黄昏(1981)のレビュー・感想・評価
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しみじみと、いい映画だなぁと。
父娘が本当の親子共演ですが、
それ以上に
主役二人が本当に数十年連れ添ってる老夫婦にしかみえない。
親子の確執の経緯とか、蛇足になりかねないところは極力省いて
(ヘンリー・フォンダの偏屈爺さんっぷりで十分伝わる)
109分に纏めてあるので中だるみもありません。
【”父と娘の確執の氷解。”人生の黄昏の時期を迎えた老夫婦を演じる、名優ヘンリー・フォンダとキャサリン・ヘプバーンの畢生の演技が沁みる作品。】
■ある美しい湖畔の別荘が舞台。
バカンスを過ごす高齢のノーマン(ヘンリー・フォンダ)と妻・エセル(キャサリン・ヘプバーン)のもとに、娘のチェルシー(ジェーン・フォンダ)が婚約者のビルと連れ子のビリーとやってくる。
だが、気難し屋のノーマンは娘とその婚約者に冷淡な態度を取り、二人はヨーロッパ旅行に出かけ、連れ子のビリーを旅行の間だけノーマン夫妻に預ける。
◆感想
・老いた両親を持つ男には、やや複雑な気持ちになってしまう作品である。資料を見ると、この作品制作の際も、公開後も名優の父娘が、お互いの関係性を良き状態にしたいという思惑があったようである。
今作では、その思惑が最良の形で具現化されていると思う。
特に、ヘンリー・フォンダが演じる老いたプライド高き男の自身の老いへの戸惑いを隠せない表情や姿が切ない。
・それにしても、今先で描かれているように、孫と祖父母の関係は何故に良好なものになり、潤滑油になるのだろうか。
私事で恐縮であるが、私と母方の祖父母との関係もそうであった。
気難しかった母方の祖父母は、私が初孫だった事も在るだろうが、とても可愛がってくれて小学生の時には毎年、夏休みはまるまる一カ月祖父母の家に滞在し、王様のように振る舞っていたモノである。
後年、弟や他の孫たちから恨み言を聞かされて、閉口したモノである。
・今作でも、チェルシーの婚約者のビルと連れ子のビリーが、気難し屋のノーマンと共に釣りに出かけ、彼の心を解して行く様が見事に描かれている。
■今作が素晴しいのは、高齢のノーマンと妻・エセルとの深い愛の描き方であろう。
二人には熟年離婚などと言う言葉は全く当てはまらず、お互いを尊重し、思いやる姿が美しく描かれている。
それは、二人が若い頃から、お互いを大切に想い、相手を尊重してきたからであろう。私も家人と、今作の二人の様な齢の重ね方をしたいと思ってしまったモノである。
・ノーマンとの確執を抱える娘チェルシーが、確執を乗り越えて抱擁するシーンは美しい。
父に認められたい思いを抱えつつ、それに反発する気持ちもあったがために距離が会った二人は、チェルシーがノーマンの前でそれまで出来なかった後ろ回転をして湖に飛び込んだ事で、徐々に氷解していくのである。
<今作は人生の黄昏を迎える老夫婦が、それを受け入れつつ美しき湖畔で過ごす中で、確執のあった娘と父との関係性が良好になって行く様が、抑制したトーンで描かれている。
そして、二人を支える老いた夫の身体を心配しつつ、献身的な愛を捧げる明るい妻の姿が作品に温かき趣を与えている。
今作は、稀なる名品であると私は思う。>
間違いなくオールタイム・ベストの一つ
原題は『On Golden Pond』。
「黄金の池で」という意味。
ヘンリー・フォンダとジェーン・フォンダの親子が、劇中でも父娘役として出演して話題となった作品。
奥さん役のキャサリン・ヘップバーンと共に、主演のヘンリー・フォンダもアカデミー賞を受賞しています。
【ストーリー】
大学教授のノーマンとその妻エセルは、今年も湖畔の美しい別荘に避暑におとずれた。
そこにやって来たのは、何年も音沙汰のなかった娘のチェルシー。
彼女は婚約者のビルと、その息子のビリーを伴って懐かしのそのログハウスを訪れたのだ。
ビリーだけを残し、チェルシーとビルはハネムーンへと旅立つ。
「趣味は、陸釣り(ナンパ)」とのたまうビリーに、ノーマンは釣竿を持たせて湖での船釣りを講釈し、「白鯨」を押し付けて読ませる。
ノーマンといえば各所で有名な偏屈者で、その口から出てくる言葉は常に相手を傷つけるほど辛辣。
傲慢な態度に、思春期のビリーは最初、強く反発するのだが……。
どんな感情を用意してこの作品を見ればいいのか、大人になっても分かりません。
ただ、幼少の自分がこの映画で撮られた湖畔の美しさに魅せられた事実だけは否定のしようがありません。
