「輪廻の蛇」バック・トゥ・ザ・フューチャー 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
輪廻の蛇
映画字幕翻訳者の戸田奈津子さんのトーク付きイベント上映で久々の鑑賞。もちろん字幕の担当は戸田さんなのだが、彼女自身が長いキャリアの中からこの映画を選んだのか、企画側の選択なのかはわからなかった。
1985→1955という近過去への時間旅行をテーマに、よく練られた脚本と散りばめられた小ネタで楽しませてくれる。ただ、物語の中心となるサスペンスを構成する“両親の出会いがないと主人公が消える”という命題は、主人公が消えれば時間旅行で過去へ行くこともなくなり、両親の出会いを妨げることもなく、元どおり主人公は生まれ…という典型的なタイム・パラドックスに陥るけど、そのへんは看過されている。
この映画で一番好きなのは、1955年のパーティーのステージに飛び入り参加したマーティ・マクフライが「ジョニー・B.グッド」を演奏するシーン。激アツのパフォーマンスだ。バンドメンバーがチャック・ベリーに電話して教えてやり、これだと実はマーティが作ったみたいな話になってしまうが、マーティはチャック・ベリーの曲として知っていたわけで、因果律が破綻する。
劇中1955年当時二流の西部劇役者に過ぎなかったロナルド・レーガンが30年後アメリカ大統領になっているとマーティが言うと、ドクがそんな馬鹿なというリアクションをするシーンがあるが、80年代不動産王と言われていたドナルド・トランプをモデルに悪役ビフ・タネンを造形した脚本家のボブ・ゲイルも、まさか30年後そのトランプが大統領になるとは思ってもみなかっただろう。
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