チャイナタウンのレビュー・感想・評価
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Apple core
予想を遥かに超える、すごく良く練られたサスペンスでした。教材にされていると知って納得です。
1930年代のLA。
ダム建設の是非と利権をめぐる事件。
ダムに不向きな土地で過去に人的被害も出している地域。
わざと貯水池から水を排水し、住民を水不足で困らせる→ 住民投票でダム建設賛成を狙う。
同時進行で、利用価値の低い安い土地を、老人ホーム入居者達の偽名で購入しておく → その土地を灌漑する → 土地の値段が高騰 → 売却して多大な利益を得る
Apple coreはAlbacoreの聞き間違いのこと。
副局長に脅しをかけた途端、Gittesは、Albacore ClubのNoah Crossに招待される。救世主を想像させる、この親父の名前は皮肉そのもの。
EvelynがGittesを雇う理由: 夫の死の真相
NoahがGittesを雇う理由: Katherineの居場所
もう一度観直すとよく分かるのですが、登場人物の設定がブレることなく描かれています。
事件の鍵を握る、謎めいた美女的存在のEvelynは、実は非常に正直な女性です。一心に守りたいKatherineの存在、居場所、素性に関しては必死ではぐらかしますが、それ以外は全て真実を話しています。夫Hollisが陰でKatherineに会っていたことを感謝していると述べるし、「密会」場所のアパートはHollisの家ではないと否定します。Katherineをケダモノ親父から守る別邸であり、Hollisが殺された時、EvelynはKatherineと過ごしていたのでしょう。
チャイナタウンを担当していた元警官で今は探偵として働くGittes。とにかく鼻が効く男で、何にでも鼻を突っ込むので、文字通り鼻を負傷してしまいます。探り方は少々汚いけれど、妥協せず真実を真正面から追求する男です。そんな男が警察を辞めるきっかけとなったのはチャイナタウンで起きた過去の事件のよう。ここでの「チャイナタウン」は、西洋の常識が通用せず、法律が意味をなさない、見て見ぬ振りをして、何事もうやむやになる世界のことなのでしょう。「チャイナタウンじゃ仕方ないから忘れろ」と言われても決して忘れられない悲劇(守りたい女性を守れないこと)を再度経験することになったGittes。チャイナタウンの外で生きていても、真実は霧の中、法より金と権力がモノを言う世界だったのです。
芯の通ったGittesにEvelynが惹かれるのも分かります。普段はクール且つ大胆なEvelynが車のクラクションを鳴らす時…。エンディングは少し胸が張り裂けそうになりました(T ^ T)。
一つ筋書きに穴があるとすれば… Mulwray邸の庭師が池に落ちている眼鏡にずっと気付かないことくらいでしょうか(^^)。
面影がないくらい(失礼)、主演2人が格好良くて美しいです…。監督も、若い(^^)。
"As little as possible."
"Forget it, Jake. It's Chinatown."
味わうにはいい作品だと思う。
アメリカ社会の恥部をえぐりたかったのかな。
社会の中で平然と行われる不条理と支配。
結局、当事者が一番悲しむことになるんだけど・・・
ジャック・ニコルソンの男くささがたまらん。
ちょっと、あちこちで出るアメリカンジョークが鼻に付くけど。
音楽が印象的
ロマン・ポランスキーの名作。「チャイナタウン」というタイトルだが、ラストまでチャイナタウンは出てこない。
主人公の私立探偵はもちろん、彼の昔の同僚である刑事たちも手が出せないアメリカ社会の暗闇。
音楽が非常に印象的で、ノスタルジックに時代背景を感じさせる。
やるせない映画
どういったら良いのか… 感覚としては、宙ぶらりんな気持ちに放り込まれる感じですね。
ポランスキーが語っているように、ジャック・ニコルソンの主観から描かれていて、彼が感じているだろうそのサスペンス感をこちらも味わうことになります。そして観終わった後の感覚もまた、ジャック・ニコルソンの気持ちそのままなのだろうと思います。その意味では、監督の意図は完全に成功しているように思うんですけど、でも、でも、このやるせなさは味わいたかったかと言われれば、どうかなぁ、なんて…
あ、でも、ジョン・ヒューストンの怪演は見ものです。
犯罪の謎解きから突然家族模様の掘り下げへ急展開
総合:75点
ストーリー: 75
キャスト: 75
演出: 70
ビジュアル: 70
音楽: 75
当初は水に関する利権の陰謀にまつわるサスペンスであった。だがそのうちに物語は方向が変わっていく。
ダム建設に関わる大きな利益を求めて、誰かが人を殺すことすら躊躇せずに暗躍している様子がわかってくる。しかしそれに巻き込まれていくうちに、本件に関わる重要人物たちの憎しみと悲しみの人間関係の過去に行き当たることになる。そうなっては主人公のニコルソン演じるチャイナタウンに勤務したことがある元警官の探偵は、利権や陰謀などよりも事件に大きく関わっているフェイ・ダナウェイの人生のほうが大切になっていく。
しかし現実は甘くない。正義は勝つというような単純な話で終わることがなく、それまで殆ど出てこなかったチャイナタウンで不条理な幕切れとなる。そして最後に彼は言われる。「忘れろ、チャイナタウンだ」。
そう、ここはかつて彼が警官だったときに勤務した場所。そのころから彼はここでの出来事に深く関わるなと忠告を受けていた。ここはアメリカの法律がそのまま通用しない、一種の無法地帯なのだ。どんなことがあっても、割り切ることが出来なくても、彼の力ではどうしようもないことがある。こうして恐らくは闇に消えていくことになるであろう事件がまた一つここで起きた。そして今回は彼のすぐ目の前で起きた。ただそれだけのこと。
そんな話は映画の結末としては目出度くまとまる大団円のようなものではないので、必ずしも納得できるものではない。でもこういうことが特に昔は現実には数え切れないくらいあったのだろうとも思う。
謎に迫って危険とぶつかるサスペンス調の前半、うって変わってドロドロとした悲劇的な家族模様の掘り下げ、不条理な結末とちょっと忙しい展開の映画でした。
ノワールとニューシネマ
その一人歩きする評価に負けることの無い名作。
退廃的な空気のチャイナタウンと誰もあがらえない運命に翻弄される人々、フィルム・ノワールとニューシネマを合わせ持ち時代を感じさせる。
ロバート・タウンの脚本が素晴らしく良くフィルム・ノワールでありながら社会の裏を映し出す史実的要素を合わせ持っていて重厚である。
また、ジャック・ニコルソンのために書かれたかのように彼と相性の良い作品だ。
こういう名作が過去のものにされて行くのは残念で仕方がない。
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