劇場公開日 2016年4月9日

バベットの晩餐会のレビュー・感想・評価

全65件中、1~20件目を表示

4.5芸術と可笑しみが交錯する映画

2024年2月3日
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鑑賞方法:映画館、TV地上波、VOD

興奮

知的

幸せ

デンマークの海辺に近い片田舎の村で
信仰に人生を捧げた父の活動を手伝うため
同じように人生を捧げた老姉妹がいた。
ある日、その老姉妹の若き日に、多少縁のあった
パリの高名なオペラ歌手からの
「この人を匿って(かくまって)欲しい」という手紙を携えた
1人の女性料理人がやってくる。

この女性こそ、フランス革命後の市民による
混乱の時代に夫と子どもを殺害された
パリの一流レストランのシェフ、バベットだった。

それまで、片田舎の寂れた貧しい村で、
さらに貧しい人々を助けるために
老姉妹が干し魚の煮込み料理などを提供していたのだが、
それが、いかにも不味そうで(笑)

バベットが来てから作った料理がどれほど美味しかったか!
言葉にしなくても村人の表情でわかり過ぎる程分かる。

楽しいグルメ映画として観ても良し、
芸術家としてのバベットの深い心理を追うも良し
ぜひご覧あれ!!

で、月に8回程、映画館で映画を観る
中途半端な映画好きとしては

映画の前半は老姉妹の若き日の出来事が丁寧に描写されて
それゆえに、後半のシーンが生きてくる。
一見地味なエピソードの積み重ねに思えますが
クスクスと笑える小ネタもあり、なかなかに楽しい。

ラスト近くから
父の信仰のために人生を捧げた老姉妹への慰めと
真の芸術の力が生み出す至福の時間に癒される村人と
誰のためでもなく、バベット自身の
「芸術家」にとっての切望が交錯する。

ジワ〜〜っと泣けたわ〜〜。

安易なレビューだけでは語り尽くせません。
本当に良い映画でした。

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星のナターシャnova

3.5料理もお酒も美味しそうで、口内が唾液で溢れ、お腹が鳴りそうだった。...

2024年1月31日
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鑑賞方法:映画館

料理もお酒も美味しそうで、口内が唾液で溢れ、お腹が鳴りそうだった。真の芸術家を描いたアートセンス溢れる映画。

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mini

4.0映画終活シリーズ

2024年1月31日
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鑑賞方法:映画館

1988年作品
アカデミー賞最優秀外国語映画賞受賞

幸せな時間を送れました
映画って、ホントこうじゃなくっちゃ
ありがとうを言いたい

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あきちゃん

5.0宝くじ

2024年1月30日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

幸せ

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アプソ

4.5美味しいものは人を幸福にする

2024年1月27日
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鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

しっとりとしたいい映画でした。
2人の姉妹、身も心も美しい。
バベットさんの料理をしている
姿は粋だった。

12人で10000フランの料理、
食べてみたーい。

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ほんのり

3.5クロ・ヴ―ジョを飲んでみたい

2024年1月23日
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鑑賞方法:VOD

楽しい

幸せ

・将校ローレンスにどこか惹かれながらも、厳しい戒律を守って教会の務めに精進する姉マーティーネ。
・オペラ歌手のパパンに歌の才能を認められながらも、姉とともに人々に奉仕する道を選んだ妹フィリパ。
・パリの最高級レストランの女性料理長の腕前を持ちながらも、革命のためにすべてを失い寒村のこの教会で家政婦として慎ましい食事をつくり続けるバベット。
・恋を忘れるため、軍務に励み、出世を果たすと誓い、自分を律して将軍になるも老いたローレンス。
・姉妹とともに厳しい戒律を守って生きてきた村人たち。。。

宗教や革命や土地や規範に縛られた人たち。
これらの人たちがバベットの晩餐会の前と後で、大きく何か変わったわけではない。
でも明らかに晩餐会前とは「何か」が変わっている。
それを言語化できないもどかしさ。。

