ハンナとその姉妹のレビュー・感想・評価
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【姉妹二人に惚れた男の憂鬱と煩悶。ミア・ファロー、ダイアン・ウィースト、バーバラ・ハーニー、マイケル・ケインの姿とウディ・アレンのシニカルでユーモラスな脚本と演技を楽しみたい作品。】
ー 夫のエリオット(マイケル・ケイン)と幸せに暮らす三姉妹の成功した女優長女・ハンナ(ミア・ファロー:当時のウディ・アレンのミューズですね。)。次女・ホリー(ダイアン・ウィースト:今でも素敵な女優さんである。)は女優志望だが、ヘロインを愛飲。
末妹のリー(バーバラ・ハーニー)は年上の画家と同棲している。
年に1度、感謝祭の夜は両親の家に家族が集う決まりだが、楽しいパーティの裏で、ハンナの周囲には小さな波紋が広がりつつあった。ー
◆感想
・エリオットは何の瑕疵もない妻、ハンナについ、言ってしまう。
”君はしっかりし過ぎていて、鬱陶しい・・。”
・そして、エリオットはハンナの妹のリーに惹かれていく・・。
- ここら辺のエリオットを演じるマイケルケインの独白を含めた演技が絶妙である。-
■今作が、重くなりがちなテーマを扱いながらも、コミカルになっているのは、明らかにハンナの元夫ミッキー(ウディ・アレン)の描かれ方であろう。
サブタイトルで出る”病気恐怖症”
”絶望の淵”
”大きな飛躍”の後に描かれるミッキーの可笑しき姿である。
・ミッキーはホリーと一度目のデートでは,巧く噛み合わなかったが、二度目お互いの魅力に気が付いて・・。
<シンプルなスト―リーながら、物語に引きこまれるのはウディ・アレンのシニカルでユーモラスな脚本の魅力を十二分に引き出した、ミア・ファローとダイアン・ウィースト、バーバラ・ハーニーである。
そして何より、マイケル・ケインの煩悶しつつも二股を懸ける姿と、ウディ・アレンの病的に心配性な男を演じた姿である事には間違いない、と久方振りに鑑賞して思った次第である。>
ウディ・アレンの勇み足?
「ミッドナイト・イン・パリ」の余韻で
「アニー・ホール」「インテリア」
「カイロの紫のバラ」に続いて、
ロードショー以来35年振り?に鑑賞。
色々あったけど、最後は元のさやに収まって
メデタシメデタシという、
よくありがちなのストーリーで、
ウディ・アレン作品にしては
毒も深みも無く平板な作品に思える。
三姉妹の人生模様に対して、
ウディ・アレンの役柄の
病気恐怖症のエピソードは、
三姉妹の恋愛劇との関連性が弱い割には
時間が割かれ過ぎており、
また、マルクス兄弟の映画を見ながらの
作品の総括的モノローグは興醒めだ。
言葉で作品の骨子を解説されてしまうと
観客が余韻に浸ることさえ封じられてしまう
ばかりだ。
キネマ旬報では第3位の高評価の作品だが、
私にはウディ・アレン映画としては
説明し過ぎな、
勇み足的作品に思えたのだが。
ニューヨークに行ってみたくなる
両親が俳優という3姉妹なのに生活の中では全く演技が出来ない素直な女性たちであった。陰で浮気はしてるのに、登場人物みんな嘘をつけないような微笑ましさがある。ウディ・アレンの映画はそれほど見てるわけではないのだが、セックスの問題や隠しておくべき個人的な問題をさらりと曝け出すところが好感もてる。この映画がハートフル・コメディとして成り立つのもこの素晴らしい性格の登場人物と優しいジャズピアノの音色のおかげだ。
しかし、この映画のプロットはつまらない。何だかオチが全てのような感じです。画像的には相変わらずニューヨークを魅力的に映像化していて、行ってみたくなります。ギャグに関しては、一人でTV観てるからいいようなものの、映画館で宗教ネタを笑ったらやばそうだ。
アレン監督の感性とその時代
公開当時 観たような気がして(笑)… 見直してみた
忘れてしまうくらい大事件は起こらないのだが、
ニューヨーカーの(知識階級層の)茶碗の中の嵐、
というべき日常を上手く掬いとっている
無声映画のように 場面を区切りながら、話は進む… 俳優達は ジャズのセッションのように演技をする、音楽の趣味もいい
アレンは ニューヨーカーの与太話みたいなものを 得意とする稀有な監督なのであろう
ただ、今の視点で見ると 白人しか出てこない、アレンの周りの狭い世界でもある(ユダヤ人は あり)
そして今、人々が もっと物を掘り下げて シリアスに 考えるようになってしまったことが、監督の感性とずれはじめているような気がしてならない
ウディの映画は書くのが難しい
1986年製作のアメリカ映画。108分。超マイナス思考コメディーを作るのが得意なウディ・アレンの作品でございます。自分に運がないと思う人はこれを観るといいと思います。
内容は、三人の女姉妹とその周辺でフラフラする男たちのドタバタ劇。長女のハンナはしっかりもので、なんでも自分で決めていく。それに業を煮やした夫は、次女と不倫します。その一方で、ハンナの元旦那(ウディ)は、すごいマイナス思考男で、心のより所を探して、宗教に走ったりとフラフラしている内に、一番下の妹と結ばれる。他のウディの映画にも共通している、ストーリー性があまりない映画となっています。
ストーリー性がないと、普通なら観てて集中するのがしんどくなってきますが、この人の作品の場合は描かれる人間がほんとにおかしい。男は相変わらず優柔不断で、自己矛盾の繰り返しだけど、それでもなんとかなっていく所が不思議だけど、妙に説得力がある。
物語としていつも破綻寸前の混沌とした人間模様が描かれるのだが、なぜかこの人の作品は、首の皮一枚状態を保ってそのままエンディングを向かえます。おそらく現実世界というのは、ストーリー性などなく、この人の作品のようなものなのでしょう。
それでも人生なんとかなってしまうのだから、やっぱり生きていることって笑いなのだと思います。ドラマ仕立ての作品ばかり観てると、人生は期待と失望の連続になりがちになりますが、この人の作品はそんなものは超越してて、ただただその日その瞬間を面白おかしく、そしてベストを尽くすことが大切なのだなと思わされます。
正直、観終わった直後はいまいちだと思った本作ですが、こうやってレビューを書きながら作品を掘り下げていくと、意外と深いものが心にわき上がってきました。
それにしても、ウディはいつも映画の中でよく歩きますね。
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