12モンキーズのレビュー・感想・評価
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改めて見つめると、至るところにギリアム流の趣向がぎっしり
あのタンゴが鳴り響くと、我々の頭にはすぐさま地球崩壊後の暗雲たる情景が広がっていく。救いのない未来絵図を独特のビジュアルとシニカルなタッチで描き出すのは奇才テリー・ギリアムのお家芸。だが、本作はそうやってギリアム臭を充満させながらも、企画そのものは彼とは別のところで始動してきた。つまりギリアムにしてみれば他人の企画に乗っかる形でスタートした作品なのだ。そのため強烈なギリアム色を欲する人には物足りないだろうが、クオリティ面で言うと極めてバランスのとれた名作に仕上がっている。ギリアムはこれくらいの距離感の方がうまく映画と間向かえるのかも。『ラ・ジュテ』の要素のみならず『めまい』から得たものも大きく、ラスト近くにはあからさまな目配せが用意されているのも楽しい。観客もこうして時間と距離を隔てて再見することで作品内に埋め込まれた趣向を俯瞰して享受できるのかもしれない。いわば一粒で二度美味しい良作だ。
あの音楽は
俺たちの過去も映画を見るのと同じ
・ブラッドピットさんの演技が凄まじく精神崩壊的な部分をどう表現したのか考えた結果ああなったのかなと思った。ただ、物語が未来になると少ししっかりしてきて、その辺のギャップ感もさすが名優と思った。
・この映画もSF洋画であるある(?)のどんでん返し的な結末だったので見ていて飽きなかったし、伏線というか筋がしっかりしていたから真犯人についても納得した。ただ、若干場面転換(時代)があるので落ち着いて鑑賞しないと1回では理解が追いつかない気もした(それが当たり前の話は前提で、例えばなにかをしながらついでにこの映画を見るとかだと多分本編の理解度が遅くなる気がした)
・テーマソングを聴いて、この音楽12モンキーズなのか!と知った。というのもかなりテレビで使われていて子供の時から耳に残ってたメロディだったから。たまたま12モンキーズを観よう!ってならなかったらあの音楽に出会えるのがかなり先になったと思うとラッキーだった。
未来は変えられない
【ウイルス蔓延により生き残った人類の1%が地下で暮らす2035年から1990年に送り込まれた男が経験する数々の事。今作は脳内フル回転で観る映画であり、テリー・ギリアムワールドを愉しむ作品なのである。】
■1996年に発生した謎のウイルスにより全人類の約99%が死滅した未来。
地下に住んでいた人間たちは原因を探るため、“12モンキーズ”という謎の言葉を手掛かりに1人の囚人ジェームズ・コール(ブルース・ウィリス)を過去へ送り出す。
しかし、彼が送られたのは事件が起きる6年前の1996年だった。
◆感想
・自身の罪を軽くするために2035年の科学者たちから1990年に送られたジェームズ・コールが、未来、現在、過去の第一次世界大戦時にも送り込まれる中で、精神科医の女医キャスリン・ライリー(マデリーン・ストー)と出会い、真実に近づく過程を、非常に分かりにくく描いた作品。
・但し、その中での複雑なる人間関係と見せつけられるタイムトラベルサスペンス及び、各年代の猥雑とした美術には、如何にもテリー・ギリアムらしさを感じる作品である。
<今作は、短編であるクリス・マルケル監督の「ラ・ジュテ」を見ておくと、多少分かり易いのではないかと思う。
今作は脳内フル回転で観る映画でもあり、その過程でテリー・ギリアムワールドを愉しむ作品なのである。>
12monkeys
SFとしての純度の高さ
いつまでも心に残り続ける12匹の猿
「12モンキーズ」は公開時に観ているはずなのだが、全く覚えていなかった。何やら今をときめく(当時)ブラッド・ピットが出演していると聞き及び、事前知識ゼロで観に行った、という些末な事は覚えているが、肝心の映画の方は事前知識ゼロが災いして理解が及ばなかったのだろう。
今観るとものすごく自分好みの映画だったことに軽く衝撃を覚えた。むしろ、なんで今このレベルのSFサスペンス・ミステリーが作れないのか、疑問に思うほど面白かった。
こんなん、未来世紀ブラジルでシャッターアイランドなメメントじゃん!