と思ったら、どなたかのレビューに最高の表現が。失礼して引用させていただく。
「これまでの人生を悔いることもなく、魂の高潔を守ったまま、バベットが供する極上のフレンチに今を生きる喜びを感じ、心をほぐしていきます。」

それにしても招待客からバベットにもっと賛辞をあげてほしかった!(笑 将軍が一人絶賛していたけど厨房にいるバベットに届いてる?「シェフを呼んでくれ。」と将軍にバベットを呼びだしてほしかったよ。(笑) しかしバベット、へとへとに疲れ切ってたなあ。力出し切った感じ。今にもタバコ吸いそうな感じやった。

途中まで姉妹中心のエピソード、バベットは30分過ぎた頃にようやく登場という構成。「一体誰の映画なんだ?」と焦点のもっていきかたに戸惑ったが、観終わってみると単にバベットが主役の映画という単純なものじゃあないんだよね。姉妹やバベット、将軍、村の人たち皆なのだろう。

いいワインやシャンパンが飲みたくなる。良い食材を使った料理も。
しかし食後のコーヒーの後にさらにコニャックをのむのね。

「人生におけるこういう教訓を伝えたいのだ」というハッキリしたものは見せてこない。
ひょっとしたらそんな意図さえないのかもしれない。
ただグッとくるセリフはたくさんあった。ほとんど将軍のセリフ。

・「人生の辛い選択などに、実は意味はない」
・「我々には我々が選んだものが授けられております。しかしまたそれと同時に、我々が選ぼうとしなかったものも、我々には与えられているのです。」
・「常にあなたが心の中にいました。これからも毎日、あなたと共に生きます。それもご存じですね。」

最後のセリフなんて、キュンとくる。純愛だ。。
かっこいいぞローレンス将軍。

※「画質というか色味がお洒落」と高校生の娘が。なるほどー。

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momokichi

4.0つつましく美しい作品

2024年1月22日
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鑑賞方法:映画館

TOHOシネマズの企画の
『午前十時の映画祭』でリバイバル上映されました。
1989年に日本公開された映画です。

以前から、「この映画、いいよ」と教えてもらっていましたが、
アマプラやDVDなどで観る時間もなく
(映画館に行く時間はなんとしてでも捻出するのに💦)
できたら映画館のスクリーンで観たい、とずっと思っていました。

題名だけ見ると
豪華絢爛な宮廷料理人か何かの話?と思いますが、
舞台はデンマークの海辺の小さな村。
村の牧師であった父親の教えを守り、
つつましく暮らすふたりの姉妹の元に、
フランス革命で家族も仕事も奪われた女性、バベットが身を寄せることになります。
そこから、姉妹の日常が少しずつ変わって行き…

この映画を観に行こうと思った理由は、
もちろん勧められたからなのですが、
もうひとつ大きな理由が。

それは、
デンマークを代表する女流作家、アイザック・ディネーセン(英語表記名)の作品が原作だと知ったから。
私の好きな映画のベストワンはゴッドファザーシリーズなのですが、
2位は「愛と哀しみの果て」。
それは、ディネーセンの自伝的小説の映画化なのです。
映画の中のその主人公、つまり彼女の生き方に何度励まされたことか。
だから、原作が彼女の小説であることを知って、これはもう絶対に観に行かねば!と思ったのでした。

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ruriruri1515

4.0美味しい料理は人を幸せにする。そのまんまの映画だ。

2024年1月21日
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鑑賞方法:映画館

 日本公開時に観ているから、30数年ぶりの映画鑑賞になる。最近、同じフランス料理を扱った「ポトフ」をみたが、出来が違う。ポトフは大半が料理を作るシーンの連続で、人間のドラマ部分が少なく退屈な映画だった。

 この映画は宝くじに当ってから俄然面白くなる。それまでの姉妹の恋愛が父の布教活動の妨げとなり、諦めることが後半のドラマに効いてくる。それまでの我慢だ。あとはタイトルの通りだ。この映画の素晴らしさを味わって下さい。

