野のユリ

劇場公開日:1964年10月24日

解説

ウィリアム・E・バレットの原作を「八十日間世界一周」(アカデミー賞)のジェームズ・ポーが脚色、TV出身のラルフ・ネルソンが製作・演出したヒューマニズムドラマ。撮影は「風と共に去りぬ」(アカデミー賞)のアーネスト・ホーラー、音楽は「マンハッタン物語」のジェリー・ゴールドスミスが担当した。出演は「長い船団」のシドニー・ポワチエ、TV「プレイハウス90」のリリア・スカラ、フランセスカ・ジャービス、アイサ・クリノ、リザ・マン、パメラ・ブランチ、「ティファニーで朝食を」のスタンリー・アダムスなど。

1963年製作/アメリカ
原題または英題:Lilies of the Field
配給:ユナイテッド・アーチスツ
劇場公開日:1964年10月24日

あらすじ

キャンプ用具を積み込んだステーション・ワゴンを運転して気楽な旅を続けている黒人ホーマー(シドニー・ポワチエ)はアリゾナ砂漠のはずれでエンストをおこし、荒地を耕す東独を亡命してきた、修道女たちとあった。修道女たちは、この荒地に教会を建てるという無謀な望みを持っていた。ホーマーは水を貰い、かわりに雨洩りの修理を申し出た。テントで眠っていたホーマーは、翌朝マリア院長(リリア・スカラ)にたたき起こされ、教会設立の準備を命じられた。しかし、マリア院長から渡されたのは、下手な教会のスケッチが1枚だけ。純真なマリアは、神様の導びきでホーマーが、自分たちのためにやってきたに違いないと思い込んでいたのだ。気のいいホーマーはマリア院長の熱意と断固たる信念に押しきられ、仕事を手伝うことになった。建築資財は修道女たちが集めることになった。ホーマーも、女たちに頼りにされて仕事が次第に面白くなっていった。しかし食事の粗末なことには、ホーマーも閉口し、村の建設会社で働き、その給料で食料品を買った。しかしマリア院長は、ホーマーが、資財より食料品を買いこむのが気にいらず、ついにホーマーと衝突し、ホーマーは怒って去っていった。それから何日目かの日曜日が来た。砂漠地帯を歩く修道女のもとに、遊びつかれたホーマーが帰ってきた。修道女たちは感動をもって彼をむかえた。心をいれかえたホーマーは月給で建築資財を買い、独力で教会を建てようとした。これを聞き知った建築会社の社長が助力をかってでた。マリア院長は双手をあげて歓迎した。ホーマーも1度は自尊心を傷つけられ、ムクれたものの、自分の指示の下に仕事がすすめられることに満足した。やがてこの友情と信頼にささえられて教会は完成した。修道女たちが、霊歌を歌うのを後に、ホーマーはステーション・ワゴンで静かに遠ざかっていった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第36回 アカデミー賞(1964年)

受賞

男優賞 シドニー・ポワチエ

ノミネート

作品賞  
助演女優賞 リリア・スカラ
脚色賞 ジェームズ・ポー
撮影賞(白黒) アーネスト・ホーラー

第21回 ゴールデングローブ賞(1964年)

受賞

最優秀主演男優賞(ドラマ) シドニー・ポワチエ

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀助演女優賞 リリア・スカラ
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映画レビュー

3.5 神を信じる者と自分を信じる者が反目しながら奇跡を起こす寓話的求道映画。

2026年4月16日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波、VOD

泣ける

楽しい

幸せ

偶然にもVODで見つけて鑑賞しました。初見は13歳の時の淀川さんの日曜洋画劇場でした。黒人俳優が主演のアメリカ映画を初めて観て、キリスト教修道女の信心深さと質素な生活を知り、無報酬で教会建設に尽力する青年の善行に心地良い感動を受けた記憶は、映画の素晴らしさの一つだと長く心に抱いてきました。さすがに55年前の鑑賞だったので、細かいシーンの記憶はなく、唯一劇中歌のゴスペルソング『エイメン』を聴いて懐かしく感じたことでした。人種差別を意識したこともなく、キリスト教にも特に関心もないフラットな状態だった日本の田舎の中学生は、この映画の本質に気付かず気軽に観ていたのではないかと想像します。演出も演技もコメディタッチだったおかげで楽しい鑑賞でした。

