小さな巨人

劇場公開日:

解説

カスター将軍の率いる第7騎兵隊全滅という西部開拓史に有名な事実を材にとり、この虐殺に唯ひとり生き残った男が、100 歳をこえてなおも生き続け、その数奇な人生を語るという構成。製作はスチュアート・ミラー、監督はアーサー・ペン、トーマス・バーガーの同名小説をカルダー・ウィリンガムが脚色、撮影はハリー・ストラドリング・ジュニア、音楽はジョン・ハモンドがそれぞれ担当。出演は「卒業」のダスティン・ホフマン、「アレンジメント<愛の旋律>」のフェイ・ダナウェイ、「ナタリーの朝」のマーティン・バルサム、リチャード・マリガン、それに実際のインディアン酋長であるチーフ・ダン・ジョージ、ジェフ・コーリー、エイミー・エクルズ、ケリー・ジーン・ピータース、キャロル・アンドロスキー、カル・ベリーニ、ルーベン・モレノなど。

1971年製作/アメリカ
原題:Little Big Man
配給:東和

ストーリー

ロサンゼルス在郷軍人病院の1室で、今年121 歳という老人ジャック・クラブ(ダスティン・ホフマン)は、歴史学者のインタビューに答えて、追憶の糸をたどりつつ、驚くべき事実を語り始めた。--1859年、南北戦争直前、当時10歳の少年だったジャックはシャイアン・インディアンに両親を殺され、姉のキャロライン(キャロル・アンドロスキー)と孤児になったところを、シャイアン族のひとり、“見える影”(ルーベン・モレノ)に見つけ出され、集落へ連行された。老酋長“オールド・ロッジ・スキンズ”(チーフ・ダン・ジョージ)は2人を快く迎え入れたが、男まさりのキャロラインは夜、馬を盗んで脱走し、ジャックは1人集落にとり残された。ジャックは小柄のくせに勇敢だった。14歳のとき、クロー・インディアンと戦い、仲間の“若い熊”(カル・ベリーニ)の危ないところを救った。老酋長は“小さな巨人(リトル・ビッグ・マン)”という名誉ある名を与えた。身体は小柄でも、肝が大きいという意味である。16歳を迎えたジャックは、初めて騎兵隊と戦闘を交え、兵士のひとりに殺されかけて、思わず“ジョージ・ワシントン!”と初代大統領の名を叫んだ。あっけにとられたその兵士に、ジャックは白い肌を見せた。こうしてジャックは白人社会に戻った。ジャックはペンドレーク牧師に引きとられた。夫人(フェイ・ダナウェイ)は若くて、聖女のように美しかった。だが、ジャックを入浴させたとき、夫人の大胆さはたじろがんばかりだった。9年後、25歳になったジャックは、イカサマ商人メリウェザー(マーティン・バルサム)と組んで西部を行商して歩いていた。ある夜、2人は暴漢一味に襲われたが、その首領が15年前に生き別れたままの姉キャロラインと知ってびっくり。キャロラインは、いまや名うての拳銃使いになっていた。ジャックは彼女から早撃ちの極意を授かり、相当な腕前となっていった。しかし、拳銃稼業の非情さを知り、ジャックは商人に戻った。やがてジャックは念願の店をもち、キング・サイズのスウェーデン娘オルガ(ケリー・ジーン・ピータース)を娶ってささやかな幸福をつかんだつもりだったが、相棒に騙されて破産という不運に見舞われた。そんなジャックに、西部へいって人生の再出発を勧めたのは、第7騎兵隊の司令官カスター将軍(リチャード・マリガン)だった。インディアンは平定されて危険はないという将軍の言葉に従って、夫婦は西部に向かったが、途中インディアンに襲われ、オルガはさらわれてしまった。ジャックは足を棒にして愛妻を探しまわったが、行方はさっぱりつかめなかった。ジャックはカスター将軍に頼んで、騎兵隊のスカウトになった。第7騎兵隊はある日、インディアン集落を襲った。インディアンがジャックに躍りかかってきたが、すぐさま軍曹に射殺された。インディアンはかつてジャック姉弟を助けてくれた“見える影”だった!ジャックは戦闘にも参加できず、隠れていると、草むらの中から女のうめき声がする。“見える影”の娘“日の光”(エイミー・エクルズ)が出産寸前なのだ。ジャックは、“日の光”につき添い、集落へ連れ帰った。そして彼女を妻に迎えた。祖父代わりの老酋長は白人との戦いがもとで失明し、“孫”の顔を見ることができなかった。それから1年、シャイアン族は政府の指定したワシタ地区に移らなければならなかった。そこで、ジャックは忘れもしなかった愛妻オルガに再会した。しかし、彼女は“若い熊”の妻になって亭主を尻に敷いていた。ジャックの心から愛は消えていた。第7騎兵隊がインディアン地区を襲ってきたのは、ジャックの息子“暁の星”が生まれた朝のことであった。ジャックの目の前で、“日の光”が、生まれたばかりの“暁の星”が、無抵抗の女どもが、白い大地を鮮血に染めて死んでいった。ジャックは死を覚悟していた老酋長をつれて辛くも逃げのびた。ジャックは復讐を決めた。愛するもの、親しいものの命をすべて奪ったカスター将軍に--。ジャックは人が変わったように乞食のような身なりで、酒びたりの毎日を過ごしていた。ジャックは投身自殺を決意して高い崖の上に立ったが、ちょうどその時、リトル・ビッグ・ホーンに向かうカスター将軍と第7騎兵隊の姿が目に入った。彼は再びスカウトに志願した。カスターは自分を憎んでいる男をあえて雇い、“戦略上裏目を見とおすバロメーターだ”と言って、部下の反対を押しきった。当時のカスターはインディアン撲滅に異常な熱意を示し、その自信過剰は偏執狂的にまで発展していた。彼の命令はインディアン皆殺しに他ならなかった。カスター将軍と第7騎兵隊は、こうしてインディアンの罠にかかり、まんまと両部族の間におびき寄せられた。将軍の馬が撃たれ、兵士もつぎつぎと死んでいく。カスターは気が狂ったように叫び、グラント大統領を罵り、矢がささって苦しむジャックに拳銃を突きつけた--。テントの中で、重傷のジャックは我に返った。こんどは“若い熊”が彼を助けたのである。「われわれは今日勝った。だが明日は勝てぬ」。そうつぶやく老酋長は、死期が近づいたことを悟っていた。山頂にはすでに棺台が用意されていた。老酋長はジャックを伴って頂上に立ち、シャイアン族の闘いの鬨の声を上げ、神に感謝し、死を願い、静かに横たわった。折りから雨が降り出した。「私はまだこの世にいるのか?」。老酋長は再び静かに山をおりていった。「これがインディアンと生きた男の話だ」。老人は話し終えると頭をたれた。