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いなかびと

4.5抑制のきいた珠玉の名品

2024年1月20日
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鑑賞方法:映画館

「午前十時の映画祭」で鑑賞。

いや、これはなかなかの名作ですね。

前半は話がどこに向かおうとしているのかわからずに少し気をもんだりもしましたが、バベットが宝くじに当たったところから物語に動きがでて面白くなってきた。

といっても、派手な面白さはない。とても抑制の効いた演出ですが、そこがかえって好感が持てます。地味だけど、素敵な作品に仕上がっている。
人生においても、また何かをつくる上においても、抑制が大切だということを教えられたような気がしました。

質素な禁欲生活を守ってきた村人たち。そこに晩餐会の豪華な料理がふる舞われ、彼ら・彼女たちはこころを乱される。
本音(にんげんの生き生きとした感情)と建前(「かくあるべし」という信仰心)の対比がユーモラスに表現されている。

北欧の寒々とした村の描写がつづきますが、終盤は見ているこちらもいくらか体温が上がったような、ほっこりとした気持ちに。
まるで僕も晩餐会に参加しているようでした。

正直いうと、あまり期待していなかったのですが(期待していなかったのがよかったのかな?)、とても素晴らしい作品に巡りあえて満足です。
給仕役の少年もいい仕事してたね。

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peke

5.0ただの料理の映画なのに涙が出る

Mさん
2024年1月20日
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料理は人を幸せにする。
映画も人を幸せにする。
至福の映画。特に後半は幸せな気持ちになった。
これがまた、終わるのが絶妙の時間。贅沢をしてフレンチを食べに行きたい気分です。
午前「10時」の映画祭に感謝!

追記
奮発してランチ行きました! お腹いっぱいです。

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M

4.0ハレルーヤ

2024年1月19日
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鑑賞方法:映画館

バベットがきてからお金に余裕ができたって、食いもんにケチつけて値切ってるシーンが2つあっただけでいきなり14年が経ちましたって言われても。
いかにババア姉妹に献身的で、ジジイババアたちにもかけがえのない存在になってたかという描写がなかったから、ただ魔女が作ったおいしくなさそうな食べ物を敬虔そうに見えて実は罪深いジジイとババアたちがおいしくなさそうに食べ続けるホラーのように思えた。音楽もホラーぽかったし。

すみません。異教徒の感想です。

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大吉

4.0無宗教も

2024年1月19日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

幸せ

いいとこの自分ですが、何かを畏敬して暮らすのは悪くないと思う。時に打ちのめされても、人が作った食や酒で癒やされるのがまたいい、「パーフェクトデイズ」の平山の生活も一種のそれ。
もっと言えばここに集う人々も、信者なのかも。たとえその教典が「エクスペンダブルズ」だったとしても。

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トミー

4.5静謐で淡々としているのにクスリと笑える

2024年1月16日
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鑑賞方法:映画館

笑える

幸せ

おじいちゃんおばあちゃんかわいい(語彙力の喪失)
姉妹に言い寄る男二人ちょいキモいけど二人の考える理想的な愛し方してるのかも。
将軍はほんと晩餐会に来てくれて良かったな。君と御者さんが居なきゃ静かすぎるし料理の良さが真っ直ぐ伝わらないとこよね。良い案配に配置されていたと思います。
あとおじいちゃんおばあちゃんがかわいい

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主人公のこと我が子と思ってる人

5.0沸々と幸福感

2024年1月13日
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鑑賞方法:映画館

全ての出来事が、素晴らしい食事に集約していく様は秀逸。

しかも
食事の際に会話はせず、亡き牧師とこれまでの歩みのみ話すようにさしむけられた構成により、隣人愛や人生の素晴らしさが中心に据えられ、豪華な食事はそれをそっと補助する位置に留められているのがにくい演出。

本人達はどれだけ高級か分かっていないところもよい。

さすが午前10時の映画祭選出でした。

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カルカソンヌ

4.0【”美食の恩返し。”美味しい料理は、人の若干なる疑いを晴らし食した人々に幸福を齎す。この作品が後年の映画に与えた影響は大きのではないかな、と思った作品でもある。】

