劇場公開日 1954年10月5日

「美しいグレース・ケリーが演じる不貞の妻は憎めない」ダイヤルMを廻せ! kazzさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0美しいグレース・ケリーが演じる不貞の妻は憎めない

2020年5月12日
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鑑賞方法:DVD/BD

DVDを棚の奥からから引っ張り出して、久しぶりに観賞。

前半は会話劇。
ほぼアパートの室内だけで物語が進む。
原作が舞台劇だからだ。
ヒッチコックは、妻殺しの計画を遂行しようとした夫がパーティー会場であう想定外の障害を描くことで捻りを効かせている。

しかし、グレース・ケリーの美しさときたら、もうどうしようもない❗
一見貞淑そうで清楚な美女が、不貞の妻なのだから困ったものだ💦
夫と朝食前の挨拶にしては深いキスを交わすシーンで幕を開け、次のシーンでは愛人とも熱い口づけ。
夫といるときは白いドレスだったが、相手が変わると真っ赤なドレスに衣装替え。
愛人との一時の方が情熱の赤なのだ。
衣装替えではもうひとつ、事件の夜のネグリジェ姿。
なんと艶(あで)やかなことか。

原作が舞台劇なのでトリックにリアリティを欠くが、良くできたストーリーだ。
愛人の推理作家が完全犯罪など成立しないと言い、実際夫の計画は想定通りには進まない。が、予想外の結果を有利な方に利用する対応力が夫にはあった。
愛人が女を救うために夫に提案する偽装が、夫の未遂に終わった計画そのものという面白さ。
疑念を抱いた刑事の真相究明は、『刑事コロンボ』か『古畑任三郎』だ。

この映画は3Dで撮られている。
といっても、赤と青のセロファンレンズのメガネをかけて見る、あれだ。
グレース・ケリーが襲われるシーンがいかにも「飛び出す」絵の構図だ。
他にも人物の手前に調度品があったり、鍵をカメラに向かって差し出したりと、立体を意識した絵作りが見られる。
35年くらい前だろうか、劇場で3D版を観た記憶がある。
『アバター』以降に旧作の3D化が流行った時期があったが、本作は3Dリニューアルされなかったと思う。
刺激的なアクションがあるわけではないから、今さら3Dで観たいという需要はないのだろう。
最新の技術で3D復元されたグレース・ケリーを観たいと思うのは私だけか。

kazz