パラダイン夫人の恋のレビュー・感想・評価
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ヒッチらしい作品ではありまぜん
法廷劇は論理的なセリフのやり取りに主眼があるので、ヒッチのように映像でスリラーを表現するタイプの監督には不向きでしょう。
更に、肝心の脚本が雑で後半の殆どを占める法廷シーンにおける弁護士と証人のやり取りでは、「なぜそれが証拠になるのか?」「その質疑で何が判明したのか?」さっぱりわかりません。
ヒッチ自身も失敗を認めた作品で、とくにその理由をミスキャストのある、としているようです。確かにペック先輩に英国の弁護士は似合いません。良くも悪くもバリバリのアメリカンですからね。女優もガルボ先輩を想定していたそうです。
動きは少ないが法廷劇は謎が解かれていき楽しめた。しかし被告人に夢中になってしまうグレゴリー・ペックに共感できない
アルフレッド・ヒッチコック 監督による1947年製作のアメリカ映画。原題:The Paradine Case、劇場公開日:1953年2月24日。
主人公のグレゴリー・ペック演ずる敏腕弁護士がその美しさ・妖しさにメロメロとなってしまう夫の殺人容疑者パラダイン夫人の謎が主体のドラマなので、彼女を演ずるアリダ・バリが背負うところ大と思うが、結果的には残念ながら今一つであった。ヴィスコンティ監督の夏の嵐(1954年)で見せた彼女の迫真の演技から考えると、単純な人選ミスとも思えないのだが。
夫の気持ちが移ってしまっているのを把握しながら、夫を尊敬信頼し、一途に戻ってくることを信じて妻がこの後デヴィッド・リーン監督の妻となるアン・トッド。男の理想の様な存在で、今どきは映画の中でもありえないなと思いながら見ていた。ただ、アリダ・バリが死刑にならずに無実になれば良い(死刑になったらずっと気持ちが入ってしまう恐れがあるが、無実になればきっとその暁に夫は自分を選ぶ)なんて言っていて、実は物凄く強くかつ賢い存在なのかもしれないとも感じた。
題材的に動きは少なく、法廷での検察と弁護士グレゴリー・ペックのやり取りが一つの見せ場になっていた。先輩弁護士の娘で裁判オタクのジョーン・テッツェルがアントッドの友人で、彼女に法廷状況を解説という設定で、観客に説明させているのは、上手い作りだなと感じた。
監督アルフレッド・ヒッチコック、脚本デビッド・O・セルズニック、脚色アルマ・レビル ジェームズ・ブリディ、原作ロバート・ヒチェンス、製作デビッド・O・セルズニック、撮影リー・ガームス、美術トーマス・N・モラハン、音楽フランツ・ワックスマン。
出演
グレゴリー・ペックAnthony_Keane、アン・トッドGay_Keane、チャールズ・ロートンLord_Horfield、チャールズ・コバーンSir_Simon_Flaquer、エセル・バリモアLady_Horfield、ルイ・ジュールダンAndre_Latour、アリダ・バリMaddalena_Paradine、ジョーン・テッツェルJudy_Flaquer、レオ・G・キャロルSir_Joseph_Farrell、ジョン・ゴールズワージーLankin、レスター・マシューズInspector_Anbrose、Patrick AherneSergeant_Leggett、
Colin HunterBaker、イソベル・エルソムProprietress at Inn。
脚本にセルズニック参加で混乱か
有名どころの俳優多数起用にも関わらず
魅力的な映画になっていない
主役四人のアンサンブルも良くない
ヴァリのパラダイン夫人には彫像のような硬質の美を感じるが
ラトゥール(ジュールダン)に対する愛が あまり伝わってこない
同じく、ジュールダンにも
亡き夫との三角関係も不鮮明で、私は彼と夫の関係も邪推した(脚本 × )
弁護士は難しい役で 監督はオリビエを希望していたらしいが、それがわかる
彼は 皮肉な見方も出来る英国上流階級であり、論理性/現実性を要求される職業でありながら、感情に引きずられ暴走し、失敗するのだ
ペックは人の良い アメリカ人に見える
それだと 失敗の衝撃度が小さくなってしまう
弁護士夫人のトッドは善戦しているが、あまりチャーミングに見えない
ヴァリを美しく見せる為に、手抜きされたんだろうか? (似合わない帽子をかぶされたりしてる)
この映画は 製作者セルズニックによる、ヴァリ売り込み映画でもある
が、彼女はヒッチコック映画にも ハリウッド映画にも向いていないような気がする
(セルズニックの力の衰えもあり、しばらくして撤退)
ロートン等、他の俳優達は ヒッチコックらしさが…
監督の苦戦と苦悩が見えるような映画でもある
ヒッチコック好みのクールビューティ
ヒッチコックお得意の法廷劇が中盤以降展開されます
スリルとかサスペンスは今回はお休み
法廷劇もあっというような展開で逆転して驚くものではありません
しかし、その分グレゴリーペックの流石の名演を堪能できます
女優陣はヒッチコック好みの女性を今作では取り揃えています
パラダイン夫人、主人公キース弁護士の妻ゲイ、先輩弁護士の娘ジュディ
どの女優も知的で細く小柄です
今回の女優の目玉はパラダイン夫人役ではなくゲイ役のアン・トッドで重要なシーンとセリフを当てられています
彼女は正にクールビューティで、ヒッチコックがカメラを通してその美しさを愛でているのが分かります
イングリッド・バーグマン主演が2作連続した後なので、彼の好みの美人女優を使いたかったのだと思います
彼女は確かに美しい
美しい女性はヒッチコックは大好きですが、実は本当の好みは違うのだと思います
彼女のような健康的で肉感的でもありしかも背が高い女性は本来彼の好みのタイプではないからです
ラストシーンのゲイの真剣な台詞を厳しい表情で夫に話すその美貌
アップになるその美しさを凝視するカメラ
彼女の美しさを追求するための映画でもあったのかもしれません
本作は結局ゲイとパラダイン夫人との女の戦いであった
もしかしたら、殺人事件自体がこのラストシーンの為の大きなマクガフィン(お話を進めるための適当な材料)だったのかも知れません
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