「 「イギリスのオッサンが書いた少女漫画」」小さな恋のメロディ so whatさんの映画レビュー(感想・評価)
「イギリスのオッサンが書いた少女漫画」
イギリスでは、5歳から16歳までが義務教育で、一般の子供は無償の公立、富裕層や上流階級の子は私立に行くようです。
本作の舞台はロンドンの共学公立中学校、主役は11歳の3人です。トム・オーンショーの両親は何をしているのか不明、ぼろアパートに住み、おじいちゃんの面倒をみるヤングケアラーです。メロディ・パーキンスはお婆ちゃん、母、父との4人暮らし。父は保釈中とのことですが、家にいるよりパブにいることが多いようです。ダニエル・ラティマーの父は会計士で両親との3人暮らし。割と裕福な様子。映画の前半はトムとダニエルの男同士の友情が深まる様子を描き、悪童物語として面白い。悪友トムのキャラが大変魅力的です。ダニエルと喧嘩をしてもちゃんと自分から謝るいい奴。いつも斜に構えていて、どこでもくちゃくちゃガムを噛んでいて、なにかあればすぐに学校をバックれようとダニエルを誘います。数年後にはパンクキッズになって立派なジャンキーになっている姿が容易に想像できます。
一方後半はダニエルとメロディの男女間の恋愛を描き、映画は一気に失速します。なにしろダニエルの行動がおかしい。
・食卓で父の新聞にいきなりマッチで火を付ける
・ポルノ雑誌が母に見つかっても全く動じない
・気に入った女の子には周囲の目も気にせずぐいぐいアプローチ
・ダンスパーティーで衆人環視の中、堂々とダンスを申し込む
・混雑した昼食時の食堂でいきなり隣に座ろうとする
・一度デートしただけでいきなり結婚を申し込む
・結婚は早いと諭す教師に対して「失礼だ!謝れ!」と叫ぶ
あまりに屈託がなさすぎ、子供らしさがなさすぎ、恥じらいがなさすぎ。まるでサイコパスのよう。「こんなヤツいねーよw」本作がイギリスとアメリカでヒットしなかった理由はこれだと思います。一方、アジアや中南米では「はえー、イギリスのかわいい坊ちゃん、すっごい!」と大ヒット。出てくる大人や先生は俗物ばかりだし。なにこのイギリスのオッサンが書いた少女漫画w。