ドライビング・MISS・デイジーのレビュー・感想・評価
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言葉ではなく、心のやり取り
私はこういう作品が大好きです。
というより、この手の作品がやっと理解できる年齢になったと言った方が良いのかも知れない。
最近の作品で似たような話だと、親子の心の交流を描いた『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』や決して交わることのない階級社会の二人の交流を描いたフランス映画『最強のふたり』、人種差別を描いた『ヘルプ 心がつなぐストーリー』や『それでも夜は明ける』、古くは『明日に向かって撃て!』なんかも自分の中では同じ括りで、どの作品もとても印象に残っているものばかりです。
友情、信頼、絆、理解と尊重、このあたりがテーマであり、自己犠牲がないというのもポイントだ。
自分を大切にしてこそ他人を大切に出来ると思うからだ。
本作の公開当時26歳だった私は、年寄り二人のストーリーに全く興味を示すこともなく、このオスカー作品を今日までスルーしてしまうというなんとも映画ファンとして恥ずかしいことをしてしまった次第である。
しかし又、今このタイミングで出会うからこその感動があるのも確かで、この魅力的な主演二人の心のやり取りがなんとも心地好く私の心に染み込んでくるのだ。
どうにか劇場で観れないものかと思う。
「午前10時の映画祭」あたりで上映されないものだろうか…。
そしたら必ず観に行くのだが…。
ふと見逃していたこういった作品に出会えて、自分というものを見直すきっかけになったり、観る前より少しだけ心が豊かになった気がしたりするのはとても幸せなことだ。
一本の映画を観る。そして観る前とはちょっぴり違った自分になれる。
これも映画鑑賞の楽しみのひとつです。
本作は観た人の心を優しく出来る一本です。
何もない日常の積み重ねの大切さ
総合:75点
ストーリー: 75
キャスト: 75
演出: 70
ビジュアル: 65
音楽: 65
本当にほとんど何も起こらない。淡々と日常が過ぎていき、いつのまにか年を重ねる。映画の中ではあっという間に25年も経過してしまう。そしていつしかお互いにその存在が当たり前のように大切になっていた。そのような何気ない日常を長く積み重ねていくからこそ育つ心の触れ合いが、年齢を重ねた人々にとっていかに大切かをうまく描いている作品である。
人種を越えた友情
もともとはブロードウェイの戯曲であった作品を映画でリメイクした作品である。あるアメリカのコミックで黒人の子供がこんなことを言っていた。「白人は”白人に仕える黒人の物語”が大好物だ。だからドライビング Miss デイジーはアカデミー賞を取れたんだ」と。まあ実際そうではある。舞台は1948年の人種差別が根強い時代から始まる。だからミス・デイジーがホークを差別しているかというとそういうわけではない。ホークもまた、白人のミス・デイジーをただの主人ととらえず、割と普通に文句を言う。人種とか云々の話ではなく、彼らは純粋な友人なのである。
とまあ、ここまで堅い話をしてきたが物語そのものは二人の友情の話がメインである。その二人の25年間を面白おかしくありながらも淡々と描いている。もちろん二人の人種間の葛藤にも触れられているが、この映画が最も伝えたいのはあくまで「友情に人種は関係ない」ということだ。だからこそ登場人物も少なく、小規模な空間の中で物語は展開していく。だが時間の流れの表現は非常に凝っていて、ホークが運転する車も時代が変わるにつれて随時に変わっていく。でも、2人の友情は変わらない。最後のシーンは見ている者の涙を確実に誘うはずだ。
(11年5月14日)
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