時を経て興味深いのは、未来の世界描写。テリー・ギリアム感と言えばそれまでかもしれないが、最近のSF映画ではまずお目にかかれないスチーム・パンクっぽさが一周回って新しい気さえするし、なんだかオシャレ。
そして漂うディストピア感。まぁ主人公は囚人なので当たり前かもなんだけど。
現代パートでも、画面に映るのは落書きだらけのダウンタウンだったり、やたら混雑した精神病院だったり、廃墟になった映画館だったり世界の全てが小汚くて幸せとは程遠い感じなのが良いんだよね。
つまり「今生きてるところに美点なんてなにもない」雰囲気が漂ってるところ。それが「もっと良い世界」への渇望に繋がっていくのかなと思う。
ジェームズが逃げ出そうとしたことも、勿論そうなんだけど、ジェフリーが画策したことの根拠も、そこにあるような気がする。
この映画は観終わったら「あれは何だったんだ?」とか「これってこういう事?」とか、色々整理していくのが面白いので、観たヤツ一人一人の解釈があって良い。
ただ1つ、私が感じたのは「何もかも明瞭に理解してスッキリする必要はない」ってこと。意味不明なことも、心に引っかかる色々なシーンも含めて、いつまでも「アレは一体何だったんだ?」と思えるほど心に残る映画はそうそうない。
むしろ何で公開時の私はそう思わなかったのか?それが「12モンキーズ」最大の謎だ。
監督の世界観に好き嫌いは有るかも知れないが、そういう映画なのだと思えば楽しめるはず。
すでにスターの仲間入りをしていたブルース・ウィリスは、この映画では捜索者・操り人形であり、自分の記憶の中の謎に迫る役どころ。相変わらず汗まみれ、泥だらけの苦労の連続で違和感はないが、今回はスーパー・ヒーローではなく、時に怯え、悩み、手探りで真実を掴もうとする男の役で、その「求める」悲壮感は一見の価値はあると思う。
一方、まだ客を呼べる俳優だと認めてもらっていないブラッド・ピットは、本当に変で妙な役を与えられたが、物語の鍵となる行動をしているから注意。この映画のブラピを好きになれない人もいるのも事実だが、「セブン」と同じ年に公開された1995年は、ブラピにとって良い年なのかも知れない。
テリー・ギリアム監督の世界は
必ず味のある映像を見せてくれる。
だから気になってしまう。
※
今となっては少し陳腐だが狂気さが味を出している
ブルース・ウィリスの全盛期、 ブラッド・ピットは今ほどかっこよくない。 マデリーン・ストウ(38才)が美しい。 前半はちょっとわかりにくくて我慢が必要かもしれないが、 後半から面白くなるから大丈夫。
動画配信で映画「12モンキーズ」を見た。
劇場公開日:1996年6月29日
1995年製作/130分/アメリカ
原題:12 Monkeys
配給:松竹富士
ブルース・ウィリス
マデリーン・ストー
ブラッド・ピット
クリストファー・プラマー
デヴィッド・モース
21世紀初頭、
全世界に蔓延したウイルスによって、
人類は絶滅の危機に瀕していた。
新型コロナウイルスかなと思ってちょっとドキドキした。
2035年、科学者グループは
囚人ジェームズ・コール(ブルース・ウィリス)を過去に送った。
ウイルスの原因を取り除くためだった。
囚人を1996年に送ったつもりが実際は1990年だったとか、
脚本が面白い。
たぶんブルース・ウィリスの全盛期で、
ブラッド・ピットは今ほどかっこよくない。
マデリーン・ストウ(38才)が美しい。
前半はちょっとわかりにくくて我慢が必要かもしれないが、
後半から面白くなるから大丈夫。
満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。
7割理解でも面白い
張り巡らされた無数の伏線、その複雑さがクセになる
散りばめられたヒントの絶妙
公開当時劇場で鑑賞したものを、再鑑賞する。
未来と過去を行き来する主人公。
タイムトラベルの中で謎を解いてゆく、という二重構造がかなり複雑な物語ながら
すんなり頭に入って来る超絶テクニック構成。
この、要所要所にヒントをのぞかせなつつも、
明かされ、つじつまがあった時、鑑賞者に「あれか!」
と思わせる見せ方がとにかく上手くて震える。
のせられて物語にのめり込めば、噛み合ったとき立つ鳥肌はもう格別だ。
そのためのミスリードの効き具合も凄まじい。
前半、ブルースウィリス演じる主人公が妄想に憑りつかれた変人のように描写されるが、
後半では女医のヒロインがそのように描かれ、主人公がマトモに見えてくる辺りも
事態のひっ迫感をあおり、引き付けられた。
公開当時はあのラストに、主人公はミッションに失敗したのだ、
と愕然として劇場を出たが
今回、見てみるともしや、その失敗を経てさらに送られて来た人が?
と思える描写があり、しかしそこでカットアウトされるところから、
なおさらエンドロールに深みを感じることができた。
しかしうまい。
シナリオとその構成に乾杯。
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