π パイのレビュー・感想・評価
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チープ
森羅万象、全ては数学で説明できるという主人公の主張は狂人の妄想と言う訳でもない、世界中の物理学者が神の数式と呼ばれる宇宙統一理論の探求を真摯に続けている。
最新研究の扉を開いた一人が超絃理論を編み出したジョエル・シャークであり、34歳で自殺してしまった夭逝の天才である。彼は宇宙は多次元でできていると書き残した、まさにSF映画でおなじみのパラレルワールドの世界である。
本作を観ながら何故かシャークと似た臭いを感じて惹きこまれたのだが、出てくるコンピューターはどう見てもパソコンだし、大衆受けを狙って研究の効用として株式予想とか宗教とかを絡めるから急に安っぽくなる。ユダヤを持ち出したのもアインシュタインの名声を借りたかったのでしょう。
難しい研究と頭痛と妄想はなんとなく因果関係がありそうだがクスリの常用、挙句にはドリルで頭を突く暴挙まで行って死にもせず、才能を失って安らぎを得ました、めでたしめでたしとはふざけた話になってしまいました。
天才数学者の葛藤の様、心理描写としてあえてモノクロで手持ちカメラの不安定映像を多用するのも前衛的との評価狙いなのだろうが使い古された手法で今や予算の無い学生の実験映画でもやらないだろう。
思い込みに取り憑かれた学者の狂気性を映像表現したかっただけの残念な映画に思えました。
数字に囚われ、法則に囚われる男の話。全体を通して白黒で男の演技にさ...
数字に囚われ、法則に囚われる男の話。全体を通して白黒で男の演技にさらに緊迫感のあるような印象を受けた。内容が数字や数学を扱うもので数学が苦手な私には少し小難しく感じたがその難しいものにのめり込む主人公の姿には圧倒されるものがあった。また、音楽がテクノ混じりでかっこよかった。
まあまあだった
昔見た時は面白かったような印象があって、監禁されて数字の謎をといて脱出する話だと思っていて『キューブ』と混同していた。見たのが同時期だったのだろう。数学のことなんか分からないので、全体的になんのこっちゃって感じで頭良さそうなのをひけらかされたような気分になった。謎の組織みたいな連中にお金もらって数字を教えてしまえばよかったのではないだろうか。けっこう退屈した。
音楽がジャングルで懐かしかった。
何かがわかりそうになる瞬間
数字で世界のすべてがわかるかもしれない、そういう妄想に刈られた数学者の話です。
ある一つの事象と別の事象を関連付けるのは人間の知性の初歩的な段階なのではないかと勝手に想像するんですが、ソースはありません。原始文明における魔術は科学の生みの親、とみる見方もあるようですが、「雨が降ったら作物が育つ、だったら雨が降らなくても畑に水をまけばいい」という経験的な法則からくることも科学的ですし、「恨みを持つ相手そっくりの人形を作って痛めつける」という魔術も、じつは類似のメカニズムなんじゃないかとおもいます。
また西洋文化の二元論の限界を多くのポストモダンの哲学者が指摘するように、実は数学や言語というのは真実に近づいたり、何か新しいものを作るための道具にはなりますが、そのものが真実になりえることはないという、歴然とした事実があります。たいていの人はその道具を真実と思い込み妄信したり懐疑したりするんですが、じつはそれはナンセンスで、目の前にある「それ」そのものが真実であるわけです。この辺は仏教が得意な分野だと思いますが、この映画のラストではそれがいいたかったのではないかと思います。
禅文化と共通するのかな?この監督のほかの作品を見ても問うよう哲学への関心が感じられますし、たぶんその辺の解釈でいいのではないかと思います。
面白い映画でした。
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