地下室のメロディーのレビュー・感想・評価
全23件中、21~23件目を表示
にらめっこ
ネタバレはチェックをつけてください、ということだが、ネタバレせずにまともなレビューをかけるのか?この映画の本当の面白さはラストシーンにある。他の映画もたいていは、ラストシーンに力を入れる。というか、ネタバレしてもその映画を見たくなるようなレビューこそが、良いレビューということだろう。
この映画はラストシーンを楽しむために存在する映画である。いちおう犯罪映画であるが、推理ものではない。はらはらどきどきの映画である。そのはらはらどきどきが単なるサスペンスではなく、的確な、しかもユーモアあふれる心理描写で成り立っている。
ヒッチコックも同類といってよいが、ヒッチコックは行動のタイミング、つまり犯罪者が思う通りに(あるいは警官が思うとおりに)他者の行動が進むかどうかが、はらはらのポイントである。人は思うように動かない。だから、面白いので、映画ができる。
映画の表現の問題としては、そのずれをどう感情で表現するか、つまり、思い通りに行っていないことがわかった俳優がそのいらいらやくやしさをどう表現するかということが問題となる。たぶん、ヒッチコックとこの映画の監督との違いはそこで、それは、行動のずれを認識して、その感情を表現する俳優の基本的な世界観のようなものの違いである。ひいては、監督の世界観の違いといえる。ちょっと大げさだが、世界あるいは他者を受け止める受け止め方の違いだろうか。
ラストシーンに言及しなければ映画レビューは成り立たないと断定したので、ラストシーンに言及する。主人公のアランドロンは動かない、表情を変えないのである。つまり、見る人はアランドロンとにらめっこして笑いをこらえるしくみとなっている。アランドロンはいつ笑うのか、笑ったら負けよ、で終わる。今にも笑いそうで笑わないアランドロン、だから何?その先は何?捕まる寸前のアランドロンにそう問いたくなる過剰な余裕は、はらはらどきどきだけのヒッチコックにはない。他にも笑えるけれども笑えないシーン満載のサスペンス映画。ヒッチコックを意識したかどうかわかりませんが、そこを超えた。
知らずに刑事が犯人のすぐ後ろで喋る緊張感
総合:75点
ストーリー: 75
キャスト: 85
演出: 70
ビジュアル: 70
音楽: 80
貫禄のギャバンと二枚目ドロンという二人の俳優がいい味を出している。計画を練る老獪なギャバンと、実行役のドロンということで役柄をうまく演じた。
数々の予期せぬ出来事で計画がうまくいかなくても何とか機転で乗り越え遂に金を手に入れる。それなのに最後のプールの場面で、ドロンのすぐ後ろの刑事たちが犯人の存在を知らずに事件の被害者に犯人についての質問をしていくことがドロンを焦らせる。この焦りがもたらした結果を、音楽がまたうまく盛り上げた。
アランドロンがボンクラニート
アランドロンが前科者のボンクラニート27歳という非常に好感の持てる役でびっくりした。ケチな登場人物ばかりで、とても面白い犯罪映画だった。車からなんで金を出すんだよ!それになんでそこで待ち合わせしてんだよ!そもそも仕事終わったらその足でパリでもどこでも逃げろよバカと思わずにはいられないのだが、そこも含めて抜け作達だったんだなという説得力もあった。
全23件中、21~23件目を表示