戦争と平和(1956)のレビュー・感想・評価
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ロシアは寒くて広すぎた(ナポレオンの後悔)
ロシア文学は、登場人物の名前と愛称の複雑さに難儀してしまいます…。この映画では、衣装が同じAnatoleとDolokhovの見分けがなかなかつかず…。
莫大な遺産を相続し、美女と結婚しても満たされないPierre。妊婦の妻を残し、名誉を求め志願するAndrei。フランス文化を取り入れてきたロシア貴族達が、対ナポレオンの戦争を通して、幸せとは何かを問うています。
貴族特有の遺産相続にドロドロ?恋愛。人間模様は中盤までで、終盤は大分省略されています。幸せや愛、許すことの大切さに気付くAndreiの変化と、恋に恋していたNatashaが愛とは与えるものだと知る過程は、メロドラマ的に描かれています。一方Pierreの苦悩や内面の変化は伝わって来ず、やや楽観的なロシア軍と、諦めて撤退するフランス軍の過酷な道中に焦点が当てられているようでした。戦場そのものの残酷さはありません。
映像的には美女Elenaを演じたAnita Ekbergのグラマラスな美貌、手抜きなしの鮮やかな衣装、そしてエキストラの多さ!!兵士の数は圧巻です。
馬にまたがることなく、両脚を斜めに揃えたお姫様座りのまま、馬で駆け上がったり駆け下りたり、柵を飛び越えたりするスタントは何気に凄いと思いました。
ナポレオンがイメージ通りでちょっと滑稽でした…本物は知らないけど(^_^;)。
"They are a happy delightful family, that's a success, too... perhaps the greatest success."
"Where there is law, there is injustice."
古臭い作品という印象
総合55点 ( ストーリー:60点|キャスト:60点|演出:50点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
言わずと知れたトルストイの有名文学の映画化だが、ロシア文学は重いという印象があって原作は未読。だから映画が原作にどれだけ忠実なのかわからないのだが、前半は戦争という動乱の時代において家庭問題やら恋愛問題に終始する貴族階級の話を見せつけられるだけで肩すかし。自分の道を見つけられずに人生を見つめ直すという話が、題名と異なり軽い。
しかも制作年代が古いせいか、交互に言い合う科白回しも含めて演出がいかにも演技してますという不自然さでつまらない。屋外での実写による撮影は金がかかっていて見応えもあるが、一方で美術を背景にした撮影所での場面はすぐに作り物というのがわかってしまって質感が低い。
後半に入り停戦が終わり戦争が佳境に入ると、故郷が占領され戦場での過酷な経験をして動乱の時代を生き抜く様子で盛り返す。辛酸をなめてようやく生き残った人々の希望が見える結末は悪くない。
それでも現代の映画と比較すると厳しい描写がまだ生ぬるい。天然色なのはいいけれど、全体として古い映画だなという印象。似たような作品の「風とともに去りぬ」よりも新しい作品だが、作品の評価としてはそれには全然及ばない。
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