タワーリング・インフェルノのレビュー・感想・評価
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現代でも解決されない問題提起
電気背設備のトラブルにより中層階で火災が発生し、最上階で竣工パーティ中の人々を火が襲う。
文字通りそびえたつ地獄と化す超高層ビルで繰り広げられる人間ドラマ。
人々は、それぞれの価値観で火と向き合い、火と戦い、あるいは逃げ、そして時として死ぬ。
コストダウンで品質を並にしたがためにおきる火災。
火災の報告を受けてもたいしたことないだろうと考える判断。
考えうるベストな行動をしたにもかかわらず失われる命。
約40年前の作品ながら、現代に起きても不思議のない、むしろ現代でこそ起きそうな内容で恐ろしい。
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錚々たる役者陣によりスクリーンに表現される登場人物たちはリアルで感情を揺さぶる。
犠牲になった消防士を見る消防隊長(マックィーン)のなんとも言えない表情が胸に刺さる。
警備主任(O.J.シンプソン)のプロらしい決断と行動も、脇役ながら光る。
詐欺師(フレッド・アステア)の猫を受け取って呆然と立ちすくむ姿は涙なしには見られない。
設計者(ポール・ニューマン)が超絶ヒーローなのとタンク爆破による鎮火はご都合主義的であるものの、二時間半の上映時間を感じさせない演出と脚本は今も色あせない。
文句なしの名作。
大物多数出演の大作
総合: 80
ストーリー: 85
キャスト: 80
演出: 80
ビジュアル: 80
音楽: 65
ニューマン、マックイーンの二大俳優をはじめとしてその他も豪華出演陣で固められているが、しかし「ポセイドン・アドベンチャー」のハックマンほどの絶対的存在感はない。それはこの危機にたいしてそれぞれがどのような対応をとるのかを個別に追っていったためだろう。自分勝手な対応をとる者、諦めてしまう者、極限状態で自分を見つめ直す者、混乱して正常な行動をとれない者、なんとか自分が出来ることを最大限する者、英雄的な者から凡人、果ては悪役まで一揃いしている。そして彼らがそれぞれに描かれるために、中心となる登場人物の焦点が分散してしまった感はある。
だがそれでも物語は良く出来ている。火災が起きる要因や、その背景にある企業側の暗部は、災害が一人の悪人によるものだけではないというのがわかる。その後も迫りくる危機に対する対抗策の実行が休む間もなく出てくるし、その中で繰り広げられる人間模様も同様である。悲惨な結末もあればそうでないものもあり、多様な展開を見て取れる。制作年を考えれば映像も健闘している。
消防士だけに視野を狭めず、人間という大きな視野で
バックドラフトはカッコイイ消防士を描いた作品だが、この映画については本当の消防士をリアルに描いている。カッコよさとはかけ離れ、人命救助のために貪りつくように行動する消防士という印象をうけた。さらにここからがこの映画の真骨頂だが、消防士映画で消防士の戦いと同時に消防士以外の被害者、原因を作った建設者の反応、葛藤、恋愛を見事に描いている。これでドキュメンタリーとは言わせない監督の意図がわかる。
元々はあの大きい塔は金儲けのために建てられ、黒字にするため建設費を削減し、僅かな可能性での事故を鵜呑みにした建設者はこれを「シンボル」だと言って世間に公表した。よく考えて欲しい。つい最近起きた原発事故を。人の命よりも金儲けを優先した結果だろう。最後ダグが塔の事を「人間の愚かさの象徴」と言っている。この映画のメッセージはとてつもなく大きい。
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