タクシードライバーのレビュー・感想・評価
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自分の存在意義とは
総合80点 ( ストーリー:85点|キャスト:85点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
自分が中学生の頃に、同級生の友人がこの映画のことを凄いと言っていた。そこで観てみたのだが、頭のおかしい男が勝手にわけのわからないことを始める内容に、ただただくだらないと感じた。この自分勝手に暴走する男と内容は何なのだろうか、ただの異常者を主人公にして何かしでかさせて一体何が言いたいのだろうかと思っただけだった。中学生の私は、この時代のアメリカの社会情勢も人間の抱える孤独と心の闇も全くわかっていなかった。
大人になって観直してみると全く評価が変わった。ベトナム戦争から帰った元兵士たちはアメリカに居場所がない。元々人付き合いが下手だし手に職があるわけでも学歴があるわけでもない。だからまっとうな職にもつけず地位も金もない。友人にも家族にも恵まれず、大都会の中でも孤独の闇を抱えたまま、ただ日々を生きる屍のごとくかろうじて過ごしている。彼には夢も希望も生き甲斐もない。そして日々の仕事の中に、社会の不正や矛盾や汚辱を見つけては虚しくなり1人で怒りを感じる。本心を話し気持ちを共有する相手もないままに自分の心の中で葛藤を続けて、そして正しい道を見つけられないままに自分の存在意義を求めて方向違いの道を暴走し始める。
彼はなぜこのようなことをしたのかが20歳を超えてからようやくわかった。ただの頭のおかしい男を描いた作品ではなく、社会が抱える闇と男が心の平安を求めて得られずに道を踏み外していく様が描かれていた。当時中学生の自分には、ベトナムから帰ってきて誰からも必要とされなくなった元兵士の事情など知る由もなく、孤独な男が居場所と存在意義を得るために勝手に自分を正義の味方と勘違いしていくのが理解出来なかっただけだった。
その男を理解したとき、この作品はとても悲しいものだということがわかった。もし自分がこのように社会から疎外されたまま孤独に一生を送るのだという絶望感に囚われたらどうだろうか。現在の日本でも、貧困で友人もないままに孤独に生きている人たちが時々問題になっている。そしてそんな人々が狂気に走ることを示している。なかなか奥深い話である。
この作品を面白いと言っていた当時中学生だった友人は、その年齢で本当にここまでわかっていてこの作品を面白いと言っていたのか、気になるところ。
ノーマル アブノーマル
トラヴィスの不器用さ
3回目にしてやっと共感
何気に3回目のタクシードライバー!の割に、ほとんど内容を覚えていなかったこの感じな。今回ついに脳裏に刻まれました。不朽の名作ですもんね。これで最後になるのかならないのか。
舞台は、大統領選挙を間近に控えたニューヨーク。あちこちに候補者のポスターが貼られ、明るい未来を約束する演説が響き渡る。街を行き交う人々は希望に溢れ、あくせくと働いている。
一方、タクシードライバーのトラヴィス(ロバート・デ・ニーロ)は仕事も恋愛もうまくいかず、鬱屈した日々を送っていた。想いを寄せた女性をポルノ映画に連れて行った挙句にこっぴどくフラれ、行き場のない心境を仕事仲間に吐露しても、人生に希望なんか持つな、とにべもない。この日々をどうにかしたい、でもどうにもならない。行動を起こしたい、でも全てが空回る。さらに、まだ12歳だという幼い娼婦アイリス(ジョディ・フォスター)との出会いによって、その思いは加速していく。
容赦なく蓄積するストレスと自己嫌悪がトラヴィスの視野を狭め、徐々に狂気を帯びていく。いつしか、誰とも会わず、一人でテレビ画面を漫然と眺め、手を挙げた客も無視するようになった。そしてある日、彼はついに行動を起こす。
最後まで観て「やっぱ全然覚えてなかったわー」ってなったんだけど、意外と救いのあるエンディングだった。世界は救えなかったけど、救えた人もいたし、何よりトラヴィス自身に起こった変化が画期的。何に対しても自信が持てずに自堕落だった彼が、つまらない日常を生き続けていく心の拠り所みたいな経験をして自信をつけた。っていうか、自信ってなんだろうね? 自信を持って生きている人の方が世の中少ないんじゃない? 根拠のない自信を堂々と持てる人もいれば、根拠があってもなお疑心暗鬼になる人もいる。私はたぶんずっと前者だったけど、最近自分を構成するいろんな基盤からボロが出てきた気がして足が竦んでる。そういう時期だからこそ今回初めてトラヴィスに共感できたのかもしれない。なんて。
でもトラヴィスみたいな人はさ、栄光が徐々に過去のものになっていくことに耐えられずにいつかまた自暴自棄な行動に出そう。アベンジャーズとか観ても思うけど、ヒーロー役って中毒性あると思うんだよね。一度ヒーローになったら常にそうありたいと願う。「元ヒーロー」は最大の禁句、的な? いや、私は昔からヒーローになりたかったからそういうことをよく考えていたんだよね。笑
さて。ヒーロー談義はこの辺にして。
今回は「ディパーテッド」「ウルフ・オブ・ウォールストリート」に続いてのスコセッシ監督。さすが代表作。上手。40年も前の映画なのにとても洗練されている。募っていくトラヴィスの狂気とは相容れない気だるげなジャズや、スローモーションの演出など、ジメッとしたノスタルジー感が好き♡
ディカプリオがついにアカデミー賞獲ったことだし、次は「アビエイター」かなぁ〜♪
全体に漂うけだるさは好きだが
最初から最後まで
こういうバカっているかもな
・1回目の鑑賞 2015/10/22 ・2回目の鑑賞 2020/1...
映画「タクシードライバー」の感想
時代は変わった
今回20数年ぶりにWOWWOWでの放映を年末休みに見直したが、ベトナム戦争直後アメリカで覆われていた虚無感に悩み苦しむ若者をロバート・デニーロが見事に演じている。
しかし、私自身歳をとったせいか、あるいは、平和ボケか、どうもこの虚無感を肯定的に捉えられなくなっている。また、これは基本的にスコセッシ監督の作品に共通していえることだが、その思いを正義感に名を借りた
暴力で訴えるという手法にかなり違和感を感じてしまう。
公開当時は、共感する人もたくさんいたからこそ、これだけ注目される映画になったのであろうし、私自身若かりし頃に見たときはもっと衝撃やら感情の高ぶりを覚えた記憶があるが、時代の移り変わりを感じてしまう。
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