「たまらない」バッファロー'66 吉泉知彦さんの映画レビュー(感想・評価)
たまらない
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公開時にシネウインドで見て、その後もレンタルで見て、なんなら漫画でも場面をパクるほど好きで、何度目かで改めて見るとやっぱり素晴らしい。
落ち着いて見ると童貞の妄想が詰まっている。主人公は女性を拉致監禁するようなタイプではなく、いくらか粗暴な面があっても弱者男性そのものなのだけど、おしっこがもれそうで思い余ってしまったと解釈できる。ちょっとぽっちゃりしたクリスチーナ・リッチが美しいしかわいいし優しいし、童貞に都合がよすぎる。胸に顔をうずめるのうらやましい。しかも乗っている車がMTのカローラトレノで前がへこんでいる。そんなゆるさが、ギャロについ惹かれてしまうのもわかるようだ。車も好きで選んだわけでもなさそうで、ボロボロのMTだから安かったのだろう。すごくいい。
主人公の両親が息子に対して愛着が全然ない。息子よりフットボールチームに夢中だし、両親のベッドルームは別々だ。ただ主人公はボーリングの名人で、そこで出会いがあってもよさそうなものだ。彼が好きな同級生のウェンディ、ひどい女だ。どこがよかったのだろう。
寒々しい天気も心細くていい。場末感がすごくいい。音楽もよくて、サントラを聴いたよく聴いたベスト5に入る。
音楽や急にボウリング場で踊りだすクリスチーナ・リッチ、自室で朗々と歌うベンギャザラなど演出やカットが切れに切れており、クライマックスの銃撃のバレットタイムもどきも最高だ。
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