2024年1月12日
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鑑賞方法:VOD

楽しい

知的

幸せ

■19世紀後半、デンマークの海辺の村。
 牧師の父を持つ初老の姉妹、のもとに、フランスのパリ・コミューンにより家族を亡くした女性バベットが移り住む。
 やがて宝くじで1万フランを得たバベットは、その金で村人が集まる晩餐会用のフランス料理を作らせてほしいと姉妹に申し出る。

◆感想

・今作は、私の好きな出演陣が皆善性を保っている所が好きである。

・マーティーネとフィリパの元に現れたパリ・コミューンにより家族を亡くした女性バベットを、彼女達が逡巡しつつ受け入れる姿。

・その後、十数年が経ち、バベットが掛けていた宝くじが当たるシーン。ナント1万フランである。
ー 当然、彼女はそのお金で新たなる生活を切り開くと思いきや、その全額を掛けて彼女が世話になったデンマークの人達に料理を供するのである。今作でも描かれているように彼女は且つて、仏蘭西の名店のスーシェフであったのである。ー

■彼女は1万フランを投げ打って、高名なワインの数々、黒トリュフ、鶉を惜しげもなく買い、見事な料理を作り上げ、お世話になったデンマークの海辺の村の民に供するのである。

<今作は、近年仏蘭西映画で時折描かれる(代表は「デリシュ!」かな。)の先見的な作品であると思う。
 食が、人と人を結びつける過程を、描いた作品である。
 佳き作品であると思うし、この作品が後年の映画に与えた影響は大きのではないかな、と思った作品でもある。
 鑑賞後の爽やかな印章も忘れ難き作品である。>

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NOBU

5.0ある程度のキリスト教の文化がないと理解に詰まるか…

2024年1月8日
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今年16本目(合計1,108本目/今月(2024年1月度)16本目)。

 リバイバル上映なのか上映されていたので見に行ってきました。
言語がわりと謎ですがデンマーク語なのでしょうか?(いわゆるリバイバル上映の類はパンフレットの類が存在しない)

 多くの方が書かれている通り、この時代…というか現代でもいいですが…キリスト教に関する文化がないとわからないセリフは多いし、そこから発展する食事の話題もわかりにくい部分はそこそこあります(宝くじのことはある程度わかるが)。

 特にセリフに関する部分でキリスト教の聖書の一句やいわゆる名言を引用するところがあり、ここまでくるともう当事者ではないと理解できないのでは…と思います。

 ここ最近の映画であえて同じ趣旨をあげるとすれば「ポトフ」がまぁ比較的近いといえば近いですが、「あえて近いものをあげれば」程度です。また、本国では子供向け…とはいわないにせよ、16~18歳くらいの子に見せることを想定しているのか、かなり「道徳の教科書ならぬ道徳の映画」的な部分が多々見られます(意図したものかどうかは不明)。

 ただいずれにしても、当時のキリスト教文化の事情や食事事情、宝くじに関すること(描かれている通り、現在の各国とは法律等は異なっても発行はされていた模様)など「少し前の文化」に興味があればおすすめといったところです。

 採点上特に気になる点までないのでフルスコアで切り上げにしています。

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yukispica

5.0鑑賞後の満足度💮 なんという豊潤な映画だろう。パペットの至高の料理と同じく。映画好きにとってはこの上もない映画(という料理)を堪能する至福のひととき。他に言うことはありません。

2024年1月8日
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もーさん

5.0なぜかまた観たくなる

2024年1月8日
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鑑賞方法:映画館

なんど観たことでしょう。
時代に流され苛酷な暮らしでも
信じる心があれば豊かになれる。
芸術家バベットは貧乏になることはなく、
与えることでより豊かになることを
知っています。

