してくれた。そのまま彼がカンザスに住んで、年の差はあるがミリーとうまくいけば丸くおさまる人間関係の構図に思えるのだが、やっぱりクイーンに選ばれるほど美人のマッジに心を奪われてしまった。わずか1日のうちに人間関係がごたごたしてしまうという映画だけど、将来は不安だ。
アランと結婚してしまえば生活も安泰だけど、なぜかときめかないマッジの心理描写はなかなか。海水浴もピクニック(労働の日の市民祭のような感じ)も平凡すぎるのだろうか。冒険してみたい一時の迷いだとしか思えないが、ハルの性格を考えても長続きしそうにないぞ!ブーツを大切にしているカウボーイみたいな彼を考えると、上手くいくのかもしれないが・・・
マッジ(ノヴァク)よりも妹ミリー(ストラスバーグ)が可愛い。オールドミス教師と結婚することになったハロルド(オコンネル)の静かな演技が渋かった。
ラストシーンの空撮の余韻が素晴らしい
ピクニックの映像が楽しい
日本で言うところの秋の市民祭りといったところ
美人コンテストも行われて、その夜は女王が選ばれて白鳥のボートに載って登場するのをもって発表される
ヒロインのキム・ノヴァクが美しい、大輪の花のように輝くようだ
めまいでは役柄以上に表情に乏しい演技で残念だったが、本作では若さのピークを迎えた娘らしさを満開に演じてみせる
主役のウィリアム・ホールデンはそれなりだ、悪くはない
だか「欲望という名の電車」のマーロンブランド程のインパクトと説得力はない
それなら本作の一番の見所は何なのか?
それはオールドミスの先生役のロザリンド・ラッセルの演技だ
舞台のカンザス州は禁酒法の廃止が1948年と遅く、解禁されたとはいえ未だに人前で飲むのはばかれる
そんな背景の中で初めは酒を断っていながら、嫌よ嫌よといいつつ飲んで酔っぱらってしまい、物語を大きく動かす事件を起こす役だ
彼女の代表作ヒズガールフライデーに出演時32歳、小粋なビジネスガールの役だった
本作はその16年後、彼女は48歳
彼女の結婚への熱望を語るシーンはものすごい説得力があり本作最大の見せ場だ
ラストシーンの走り去るバスからカメラが平原をなめて先行する貨物列車を捉えるロングショットでの空撮は当時としては画期的だったと思う
母の言うとおりヒロインは恐らく幸せにはなれまい
けれども本人もそうと分かりながらバスに乗って追いかける
そんな二人の未来はこれから始まる
大きく広がる平原の先には二人の未来が広がっている
幸せになれるかもしれないと思わせる見事な演出だ
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