バベットの晩餐会のレビュー・感想・評価
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なぜかまた観たくなる
なんど観たことでしょう。
時代に流され苛酷な暮らしでも
信じる心があれば豊かになれる。
芸術家バベットは貧乏になることはなく、
与えることでより豊かになることを
知っています。
押さえた演技、地味なストーリー、
だけど また観たくなる作品です。
「食は人を幸せにする」というただひとつの真実
鑑賞後に極上の幸福感を味わえる映画には、そうそう出会えるものではない。
『バベットの晩餐会』を初めて観てから、もう30年以上も経つ。「午前十時の映画祭」でリバイバル上映があるというので、それなりに人生を重ね若い頃に胸を振るわせた作品が、今の自分にはどのように映るののだろう…そんな期待と不安を胸に劇場へ足を運んだ。
まずは美しい田園風景と、慎ましい暮らしの村人たちに、日頃の喧騒を忘れて穏やかな気持ちになる。
敬虔なプロテスタント教徒の姉妹に対し、実ることのない恋心を抱えながら生きていく2人の男の切ない生き様には、心が締め付けられる。
そして、何より、家政婦バベットの、料理人という芸術家としての魂とでもいうべき心意気。これまで語られたエピソードのすべては、この芸術家魂を最高の状態で目の前に見せるためのものだったのだと気付かせる、怒涛のラスト!
バベットの、料理を作り終えた後の佇まいは、どんなヒーローよりもカッコいい。
「悪魔の料理」を味わわないように誓い合った村人たちが、一言も「美味しい」という言葉を発することなく、(料理以外の)会話や表情で、その極上な料理の素晴らしさを表現していく、その見せ方が最高!
滑稽であると共に、「食」は人を幸せにすることができるのだという確固たる真実を突きつけられる。
晩餐会の後、バベットに礼を言う老姉妹とバベットの会話で静かに幕を閉じる。観ているこちらは号泣。エンドロールの間に慌てて涙を拭ったものの、劇場内が明るくなってみると観客は私一人だったんですけど。
30年経っても、やっぱり私にとっては、変わらず、最高の名画でした!(成長してないのか、私…⁈)
正義と至高が接吻する。ハレルヤ!
封切り当時に映画館で観たがその後長らくTV放映でも配信でも最後まで通して観ることが出来なかった。デンマークの寒村が舞台だし室内シーンが多いので小さい画面ではどうも暗くごちゃごちゃして見づらいことがあって。映画館で観るべき映画の一つ。
バベットは1871年にパリから村にやって来る。パリ・コミューンのあった年でナポレオン3世が失脚している。「皇后と共に追われた」っていうセリフがあるから有名なウーディニ皇后に可愛がられた料理人だったのでしょう。そこから14年経っているのだから1885年くらいの設定。ちなみに昨年公開の「ポトフ」もこれぐらいの時期設定になっている。
村はユトランドにある。コペンハーゲンの北西、北海に突き出した半島の村。ここに住む年配の姉妹が父から引き継いだルター派のコミューンを主宰している。
姉妹も信者たちも敬虔な宗教者で質素で禁欲的な生活をおくっている。バベットが特に抵抗なく受け入れられたのはデンマーク王国という国が比較的、開明的だったからだと思う。
ただこの両者のバランスはバベットが宝くじ当選金を原資にして晩餐会を催すことによって崩れる。映画の前半部分は事実関係の説明と背景の紹介に割かれているが、後半部分は大げさにいうと文明の衝突にあたる晩餐会が描かれる。
久しぶりに観て、記憶よりも晩餐会のメニューが簡素であるとは感じた。コストがかかるのはウミガメだの南洋の果物だの珍奇な食材をはるばる輸送したから。パリ仕込の腕は普通の食材を使ってでも表現できたのではないかとは思ったけど。
いずれにせよバベットの料理は出席者のこころを溶かし受け入れられるに至る。
制作者の言いたかったことは表題に記した将軍のセリフに凝縮されている。おそらくここでの正義は宗教を、至高は芸術を指している。
宗教にしても料理にしても他の芸術にしても全て人間が生み出し、守り、積み重ね、発展させてきたもの。全て等価でありお互いに尊重されるべき。それがヒューマニズムということではないかと感じた。ハレルヤ!