押さえた演技、地味なストーリー、
だけど また観たくなる作品です。

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かっこ

5.0「食は人を幸せにする」というただひとつの真実

2024年1月7日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

鑑賞後に極上の幸福感を味わえる映画には、そうそう出会えるものではない。

『バベットの晩餐会』を初めて観てから、もう30年以上も経つ。「午前十時の映画祭」でリバイバル上映があるというので、それなりに人生を重ね若い頃に胸を振るわせた作品が、今の自分にはどのように映るののだろう…そんな期待と不安を胸に劇場へ足を運んだ。

まずは美しい田園風景と、慎ましい暮らしの村人たちに、日頃の喧騒を忘れて穏やかな気持ちになる。
敬虔なプロテスタント教徒の姉妹に対し、実ることのない恋心を抱えながら生きていく2人の男の切ない生き様には、心が締め付けられる。

そして、何より、家政婦バベットの、料理人という芸術家としての魂とでもいうべき心意気。これまで語られたエピソードのすべては、この芸術家魂を最高の状態で目の前に見せるためのものだったのだと気付かせる、怒涛のラスト!
バベットの、料理を作り終えた後の佇まいは、どんなヒーローよりもカッコいい。

「悪魔の料理」を味わわないように誓い合った村人たちが、一言も「美味しい」という言葉を発することなく、(料理以外の)会話や表情で、その極上な料理の素晴らしさを表現していく、その見せ方が最高!
滑稽であると共に、「食」は人を幸せにすることができるのだという確固たる真実を突きつけられる。

晩餐会の後、バベットに礼を言う老姉妹とバベットの会話で静かに幕を閉じる。観ているこちらは号泣。エンドロールの間に慌てて涙を拭ったものの、劇場内が明るくなってみると観客は私一人だったんですけど。

30年経っても、やっぱり私にとっては、変わらず、最高の名画でした!(成長してないのか、私…⁈)

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prishou

4.0正義と至高が接吻する。ハレルヤ!

2024年1月6日
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鑑賞方法:映画館

封切り当時に映画館で観たがその後長らくTV放映でも配信でも最後まで通して観ることが出来なかった。デンマークの寒村が舞台だし室内シーンが多いので小さい画面ではどうも暗くごちゃごちゃして見づらいことがあって。映画館で観るべき映画の一つ。
バベットは1871年にパリから村にやって来る。パリ・コミューンのあった年でナポレオン3世が失脚している。「皇后と共に追われた」っていうセリフがあるから有名なウーディニ皇后に可愛がられた料理人だったのでしょう。そこから14年経っているのだから1885年くらいの設定。ちなみに昨年公開の「ポトフ」もこれぐらいの時期設定になっている。
村はユトランドにある。コペンハーゲンの北西、北海に突き出した半島の村。ここに住む年配の姉妹が父から引き継いだルター派のコミューンを主宰している。
姉妹も信者たちも敬虔な宗教者で質素で禁欲的な生活をおくっている。バベットが特に抵抗なく受け入れられたのはデンマーク王国という国が比較的、開明的だったからだと思う。
ただこの両者のバランスはバベットが宝くじ当選金を原資にして晩餐会を催すことによって崩れる。映画の前半部分は事実関係の説明と背景の紹介に割かれているが、後半部分は大げさにいうと文明の衝突にあたる晩餐会が描かれる。
久しぶりに観て、記憶よりも晩餐会のメニューが簡素であるとは感じた。コストがかかるのはウミガメだの南洋の果物だの珍奇な食材をはるばる輸送したから。パリ仕込の腕は普通の食材を使ってでも表現できたのではないかとは思ったけど。
いずれにせよバベットの料理は出席者のこころを溶かし受け入れられるに至る。
制作者の言いたかったことは表題に記した将軍のセリフに凝縮されている。おそらくここでの正義は宗教を、至高は芸術を指している。
宗教にしても料理にしても他の芸術にしても全て人間が生み出し、守り、積み重ね、発展させてきたもの。全て等価でありお互いに尊重されるべき。それがヒューマニズムということではないかと感じた。ハレルヤ!

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あんちゃん