ショップでDVDを見つけてあわてて購入しました。
ストーリーもうろ覚えながら、大好きないくつかのシーンだけは鮮明に覚えていて、中でもノーマンとビリーが日課の釣りをしていると、湖のヌシがかかってバタバタしてボートが座礁、二人とも湖面に投げ出され、奥さんのエセルに救出されたその後日。
さんざん叱られ釣りの中止を命じられ、やっとお説教から解放された途端いそいそと二人で釣りの用意をして湖のヌシを釣る用意を整えログハウスを出たところで、待ち受けていたエセルの、冷たい表情での一言。
あ、言いませんよ。
ぜひこの映画史に残る美しい映画を見て、確認してください。
そのシーンで笑っちゃわない人は、少ないと思いますから。
オールタイムベストの一作。
偏屈で強烈なユーモアの持ち主である老いた主人公と、往年の美しさを残す妻。
毎年のバケーションに、放蕩娘が継子を置いて新婚旅行に行ってしまう。
思春期の生意気ざかりの継子だったが、次第に主人公と心を通わせ、お互いを理解するようになってゆく。
はじめてこの『黄昏』に触れたのは、まだ小学生でしたが、ああこれが見たかったのだと子供心にも思わせた、素晴らしい作品です。
当時出回り始めたビデオに残して繰り返し鑑賞した、個人的オールタイムベストの一作でした。
風景も音楽も美しく、人物たちの描かれ方もまた絶にして妙、ナンパ好きを公言する継子にボートを出して釣りを教えるシーンなど、何度見てもストーリーがリズムよく展開し、観ていて飽きません。
子供の頃好きだった古い作品を見て、撮影や演出の技術の低さにがっかりすることも多い昨今ですが、この練り上げられた映像美は必見。
苦味の残るなかのラストも心地よく、湖畔の反射光がきらめき、爽やかな風が心を駆け抜ける素晴らしい鑑賞体験となりました。
黄昏に向かう覚悟
中学生の頃に映画館で見た覚えがあります
きっと何かと同時上映だったのでしょうね
中学生の私に分かるはずもないこの不安
アビの鳴き声は不安を誘うようでもあり安堵を示すようでもあります。
我が母より先日電話があり
「物忘れがひどくてやだよー」とのこと
老いは生きていれば当たり前に一日一日確実に来るもの
なのに私は突然来るような気がしてなりません
そんなはずないのにね
昔からハワイはいつか日本の直ぐそばに来るんだよと言われた事を思い出します
やっ、それはホントだからね
10代20代の君達
分かる時が来るけどそれまでは大きく羽を伸ばすんだよ
それからじじいやばばあの相手もそこそこしてね
SNSだってかまわないからさ
でわでわ
あっ、一つ心に止まったセリフ
「人生は前に進んでる」
歳を取った人も若者も同じ時を刻んでる
この意味はとても深いように思います
でわ でわ
デイブグルーシンから始まるオープニングからこの映画のにフィルムの一...
デイブグルーシンから始まるオープニングからこの映画のにフィルムの一部となり役者の格とは何か背景の美しさとは何かキャサリンヘップバーンとは何者かを教えてもらった教科書作品です。
毒舌はエッセンス、人生を自然体で受け止める老夫婦は美しく、随所随所...
毒舌はエッセンス、人生を自然体で受け止める老夫婦は美しく、随所随所の台詞には胸を打たれる。若かりし頃の映画を観てい2人の名優の老いた姿が現実と重なり寂しさも覚えた。
葛藤
あんな頑固親父いるんですかね。
フィクションを嘘として受け止めれてないんでしょうか。嘘なら嘘でもっと美しい嘘をついて欲しかった。何だかんだ映画も進歩してて、眼と耳の肥えたつもりの身としては残念だった。
やはり、企画からしてフォンダ親娘の和解に端を発しているからかな。それにしても字幕と英語台詞の違いも飛躍しすぎていると思った。
運命共同体である家族が言葉で殴り合うなんて悲しい。
ままならない、愛しい人生
ソリが合わないまま疎遠になっていた父娘と見守る母。それに新しい家族を迎えたひと夏のお話。
マーク・ライデル監督、1981年の作品です。優しい爽やかな余韻でした。
ヘンリー・フォンダ、ジェーン・フォンダ父娘の共演もあって30年前の鑑賞当時も感動しましたが、今回まるで景色が違って見えました、改めて出逢えて良かったです。
老夫婦の日々がじんわりと心にしみます。なんといってもキャサリン・ヘプバーン演じるエセルが素敵、明るく全てを包み込んでしかもキュート。
こうありたいと思えるキャラクターとの出逢いも嬉しいものです、現状との隔たりはかなり大きいけれど。
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