対比とシスターフッド
プロテスタントとカトリック、聖と俗、女と男、都会と田舎、海と山などの対比が調和される物語。最後に残ったシスターフッドが印象的。バベットがマニッシュなのもいい。北欧なので、ちょっとドライヤーも思い出す。/図らずも、2本連続宝くじ映画での2024年の幕開けとなった。
実力シェフの底力
最高級の晩餐でした。食べてみたいです。
12人分の食事が10,000フランとは。
ネットで10,000フランの価値調べたら、すでに気になっていた方おられました。ざっくり1,000万円みたいです。
どんなに豪華な🍽️だったのでしょう。
食器にワインに食材
当時のハイソサエティの生活が尋常じゃない事感じました。
以下引用
<19世紀フランスの貨幣と価値(日本円にして)>
・1フラン=1,000円
・1スー=50円(20スーで1フラン)
・1サンチーム=10円(100サンチームで1フラン)
最高のグルメムービー‼️
19世紀後半、デンマークの小さな漁村で伝道生活を送る姉妹がそれぞれ、青年将校とオペラ歌手と実らぬ恋をする‼️この姉妹を演じる女優さんがホント美しくて、しかも若かりし時代と、年齢を重ねた初老の時代のふたつが舞台になっているんですけれども、演じる女優さんがそっくりで同一人物を特殊メイクしてるのかなと思うほど‼️結局別の女優さんだったんですけれども‼️やがてフランス革命で家族を失った女性バベットが、オペラ歌手の紹介で姉妹の家に住みつく‼️歳月が流れ、家政婦として姉妹に仕えてきたバベットが宝クジで大金を手にし、姉妹はじめ村人たちや今は将軍に出世したかつての青年将校を招いて晩餐会を開く。将軍はかつてパリで味わった最高のメニューとそっくりなのでびっくり仰天するが、禁欲的な村人たちが徐々に口にしていく描写、そしてあまりの美味しさに一人ひとりの表情が微笑んでいく様がホント素晴らしい‼️バベットがフランス料理のフルコースを作る丹念な描写も圧巻で、最後にバベットがパリで有名な女料理長だったことを語る‼️善良な人々の素朴な人間性というか、ロマンチシズムの幸福な香りが全篇に漂っているホントに素敵な映画で、現在に至るまでの最高のグルメ映画だと思います‼️あと、この映画を観賞する際、一番注意しなきゃならないのは・・・ヨダレ・・・‼️
才能を生かせる場があるかどうかは真の問題ではないのかも
キリスト教色を除けば一昔前の道徳の教科書に乗っていそうな品のいいお話。ちょっと雰囲気は違いますが、O・ヘンリの「賢者の贈り物」を思い出しました。欲にまみれた現代に生きる我々としては、この非常に慎ましく生きる人達から静かにお説教をされている気分になります。ただし、あくまでも彼らがそういう生活を送っているというだけであって押し付けがましさはないので、不快感はありません。
デンマークの映画が全部そうなのかわかりませんが、かなり禁欲的なのが特徴ですね。恋におぼれるなどはもってのほかと言う感じで、これがフランスやイタリアの映画ならまずそちらが話のメインになりそうなところが、終始とても慎ましいやり取りのみの描写になっています。19世紀の話とはいえ、これだけプラトニックで奥ゆかしい恋のあり方が成り立つとは、キリスト教の教えの強制力はすごいと思います。
さて、話の本筋はタイトルにもある晩餐会ですが、小さな田舎の村だけにフランス料理のフルコースなどは見るのも初めてであって、まず使われる食材からして驚愕の目で見られます。バベットの主人である姉妹の一人が海亀の悪夢にうなされるシーンは、この映画の落ち着いた雰囲気には不似合いなホラー的演出が入っていてちょっと笑ってしまいました。
