「人物描写と心情の変化の描き方が秀逸」セント・オブ・ウーマン 夢の香り 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
人物描写と心情の変化の描き方が秀逸
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フランクは盲目の退役軍人で、退役後ですら家庭内に軍人としての振る舞いを持ち込んでくる偏屈な男。しかもデリカシーが無いのもあり兄の一家にも煙たがられている。しかし感覚は鋭く人並み外れている。そして純粋な心を持っている。このように人物描写がよくできている。
フランクが自殺を思いとどまったのは、チャールズにタンゴのダンスとフェラーリの運転だけは自慢できると褒められたからだった。だが要するに盲人として過ごす人生に対して深刻に思い悩むのが、チャールズの発言で馬鹿馬鹿しくなったのだろう。2人がここまでの関係を構築できたのは、互いに純粋な心を持つ点が共通していたからだ。人生を諦めていたフランクが、最終的には自殺を思いとどまるようになる心情の変化の描き方も秀逸だった。フランク役のアル・パチーノの熱演も良かった。
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