「地獄の焔の中で、人の真価が試される」タワーリング・インフェルノ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
地獄の焔の中で、人の真価が試される
サンフランシスコにそびえ立つ世界最大の超高層ビル。
落成式で賑わう中、誰も知らぬ所でボヤが発生。やがてそれはビル全体へ拡がる大火災へと発展していく…!
「大空港」「ポセイドン・アドベンチャー」「大地震」…。
70年代ブームとなったパニック映画、その最高峰とされる本作。
やっぱりね、何度見ても面白いんだな、これが!
ジョン・ウィリアムズの軽快な音楽に乗せて画面いっぱい、ヘリがサンフランシスコ上空を飛行するオープニングがまず好きだ。
これから始まる超大作へのワクワク感を充分高め、この雄大なオープニング・シーンは「サウンド・オブ・ミュージック」に匹敵すると言っても過言ではない。
大惨事の原因は必ず人のミス。
コスト削減、パーティーの為の全灯点火、火災探知機の不具合…。
誰も知らぬ一室で発電機がショートし、引火する“始まり”がヒヤリとさせる。
あっという間に火の海。
部屋に取り残された男女が火だるまとなり絶命するシーンは、ゾッとする恐ろしさと共にスローモーションも合間って妙な美しさもあった。
ひと度惨事が起きると、次から次へとボロが出てくる。
完璧な防災システムなんて名ばかりの、脆い落とし穴。絶たれたら、全てがシャットダウン。
人の驕りを戒めるかのように、地獄の焔が飲み込んでいく。
全員が罰せられる人たちばかりじゃない。
決死の覚悟で消火&救出に奔走する消防士たち。
いち早く異変に気付いた設計者、保安主任。
家族、男と女…招待客たち各々のドラマ。
70年代のパニック映画が好きな最大の理由は、人間ドラマがしっかりしている点にある。
二つの原作を一本化。
20世紀フォックスとワーナー・ブラザーズ、当時としては異例の2大メジャースタジオの共同製作。
それぞれの看板スター、ポール・ニューマンとスティーヴ・マックィーンの最初で最後の顔合わせ。
加えて、オールスターキャストと呼ぶに相応しい贅沢なまでの豪華な面々。
スペクタクル性、スリル、ボリュームたっぷりの群像ドラマ、そして言わずと知れたクライマックスの大胆な消火作戦まで、全てが一級のエンターテイメント!
しっかし、撮影は大変だったんだろうなぁ…。
本作がまるで大トリを飾ったかの如く、パニック映画ブームは一旦鎮火。
90年代再びブームになるが、本作を超える作品は今も現れてない。個人的な意見で言えば、あの「タイタニック」でさえも。(それに、「タイタニック」はラブロマンスだし)
傑作「ポセイドン・アドベンチャー」が駄作「ポセイドン」になってしまったような、お願いだからリメイクしないでね。