劇場公開日 1961年8月15日

「【第二次世界大戦時、不可能と思われたナチスのエーゲ海の要塞を破壊するミッションを遂行する英国特殊部隊の個性的な6名とギリシャの女性レジスタンス2名の姿を描いた戦争ヒューマン映画の逸品】」ナバロンの要塞 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【第二次世界大戦時、不可能と思われたナチスのエーゲ海の要塞を破壊するミッションを遂行する英国特殊部隊の個性的な6名とギリシャの女性レジスタンス2名の姿を描いた戦争ヒューマン映画の逸品】

2024年9月5日
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鑑賞方法:VOD

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ー 今作を観ていると、グレゴリー・ペックとアンソニー・クインって、どれだけ傑作に出演したのだろうと思ってしまうな。
  名脇役、デヴィッド・ニーヴンも良いよなあ。-

■一応記すね。
 ギリシャの400フィートの絶壁に護られた難攻不落のナバロン島に設置されたドイツ軍の2門の大砲を破壊するため、6人のメンバーからなるドイツ語、ギリシャ語に精通した登山のプロ、キース・マロリー大尉(グレゴリー・ペック)率いる英国特殊部隊が結成される。
 イギリス駆逐艦がここを通過するまでに、その大砲を破壊するのがミッション。
 英国特殊部隊は海からナバロン島の絶壁を登る作戦を決行する。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・序盤の、小さな船に乗って荒ぶる海を渡り6人の英国特殊部隊が、ナバロン島に上陸するシーン。
 ナチスの軍船に怪しまれた時には、地元民を装うも一気に攻撃し壊滅させるが、上陸後彼らの船は嵐の海の中で砕け散る。これで、退路は断たれたのである。

■6名の英国特殊部隊
 1.キース・マロリー大尉(グレゴリー・ペック)
   歴戦の強者であるが、冷静な判断力と人間の器が大きい。ドイツ語とギリシャ語を巧みに話す。
 2.アンドレア・スタブロス大佐(アンソニー・クイン)
   怪力の持ち主で、演技派。且つてキースの甘い判断により、妻と子を4人殺されキースに深い恨みを持っている。
 3.ミラー伍長(デヴィッド・ニーヴン)
   爆発物のプロ。だが、昇進を拒み戦争を行う上位軍人を軽蔑している。
 4.ブラウン一等兵(スタンリー・ベイカー)
   若き戦士だが、6人の中では没個性。
 5.ロイ・フランクリン少佐(アンソニー・クエイル)
   上官の指示により同行するが、最初の崖のぼりで滑り落ち、両足を負傷する。
 6.スピロ・パパディモス一等兵(ジェームズ・ダーレン)
   ギリシャ人のナイフのプロ。だが、戦いに嫌気がさし、相手を刃で殺すことに躊躇っている。
  という、個々人のキャラが立っているのである。

・最初の崖上りのシーン。キースがハーケンを打ちながら登り切り、ルート工作をするが途中、スタブロス大佐に片手で助けられるシーンは、ハラハラする。
 そして、ロイ・フランクリン少佐は滑り落ち、両足を負傷し担架で運ばれるようになる。

■途中で出会った2名のギリシャ人女性レジスタンス
 1.マリア・パパディモス(イレーネ・パパス)
   スピロの姉で気が強いが、情もある。
 2.アンナ(ジア・スカラ)
   且つて、ナチスの拷問により口が利けない。背中には骨が出たほどの傷がある。

・6名の英国特殊部隊と2名のギリシャ人女性レジスタンスは、途中ナチスに捕まりながらも、スタブロス大佐の漁師に扮した演技で難を切り抜け、砲台に爆薬を仕掛けようとするが、爆薬が使えなくなっている事が分かるシーン。
 ミラー伍長は、アンナがスパイだと言い、彼女の衣服を剥ぐと拷問の後がない。アンナが涙ながらに拷問を恐れて寝返ったと告白すると、キース大尉が発砲する前にマリア・パパディモスが、彼女を射殺する。肩を落とすミラー伍長の哀し気な顔が印象的なシーンである。

・何とか、爆発物を直し砲台に爆薬を仕掛けた後に、イギリス駆逐艦が海を航行してくるシーン。最初は爆薬を仕掛けた所迄、砲弾を運搬する装置が下りないが(ジリジリする。)、漸く爆発物に装置が接触し、ナバロン島の砲台を据えた頂上部分が大爆発をするシーンはスカッとするなあ。
 序でに言えば、ロイ・フランクリン少佐はナチスに捕まり自白薬を飲まされていたが、彼が口にした情報は、キース・マロリー大尉が予め彼に吹き込んでおいた偽の情報だった所なども、キース大尉の知略を物語る。

・スピロ・パパディモス一等兵がナチス兵と対峙した時に、逡巡して相打ちになったり、ブラウン一等兵が、ナイフで殺されたりするが、メインキャラクターは健在である。
 映画あるあるである。

<そして、手配してあった高速船が海に飛び込んだ彼らを救い上げ、任務は遂行される。そして、キース・マロリー大尉とアンドレア・スタブロス大佐は、過去の因縁を乗り越えて、ガッチリと握手するのである。
 今作は、ナチスを悪として描いてはいるが、将校の中には人間性を示すモノも居るし、戦争のために平和を乱されたギリシャの村人の描き方を見ていると、連合国側を完全なる善とは描いていない所も良いと思う。
 それの象徴が、哀しき内通者であったアンナが同じギリシャ人のレジスタンス仲間だったマリア・パパディモスに殺されるシーンだからである。
 いづれにしても、今作は、戦争ヒューマン映画の逸品には違いない作品である。>

NOBU
トミーさんのコメント
2024年9月9日

DVD持ってるんですが、一度は劇場で観ておきたい作品ですね。
ニーブン最高「成功するとは思いませんでしたよ(TV吹替)」ネズミの囮を仕掛ける所、いつ観ても微笑ましい。

トミー