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映画レビュー

1.0不思議感を味わえるかが鍵

2021年7月4日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

アクションでもないしコメディでもヒューマン系とも言えない。何とも不思議な映画。次々と場面が変わり、一風変わった人生を歩むことになるので、強いて言えばファンタジーかと自分は思う。ごちゃ混ぜと言ってもいいかな。緊張感も感動も期待せず、終始リラックスして観る... 何ともレビューが難しい。
現代で言うと、ジョニー・デップの映画のような雰囲気かな。

ナレーションがしっかり入るので、ユーモアやノリが合う方は大いに気に入る可能性がありますね。

 私は70分過ぎまで頑張って観てましたが、眠気が上回ってしまったため、お目当てのフェイ・ダナウェイは前半で美しくお役御免で鑑賞したし、これにて面白みがない映画と判断してストップボタン押しました。

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はむちん

3.0ダスティン・ホフマン

2020年11月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

2020年11月22日
映画 #小さな巨人 (1970年)鑑賞

#ダスティン・ホフマン 主演
家族を殺されネイティブ・アメリカンに育てられた少年が、その後、白人社会とネイティブ・アメリカン社会を行ったり来たり翻弄されながら生きる男の話

コミカルな演技が上手く、トム・ハンクスとかに通じるタイプですね

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とし

3.5軽い感じが重い

2016年5月9日
PCから投稿

泣ける

笑える

軽い感じがとても重い。
そもそもアメリカインディアンの役をダスティン・ホフマンにやらせるということがこの映画の狙いの一つだと思うのだが、軽薄さをウリにしている。
偶然にしても偶然が過ぎる人生。
通り一遍の数奇な人生という言葉に集約されそうなこの映画は、それだけでは物足りないほどの凄まじさだ。
むしろ、軽薄な感じでよかった。
軽薄じゃないとちゃんと見れなかったかもしれない。
90年代半ばにVHSで鑑賞

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lotis1040

3.5中々良かった

2016年3月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、TV地上波

トム・ハンクスの若かりし頃が見れて、それだけでも見る価値ありだと思う。
インディアンの長の言葉が予言的。

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kazuyo
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