原作はローマ・カトリック教徒の家に生まれたウィリアム・エドマンド・バレット(1900年~1986年)の短編小説『Lilies of the Field』(1962年)で、脚本が「80日間世界一周」(1956年)や「熱いトタン屋根の猫」(1958年)「ガンヒルの決斗」(1959年)などのジェームズ・ポー(1921年~1980年)という人。小説の粗筋を読むと、脚本はほぼ原作通りのようです。主人公ホーマー・スミスは陸軍の退役軍人で、軍隊時代に身に付けた技能を生かし、旅回りの便利屋が職業という設定でした。車中泊できるようステーションワゴンも改造してます。映画で省略されていたのは、途中一か月ほど修道院を離れたのが夏の熱さを避けるのと、修道女が使えるお風呂を設置する資金作りで解体作業員で高収入を得るためでした。映画以上に聖人のような主人公です。そして、エピローグとしてはスミスの業績が伝説となり、観光客が教会を訪れ新聞に記事が載り、多額の寄付が集まり、マザー・マリアが言っていた学校設立まで夢が実現します。それも法を犯した問題児の更生のための学校という慈善事業です。原作に従えば、シスター・アルベルティネが描いたムーア人の聖ベネディクトの肖像画がラストカットになり、それがスミスにそっくりとうエンディングだったでしょう。でも映画はスミスとマザー・マリアの衝突を面白可笑しく描いていて、神の思し召しと思ってスミスに感謝の言葉を掛けないマリアは、意固地なおばあさんです。それに納得できないスミスの苛立ちも当然のように描かれ、聖人より人間味のある青年のリアリティを表現していました。ラストシーンは、映画の終わり方のほうが良かったと思います。スミスはマリアと反目しながら、徐々に自分の達成感のために教会建設に全身全霊で取り組み、他人に感謝されることを求めない。(マリアには、一言ありがとうと言って貰いたかったようですが)本来仕事とは、収入を得るためであり、他人に感謝されて満足するものです。スミスにとって教会建設は仕事ではなく、また純粋な善意やボランティアでもなく、自分を試す修行のような側面もあった。これがキリスト教の求道的信心になるのではないかとする映画の内容でした。ラストのクレジットがThe endでなくAmenなのは、スミスがまた新たな達成感を得るための旅の始まりだからでしょう。アーメンの意味を調べると、“誠にその通り”、“本当にそうだ”とあります。

監督は「ソルジャー・ブルー」(1970年)のラルフ・ネルソン(1916年~1987年)で、他に「不時着」(1964年)「泥棒を消せ」(1965年)「まごころを君に」(1968年)「...チック...チック...チック」(1970年)を観ていますが、やはりこの作品と「ソルジャー・ブルー」が代表作に挙げられると思います。音楽は「パピヨン」(1973年)などの巨匠ジェリー・ゴールドスミス(1929年~2004年)で、ネルソン演出に合わせた長閑な音楽でした。VODでもその深みのある素晴らしい白黒映像が堪能できる撮影は、「風と共に去りぬ」(1939年)でアカデミー賞撮影賞を受賞したアーネスト・ホーラー(1896年~1970年)。他に「理由なき反抗」(1955年)「何がジェーンに起ったか?」(1962年)があります。ホーラーの経歴を調べて驚くのは、1920年頃にD・W・グリフィス専門の撮影監督のアシスタントから始まって、1965年まで活躍したことです。コメディタッチのネルソン演出には暗すぎる印象もありますが、銅版画のような趣とキリスト教を題材とした内容にあった神聖さです。修道女の黒の衣装の美しさ。
この映画の成功が、スミスを演じたシドニー・ポワチエ(1927年~2022年)の演技、それと歌と軽い踊りで見せるリズミカルな身のこなしにあります。聖人のような役柄には、白人から見た理想的な黒人との批判もあったという事ですが、演技力と個性は好感度高く、この役を見事に演じていると思います。黒人問題を描いた初期の「手錠のままの脱獄」(1958年)、「いつか見た青い空」(1965年)「夜の大捜査」「招かれざる客」(1967年)と観ていて、このスミス役が一番好きです。

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Gustav

3.0 エイメン~♪

2026年4月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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odeonza

3.0 カトリックに対する皮肉を込めているのか

2025年5月10日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 陽気なホーマーと偏屈なマザーマリアという対照的な二人の掛け合いが、シュールな笑いを生む映画だった。冒頭、真顔でじっと見つめてきながら一方的な要求をするマザーマリアと、それに困惑するホーマーの姿に笑った。

 作中の台詞や、ホーマーの教会建築の様子を見ていた人々が手伝うようになる展開から、信仰心だけでは何もなし得ないという、俗世間の常識と乖離したカトリックに対する皮肉と、人が動くところに人が集まり、大きなことを成し得るというテーマを込めた映画なのかなと解釈した。

 ただ、今作で建築したのは小さな教会だが、歴史に残るような大聖堂の建築の場合、やはり強い信仰心があってこそ多くの人や資金を集めて成し得た部分が大きいと思う。そのため上記の解釈だとズレているのかなと、いまいち腑に落ちなかった。

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根岸 圭一

3.5 ラストが良かった

2024年3月25日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

・ゴスペルソング「AMEN」が耳に残った
・主人公を便利使いする修道女にイラッと来たが本当は感謝しているのだと解釈。

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ひろ4

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