「実はかわいげたっぷりな老人。」セント・オブ・ウーマン 夢の香り MAPLEさんの映画レビュー(感想・評価)
実はかわいげたっぷりな老人。
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アルパチーノは最近も活躍しまくっているので、正直、よく見る大御所的な感じで偉大さを軽視していて、こんな前からこんなに演技派だったんだ!と今頃気付いた自分を恥じました。
盲目の演技も、盲目なのに心情が伝わってくる眉や仕草や口調の演技も、完成されているので違和感がない。素晴らしい演技があるからこそ作品そのものに引き込まれ、見終わった後は良質な作品特有の余韻と満足感に浸れます。
誠実で思慮深く、冗談も言わない大人しい青年は、老人に盲導犬代わりとして強引にNYを連れ回されても、親切に丁寧にしています。が、老人の自殺だけは断固譲りません。青年の優しさと芯の強さがしっかり伝わってきます。連れてこられたようで、老人を受け入れて導いているのは実は青年側。
NYでの数日間に2人がお互いの孤独を分かち合い、NYをではなく2人でいる事を楽しみ始める変化が微笑ましいです。2人には楽しむことが難しい、車や女性にもチャレンジ!だから「夢の香り」。
老人は寂しく惨めと感じている本心が見えないように、頑固で不躾な殻で覆って人を遠ざけていますが、その分洞察力が非常に発達していて、相手の心を見えているかのように読み取ります。青年の親にも打ち明けられない悩み、優しさ、迷いまで。
一方青年も、自分の事はさておき、じんわりと老人を癒して殻を柔らかくしていく。
殻が取れた老人が終盤、青年のために親代わりとして颯爽と人前に現れ、庇う余地もない腐った性根の面々を論破してくれる場面は心底スカッとします。
人生の味方を見つけた2人の表情は、最後は晴れ晴れとしていて、観ている人をも満たしてくれます。
老人は実はおちゃめで可愛げたっぷり。
フーアー!!癖になります。
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