劇場公開日 1956年3月9日

「演劇と映画の理想的な結晶」ピクニック(1955) Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0演劇と映画の理想的な結晶

2020年5月22日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、TV地上波

ヒロインを演じたキム・ノヴァクの美しさが最大の魅力だ。女性の美貌を崇拝する当時の恋愛観と結婚観の上に創作された人間ドラマ故、その効果は絶大であった。ヒッチコックの「めまい」に並ぶノヴァクの女性美を堪能する。
ウィリアム・ホールデンの友人役の若いクリフ・ロバートスンは、中年男のイメージがあったので驚いた。母親役のベティ・フィールドと独身教師役のロザリンド・ラッセルの演技がしっかりしていることに感心する。スーザン・ストラスバーグも悪くない。当時人気スターの絶頂期にあったホールデンとノヴァクは映画的演技の自然さで良いし、周りの演劇芝居の演技力が見事に二人を支えている。舞台出身のジョシュア・ローガン監督がシネマスコープのフレームを演劇の舞台の様に使い切った演出の巧さを見せつける。舞台では出せない、カンサスの田舎町の夏の情景が映像美として立派なのに満足する。撮影が名手ジェームズ・ウォン・ハウ。演劇と映画の両面から楽しめるアメリカ映画らしい秀作だ。

Gustav