長い灰色の線のレビュー・感想・評価
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陸軍士官学校の教員として生きた男の一代記。 喜び、苦悩、しっかりと...
陸軍士官学校の教員として生きた男の一代記。 喜び、苦悩、しっかりと描かれており、なかなか面白かった。が、めちゃくちゃ感動、というわけではない。古い作品だからか。
崇高な精神に満ち溢れた
ここ最近ではなかなかお目にかかれなくなった、 意味のある作品。 CGによる見たことも無い映像も大切だと思うが、 俳優による台詞、演技こそが、映画の内容のほとんどです。 トップガン2でも感じましたが、 もしかしたら死ぬかもしれない職業など他に無い、 そのうえで、任務を遂行していく、 その気高い精神が、戦場ではなく、日常の生活を通じて、淡々と描かれます。 自らを犠牲にして、家族を守ること、自国を守ること、 この事がいかに大切か、 ジョン・フォードは主人公は勿論、兵士たちひとりひとりを尊敬の眼差しを持って描いています。 U-NEXT でたまたま観たのですが、 怒りの葡萄や、いとしのクレメンタイン等、初期の名作に匹敵する作品だと感じました。
グレーの制服での分列行進の様
ウェスト・ポイント陸軍士官学校は1802年創立の由緒ある兵学校、主人公のマーティ ・マー(タイロン・パワー)はアイルランドからの移民で20才で給仕見習いとしてウェスト・ポイントに入りました、体育教官のケーラー大尉に喧嘩の腕を買われ助手に昇格、50年にわたり体育教官として学生の指導にあたりました。彼の伝記をもとにした実話ベースですが家族関係などは脚色だそうです。
熱狂的なファンのいるアメフトのエピソードを絡める辺りはお見事、名門ノートルダム大学にロングパスで大敗するエピソードは秀逸でした。
特に熱血教師と言う訳でもなく挫折の度に退役を口にしますが家族の説得で思いとどまります。
根っからの軍人ではないのでざっくばらん、若者たちのよき相談相手でもあり皆に慕われ最後の引退時には生徒全員での分列行進の栄誉を受けました、制服が火薬の色からとった灰色だったのでタイトルの「長い灰色の線」はこの行進の様を表しています。
西部劇の神様と言われたジョン・フォード監督ですが「我が谷は緑なりき」などヒューマンドラマでも繊細な人物描写には定評があります、ウェスト・ポイントの学長でもなく地味な一介の体育教官の半生にスポットをあてて、二つの大戦にまたがる苦難の時代を描いています。
教え子でもあったアイゼンハワー大統領に回想を語る設定ですが、話が地味なので盛ってみたのでしょう。日本の若者には馴染みのない米国の士官学校が舞台の昔の映画なので退屈かも知れませんがジョン・フォード監督の名作の一つであることは間違いありませんね。
延々と会話だけが続く躍動感に欠ける士官学校を描く作品
総合45点 ( ストーリー:60点|キャスト:50点|演出:30点|ビジュアル:65点|音楽:65点 ) これは実在した士官学校の教官の軍曹の話だそうで、士官学校の軍曹といえば「愛と青春の旅立ち」でアカデミー助演賞をとったルイス・ゴセット・ジュニアがまず頭に浮かぶ。ここでも軍隊に半生を捧げて陸軍士官候補生を鍛える泣く子も黙る鬼軍曹が登場するのかと思いきや、なんのことはない軽い喜劇で始まる。喜劇部分も古い映画だけあって演出も古くてそんな面白いものでもないし、訓練も日常の描写も士官学校らしい真剣さが見られない平凡以下なもの。 後半になると戦争があったりして真面目な話になってくるけれど、あれがあった・これが起きたというように出来事は家族や士官学校関係の人々との間に交わされる会話の中で説明されるだけで、途中には多少のいい話もあったけれど、直接の描写が殆どないためにのめりこめない。結局のところ、二時間越えの作品の中で、士官学校周辺の人々の会話を描くことを数十年分にわたって延々と続けられただけ。しかも場面は殆ど士官学校の敷地と家の中のみ。マッカーサー・パットン・ブラッドレーといった大物軍人の名前も出てくるが、それも卒業生として名前が出てくるだけで本人の登場はない。これだけ躍動感に欠ける作品だとは思わなかったし、映像の動きに頼らずとにかく終始会話だけで物語を作るという演出が作品をつまらなくしている。そのためもあってか、登場人物にも魅力を感じない。
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