底抜け 再就職も楽じゃない

劇場公開日:1982年4月3日

解説

なにをやってもヘマばかりしでかす男のまき起こす珍騒動を描くコメディ。ジェームズ・J・マクナマラとアイゴー・カンターが製作、ジェリー・ルイスが『道化が泣いた日』(72、日本未公開)以来、映画にカムバックして監督・主演に当っている。ルイスがマイケル・ジャノーバーと共同で脚本を執筆。ジェームズ・パーゴラが撮影、モートン・スティーブンスが音楽を担当。スーザン・オリバー、ロジャー・C・カーメル、ディナ・ランド、ハロルド・J・ストーンが共演している。

1981年製作/アメリカ
原題または英題:Hardly Working
配給:20世紀フォックス
劇場公開日:1982年4月3日

あらすじ

サーカスの道化役者ボー・フーパー(ジュリー・ルイス)は一座が解散したため、ひとまず妹クレア(スーザン・オリバー)のもとに居候することになった。妹はいつまでもいていいと言ってくれたが、彼女の夫ロバート(ロジャー・C・カーメル)は口うるさい男で、ボーは気がひけた。妹の家を出て、職探しを始めたボーは、ガソリン・スタンドの店員になったが、大失敗して首。ついでガラス工場、高級骨董店につとめたが、ここでも目をおおわんばかりの失敗をくりかえした。ディスコ・ダンサー、日本人に変装して日本料理店のコック、酒場のバーテン…いずれも長く続かなかった。ガンリン・スタンドの店員の時に知り合った子持ちの美人ミリー(ディナ・ランド)をひそかに愛し始める。郵便配達の仕事につき、今度ばかりは性分にあって長続きしそうに思えた。雨の日も雪の日も、1日も休まないボーの精勤ぶりに、局長のフランク(ハロルド・J・ストーン)も満足していた。だが、彼がミリーと恋仲と知り、フランクは2人の仲を裂こうとする。その頃、受け取り人不明の兎が繁殖して、倉庫の係に泣きつかれたボーは道化の扮装をして配達に出かけた。後をついてきた子供達に兎をわけあたえたため、またもや首になる。新しい職業を求めてボーは旅に出る。ミリーも一緒だ。

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映画レビュー

3.5 底抜け再就職も楽じゃない

2026年1月23日
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鑑賞方法:映画館

「底抜け替え玉戦術 ('66)」以来、15年の沈黙を破り、1982年4月3日に劇場公開された底抜け映画の新作であり、且つ最後の作品である。大手新聞の金曜夕刊に突然掲載されたこの映画の宣伝広告に驚き、わざわざ記事を切り抜いて保管したことを覚えている。パラマウントではなく20世紀フォックスで製作された作品であり、既にテクニカラー・システムも存在せず、何故今?と思いはしたが、わざわざ都内の映画館に駆けつけるまでには至らなかった。
1970年代後半頃まで、テレビ東京の午前、正午、深夜枠を中心に、そしてたまに午後9:00からの洋画劇場も含めて、よくTV放映されていた底抜けシリーズも、1980年代になるとTVK辺りで再放送されていたそんな時代だった。
実際にこの映画を初めて観たのは1983年10月20日で、大塚名画座にて「ロイドの家庭サービス」、「ロイドの用心無用」との3本立てという実に素晴らしい組合せで観ることが出来た。
映画が始まるやいなや、過去にジェリー・ルイス自身が監督またはフランク・タシュリンが監督した主演作の名シーンがお得意のタイプライターなしでタイプを打つシーンを絡めながら、次から次へとテクニカラーとモノクロのシーンを織り混ぜて映し出されるのを観て感激したのを覚えている。それが終わると、ピエロに扮した1980年当時のルイスのクローズアップに繋がり、それからゆったりと映画のタイトルが始まるという構成だった。ハッキリ言ってかなり低予算で製作された作品だったものの、ルイスが就職しては失敗して転職を繰り返しながら、様々な格好をして、ギャグを振り撒くというスタイルの映画で、とても1980年に作られたようには見えず、1960年代半ばにタイムスリップしたかのような不思議な映画だった。共演者もスーザン・オリヴァー、ハロルド・J・ストーン、スティーブ・フランケン、バディ・レスター等の過去のルイス作品でお馴染みの共演者や1960年代に活躍していた俳優ばかりを集めていること、セット撮影における室内装飾も'60年代的であり、またテクニカラーは既に存在しないものの鮮やかな色彩の衣装やオブジェを意識的に画面の構図の中に上手く配置した所謂、色彩設計が施された映画でもあり、かなり感心させられたものである。
映画の完成度がどうのこうのというよりもこの'60年代的なスタイルを'80年代に見事に再現した不思議な感覚と、ジェリー・ルイス監督・主演作ならではの気まずい間合いの沈黙をワザと引き伸ばしたような、独特のシツコイ笑いに、思わず爆笑してしまうのは、過去の傑作「底抜けもててもてて ('60)」、「底抜け大学教授('63)」等と同じ楽しみなのであった。
この作品の翌年に、同じくジェリー・ルイス監督・主演で「Smorgasbord (Cracking Up)('83)」が撮られており、こちらはミルトン・バールやあのサミー・デイビス Jrと共演したコメディだが、残念ながら日本では劇場未公開に終わっている。

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ナオイリ