見ていて思ったのは、とにかくよく食べよく飲むこと。自分ならとても無理な量です。そこだけは禁欲的ではないですが、たくさんワインやシャンパンを飲んでも酔態をさらさないのは抑制が効いていると言えますね。それにしても、これから先まず口にすることのないであろう上等な料理や酒を味わってしまうと、普段の食事が味気なく感じられたりしないんだろうかと思ったりもするのですが、それこそ余計なお世話でしょうか。
(追記)
NHK-BSで放送されていたのでまた見てみましたが、初見の時より評価が上がりました。地味だけど品があり、じんわりと染みてくる浄化剤のような作品ですね。
何といっても晩餐のすべてが終わった後のバベットの表情がいい。久々に腕を振るう機会を全うした満足感と、恐らくはもう二度とその機会がないことへの寂しさの両方が溶け合ったなんとも言えない顔なんですね。
夜空の星が近くなってきた時の「心の糧」
キャメラは北欧の寒村を映し出す。
そこの村人は貧しくも信仰を糧に
細々と生きている。
教会にふたりの娘がいる。
牧師と村人、兵士と娘、歌手と娘、
娘と村人、その日々を追う。
時が過ぎても変わらぬ信仰
しかし虚しさも重なる。
亡き牧師の生誕100年祭。
そこでの最高級の料理。
次第に村人の表情は豊かになり、
誰もが優し光に包まれる。
人生は名誉や金銭では無い。
生きる喜びと、その意味。
物語はそこで終わる。
※
俳優全員にアカデミー賞を贈ってほしい。人を見る映画
ストーリーはあらすじの通り。けど楽しむのはそこじゃない。
それぞれの登場人物が独特で印象深い。本当にその村があり、そういう人がいるだろうと思わせる。
バベットは、最初に登場した時のマント姿が、白雪姫の魔女のリンゴ売りの姿(失礼)のようなものすごい存在感で。「なんだろう、この人は」と思ったが次のシーンではそのオーラはすぐ消える。しかし後半段々とそのオーラを出してくる。最後の方でキッチンで一服する姿は只者でないオーラを感じさせる。
オーラを操れる演技力とそれを画面に写し出す監督との息があった作品。
永遠の瞬間である、ある晩餐会
規律を守り質素に暮らしてきた老姉妹。ひょんな縁でフランス人の元シェフの女性を家政婦として雇うことになり、彼女はある日、自分持ちで晩餐会を開きフランス料理の腕を振るおうとする。
慎ましく、控えめに暮らす敬虔な生と、贅を尽くした世俗的な暮らしや華やかな場所を生きる生が対比されているように感じる。そしてそれでも行き着くところは、大差なく、華やかな場所でも虚しさと孤独からは逃れられない。
食を堪能し美食に慣れている人も、美食に慄き罪の意識から口をつぐもうとする村人も、ワインの、そして料理の悦楽から少しずつ心をほぐされていく、平等に。
この映画から強く印象を受けたのは、永遠の瞬間がそれぞれにあるのだということ。幸福の絶頂がけして持続的なものでなくとも、人を満たすのに十分な瞬間を味わっているのなら、それは永遠になりうる。バベットの晩餐会は姉妹や村人、将軍、そしてバベット自身にとっても永遠の瞬間であり、それとは別に将軍にもオペラ歌手にも姉妹にもそれぞれの永遠も瞬間があったはず。
人は想い出を抱いて死ぬ、近頃よくこの言葉を思い出す。
祝福された気持ちになる
ささいな欲望や嫉妬に囚われてた最近の自分の心が浄化されていくような気持ちになった。終始映像はこれでもかと言うくらいに地味で控えめ、会話も淡々と静かなんだけど私には引き込まれるものがあった、そして晩餐会のシーンは圧巻(この映画の流れに相応しい圧巻さ)でそのオチも非常に良い。美味しい料理が人を幸せにするというテーマのフランス料理版しかも最高級で最上級な!
