タクシードライバーのレビュー・感想・評価
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狂気から生まれる正義
主人公のトラビスは孤独で街を徘徊するヤクの売人や売春婦を汚水物ように考えている男だ。
トラビスはある日このままではいけないと思い一念発起して美女を口説き落としてデートに誘う事に成功する。しかしデートに連れて行った場所がポルノ映画館、女は怒りだしトラビスはフラれてしまう。女の冷たい態度を受けて怒りを感じ益々、孤独感を深めトラビスは次第に妄想を抱き狂気に駈られた行動を起こす。
この映画の怖い所は狂気に囚われた人間は自分の事を狂人とは思っていない、そして人の持っている狂気性からも正義が生まれてくるかも知れないという事だ。
殺戮に走るトラビスを見ていると人を殺すことへのやるせなさや戸惑いはおろか人を殺すことへの罪悪感を全く見せない。有るのは少女を食い物にする極悪人どもは皆殺しにするという狂気に駈られた正義感だのみだ。
トラビスはメディアに少女を悪の巣窟から救い出したヒーローとして祭り挙げられる。
この映画は人の狂気性からも正義が生まれてくるかもしれない事を教えてくれる。
本当に怖い映画だと思う。
荒んだ都会の雰囲気がたまらなくかっこいい
ベトナム帰還兵の主人公は自分の境遇や犯罪だらけの町に苛立ちを覚え、
眠れない日々を夜な夜なタクシーで流して紛らわせる。
社会に対する漠然とした不満はあるが、無知な彼に政治はわからない。
彼の世界観は狭く、スラム街の住人がそうするようにベッツィをポルノ映画に誘い、
偶然客が口走っただけの44マグナムにこだわり、聞きかじった知識だけで銃談義をしてご満悦。
愛銃を手に鏡の前でポーズを決めるそぶりは、TVヒーローの真似をする子どもと変わらない。
漠然とした苛立ちは、彼が感じるところの腐った社会に向けられ、
ついには、家出少女を売春婦としてこき使う悪党一味を皆殺しにする。
彼の行為は犯罪で、しかも浅はかであり、決して褒められない。
しかし結果的に彼の行動は悪人を消滅させ、少女を救い、彼自身も苛立ちから解き放たれる。
…つまり狂った人間の許しがたい行動が、ベストな結末を導いた?
犯罪も場合によっては許されるとかそういうことではなく、
もっと大きな意味で既存の価値観の再考を迫り、行為の意味を探求する作風が衝撃的。
雰囲気、音楽、ストーリー、演技、ラストシーンまで、稀にみる傑作。
タイトルなし(ネタバレ)
トラビス(ロバート・デニーロ)は議員を殺そうとする一方で、アイリス(ジョディ・ホスター)を助けようとして「英雄」として新聞に載る。
物語の冒頭、トラビスはタクシードライバーに応募する。そして「自分の殻だけに閉じこもり一生過ごすのはバカげている。人並みに生きるべきだ」と考え、選挙事務所で働くベティに声をかけるが振られる。議員をタクシーに乗せたときには、「悪を町から無くしてほしい」と訴える。ベッツィに冷たくされたトラビスは議員を殺そうと計画し、一方でアイリスに売春婦をやめて両親のもとに帰るように説得する。
トラビスがベッツィと初めてお茶したとき、彼女は言った。「預言者で麻薬の売人、事実と作り話が半々の歩く矛盾」。言ってることは預言者のようでありながら、やっていることは麻薬の売人。悪をなくしてほしい、と心に思いながら、拳銃を買い、体を鍛え、モヒカンにして、自分で決めた「悪」を殺そうと計画する。
ラスト、世間がトラビスが「悪」を殺したことを賞賛して終わる。議員を殺した場合、世間はトラビスを非難しただろうし、アイリスを助けたことはたまたまトラビスと世間の「悪」が一致したことになる。
重い映画だけど、トラビスの心情を考えさせられる映画。マーティン・スコセッシ監督が出演しているシーンも見所。
なんでモヒカン?
物語はすごくおもしろかったし
ハラハラしてずっと見てましたが、
ムキムキになった主人公(モヒカン)が気になって仕方なかった。
映画が作られた時代に斬新な髪型だったのでしょうか?
気になって仕方なかったー…
デニーロの最高傑作
主人公の偏った正義感にある種の共感をおぼえる。デニーロの演技はもちろんだが、子役のジョディ・フォスターの演技も素晴らしい。当時、子役としては、アカデミー賞を受賞したテータムオニールとどっちがうまいっかって比較されたけど、結局残ったのは彼女のほうだった。トム・スコットのサックスが心憎いまでに雰囲気を盛り上げてくれる。最後、主人公が生き残ってくれた点に救われる。日本人が作ったら、殉職?でしょうけど。
アメリカン・ニューシネマ
素晴らしい映画であり個人的に最も共感できる映画の一つ。この映画は明らかに好き嫌いを分けるし、理解できるか、共感できるかを分ける映画だと思うが、まずはアメリカン・ニューシネマによくあるマインドを理解しなければ正当に評価しづらい映画であると思う。
世間に対して「もう我慢ならん」という気持ちをどこかに抱えている人はトラヴィスの気持ちに共感できるだろうと思う。ジョディフォスターの役みたいに、いい子なのに頭が弱くてつけ込まれている女の子を見るあの感じとか、街中でたむろしている若者を見るあの感じとか、今でも正義感の強すぎる者には我慢ならない感情としての共感はあるはずだと思う。
2度見るとさらに理解に近づく映画で、トラヴィスは映画のスタートからもう精神的に限界なのが感じられる。
この映画を観ていて違和感を感じた部分には実はちゃんと理由(撮影方法など)があることも多いため、特典の音声解説みたいなものを見たら新たに発見があるはず。
それにしてもこの映画のデニーロほど笑顔が怖い登場人物はなかなかいないと思う。
これぞ真のダークヒーロー
街を守るため。
その使命は決してアメコミヒーローと変わりない。
武器はお手製。頑丈なスーツなどの装備なし。
見る限りではただのタクシードライバー。
世間は変わり者と言うかもしれないが、ヒーローの心をもった街を守るダークヒーローなのだ。
スタイリッシュでクールなデ・ニーロが痺れる!!
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