美味しい食事は欲望の塊なのではなく、もちろん単なるエネルギー源でもない
ほっこり
が、一番短くて近い形容詞かと。
でも単によかったね、というだけでは片付けられない奥行きを感じた。
あの料理の凄さの一割もわからなくとも、
気づけば不平不満だらけになってしまってた村人達も
美味しさの前には叶わず
素直になっていく姿を見るのは爽快である。
劇中の言葉は
キリスト教の教訓というよりは
宗教関係なく、幸せに生きるためのコツのやうに感じた。
バベットの心意気とプライドにも感服するが、
将軍の言葉が自分には響いた。
この美しい世界では全てが可能なのだ
一つの使命に生きる清々しさ
画面も衣装も渋い色合いで統一されていて美意識を感じたが、ストーリーが良いと思った。美しい海に面し冬場の強風が厳しく吹きすさぶユトレヒト半島のとある村を舞台に、牧師の父とともに村に来てよく父を助け、父亡き後もずっと村人達への奉仕に生きてきた姉妹と、パリから逃げてきたところを快く受け入れられて以来二人に仕える機転のきく使用人の女性バベットの暮らしぶりが描かれる。
私は、「神さま、バベットを二人のところに遣わせて下さって感謝します」と、スープを届けてもらった村人が呟いたのを、影で聞いたバベットが涙を流す場面にジンとした。バベットは、清貧を絵に描いたような姉妹の生き方に感銘を受け、そんな二人に仕えることができた自分の幸せをしみじみ感じてずっと二人に仕える決意をしたのではないだろうか。
終盤で、年をとって短気になり、お互いにいがみ合うようになってしまった村人達が、バベットの美味しい料理で懐柔されていく(言い方w)様子がとても鮮やかで見事だった。
そして見終わってから漠然と、個人的な幸せよりももっと大きなものに仕える幸せ、というのもあるのかもしれないな、と思った。
バベットがいかにも善人顔というわけではないので、最後まで結末がわからなかった
姉妹2人がまず印象に残る。若い頃を演じた女優さんと現在のお年を召した女優さんが
似てて、すごいなと感じた。
映画鑑賞してると大抵、途中から結末が二択くらいに絞られるが、本作は、その場面
場面に引き込まれ、結末はまあいいやという感じになった。
天才料理人バベットは、お金を一夜の晩餐会に使い果たす。自ら芸術的な腕をふるって。
そしてフランスには帰らず、敬虔なクリスチャンである姉妹と、質素な生活を送る。
お金より大切なものを知った人は強い。
貧しい芸術家はいない さて、貧しいとは
見たことあった。
貧しい芸術家はいない。さで、貧しいとは?
笑って泣ける。
今日はカレン・ブリクセンの誕生日。
そして、我が母の誕生日。
僕にとって良い映画だった。
この晩餐会に招待された人達もうご存命じゃないでしょうね。本当に天国で賛美歌歌ってるでしょう。
原作読もうっと。
天に召される前に
北欧の小さな教会にパリの革命から避難して来た夫人。無賃の家政婦としてかくまってもらう事になる。
前半は北欧のさびれた小さな村において独自色を加味した宗教が一家を中心に始まった話だったので、きっとおどろおどろしい話なんだろうと思ってしまい、後半における映画の美味しいところを若半分逃してしまった気がする。前半で怪しげな雰囲気を出し過ぎないでほしかった。
年老いた信者たちが生きているうちにパリ料理を味わえてよかったでしょう。
今週の気付いた事:北欧の曇り空は恐い。
とても美しい映画
とても美しい映画でした。
もちろん女優も音楽も歌も映像も美しかったのですが、一番は人の心が 美しかったです。
こんなにも見終わった後に清々しい気持ちになれる映画は珍しい。この名画は、ずっと心に残りそうです。
地味なトーンだが清らかな内容
ステファーヌオードラン扮するバベットは、デンマークの敬虔な老姉妹の下で家政婦をしていた。バベットは、夫と子供を殺されパリを追われて来たのだった。ある日、パリの宝くじが1万フラン当たったので老姉妹にフランス料理の晩餐会を催す事を申し出た。極めて地味なトーンで展開されていくが、清らかな内容だった。ただ好意の申し出の心づくしがお世話になった質素な老姉妹には負担になってしまったのは残念だったね。
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